偏った愛情を受けた者はつけ上がる。彼は子どもができたことと、彼女が自分にまだ気持ちがあることにあぐらをかいて、好き放題に振る舞っていたのだ。突然、雅臣の携帯が鳴った。かけてきたのは彼の秘書・誠だった。「神谷さん、大変です!」雅臣は眉をひそめた。「何があった、そんなに慌てて」「ネット上に、小林さんにとって不利になる動画が大量に出回っています。抑えきれません......!」雅臣の声が一気に冷え込む。「記者会見の映像も生配信も、すべて漏れないようにと命じたはずだが?」誠の声が震える。「会場内の情報は、確かにすべて遮断できています。外部には一切漏れていません。ですが、今回出回っているのは会場からの情報ではなく......」雅臣は鋭く言い放つ。「何だ?はっきり言え」「そのニュースが、街中の広告ビジョンで、すでに一斉に流されているんです......短時間では対処できません」誠は泣きそうだった。「それに......映っているのは小林さんだけじゃありません......神谷さん、あなたもです」彼はとても言えなかった。あの映像は大型ビジョンだけではない。地下鉄、バス、エレベーターなど、あらゆる場所に配信されていた。すでに街は大混乱だ。たとえ記者会見で真相を発表してネットに載せたとしても、見ない人は見ない。ネットに興味のない層も多いからだ。しかしビジョン広告となると話は別だ。老若男女、誰でも目にする可能性がある。まさに無差別攻撃のよう。これは......あまりにも容赦がなさすぎる手口だ!雅臣の瞳が鋭く光り、星を睨みつける。「お前の仕業か?」星は微塵も動じず、「そうよ」と認めた。雅臣は瞬時に彼女の狙いを悟った。「さっき俺に話してたことは、全部時間稼ぎの為だったのか?」「そうよ」星は淡々と答える。「あなたがS市でどれほどの影響力を持ってるかなんて私もわかってる。だからこそ、二段構えの準備をしておいたの。もしあなたが来なかったり私を止めようとしなかったら、この手は使わなかった」雅臣が現れたとき、彼女はすでに記者会見が開けなくなることを察していた。そこで彼女は密かに影斗へと連絡を入れた。そして一方で雅臣を引き止め、彼の注意を逸らした。雅臣が事態に気づいたとき
Baca selengkapnya