だが――一度もエリート教育を受けたことのない、一度は家庭に入ったという女が、なぜ自分の上に立てるというのか。そう思うだけで、忠は笑いがこみ上げるほど痛快だった。もうすぐ勝てる。その期待だけで、気分は天井まで突き抜けている。上機嫌になった忠は、仲のいい連中を誘ってバーに繰り出した。酒が半分ほど進んだ頃。普段は忠と折り合いの悪い御曹司が、いきなり目の前に立った。「おやおや。雲井家って、家風が立派で全員が人中の龍。この街の社交界じゃ、女がこぞって嫁ぎたがる名家……って話じゃなかったっけ?」わざとらしく笑い、続ける。「俺もずっと、雲井家は清廉潔白なんだと思ってたよ……ところが、だ」舌打ちを一つ。「持ち上げられに持ち上げられてた一の令嬢が、実は私生児。それだけじゃない。女遊びとは無縁だって言われてた雲井家の忠さんが――」男は忠を頭の先から足元まで舐めるように見て、にやにやした。「まさかの女絡みの黒歴史持ち」そして、わざと説教臭く言う。「連れ添う仲って言うだろ?それなのに、あんた随分と冷たいじゃないか」笑いながら突き刺す。「子どもまでできてたのに、女を無理やり病院に引きずって堕胎させたって?それ、ほとんど殺人だろ」周囲の視線が一斉に集まる。男は気にする素振りもなく、肩をすくめた。「この界隈のボンボンがどれだけ遊び人でもさ。子どもが要らないなら、まず話し合う。金で解決でも、脅しでもいい。とにかく同意は取る。暗黙のルールってやつ」「それでもダメなら、産ませるしかない。それがこっちの世界の現実だ」そして嘲笑。「それなのに、雲井家の忠さんが、力ずくで病院に連行して堕胎。自分の評判守るために、実の子どもまで殺せるなんて……いやあ、見ものだよ」忠は一瞬、言葉を失った。次の瞬間、怒りで顔を歪め、男の襟首を掴み上げる。「てめえ……でたらめ言うのも大概にしろ!そんなの誰も信じねえぞ。口、裂いてやろうか!」御曹司は冷ややかに笑った。「でたらめ?もうネット中に流れてるけど?」さらに追い打ち。「しかもな。あんたが女を引きずって堕胎させた動画まで出回ってる」忠は呆然とし、反射的に携帯を取り出した。その時、隣で携帯を見ていた友人が、顔を青くして画面を突き出す。「忠さん……本当に出てます。あなたの
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