Semua Bab この愛を止めてください: Bab 21 - Bab 28

28 Bab

甘すぎる彼 3

「海斗、すごいね。はっきり言えるなんて」「本当のことだから。くるみと二人だけでご飯食べたいし」 小声でそう話す彼は、対応に慣れているようだったけれど。 海斗、モテそうだもんね。 そう、女の人避けのために私が偽装の彼女を演じるわけだ。 海斗は今はまだ恋愛に興味がないのかな。 私が「彼女」だって、公表した時、私が考えているよりも大きな反響になりそう。 でも彼にはこんなにも助けてもらったわけだから、約束はちゃんと果たしたい。「そう、雨宮さん。急なんですが、今日の夜、お時間ありますか?先日の件、弁護士へ相談したいと言っていたので、知り合いの弁護士でしたら紹介できるのですが。話だけでもしてみますか?」 婚約破棄についての慰謝料について、海斗にも伝えたんだ。「はい、ぜひお願いします」 私が返事をすると、彼はなぜか悲しそうにコクンと頷いただけだった。  その日の終業後、私は海斗と一緒に、近くのカフェで海斗の知り合いの弁護士さんと会うことになった。 大和のことについて相談をすると――。「お気持ちはわかりますが、不貞行為を行っていたという証拠が少なすぎます。写真とか何か具体的にわかるようなものがなければ、難しいと思います。そして今はもう別れてしまったという状態となると、別れてからその彼女と付き合ったと彼が言えば、責めることはできません」 大和が浮気をしていたことは事実だ。 だけど、吉田さんと写っている写真とか動画を持っていない。 気付いた時には<別れよう>と言われて。 彼のモラハラ的発言だって、録音をしていない。 私が甘かった。 弁護士さんへの相談が終わり、肩を落として歩く私に「力になれなくてごめん」 そう海斗が声をかけてくれた。「どうして海斗が謝るの?ここまでしてくれて、本当に感謝しているよ。私が甘かったの。証拠とか、もっと揃ってから戦わなきゃいけなかった。悔しいけど、私が悪いから。あー。もっと我慢して証拠を集めてから別れれば良かったー!」 自分の愚かさに腹が立った。 大和に復讐してやりたいという気持ちすら叶わないのか。「俺、個人的な意見だけど。もっと傷つく前に別れて良かったと思う。証拠集めってかなり精神的に負担がかかると思うよ」「それに……。くるみには今、俺がいるから。俺だけじゃダメ?」 小首を傾げながら問いかけられた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-13
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甘すぎる彼 4

「くるみ。今度の休日、何か予定ある?改めて、きちんとデートしたいんだ」 デート?海斗と?「何もないよ。ぜひお願いします」 私は今は海斗の彼女なんだから。断わる理由なんてない。「じゃあ、楽しみにしてて」「うん」 それから一週間は荷物の整理に追われた。 だけど「くるみ、大丈夫?何か手伝うことある?」 そんな風に海斗がいつも声をかけてくれて、同じマンションに住んでいる海斗が仕事が終わってからも手伝いにきてくれて、助かった。 それに家電や家具を部屋に設置したりする必要がなかったら、予想より遥かに簡単に引っ越しが終わった。「あっ。海斗!今日の夕ご飯、カレー作ったんだ。食べて行かない?」 彼のリクエストに応えたというよりは、たまたまカレーが食べたくなったから作った。正直、私の料理なんか口に合わないと思う。 けれど<食べたい>と言ってくれたし、私にできるお礼を考えた時に料理くらいしか思い浮かばなかった。「もちろん!」 簡単なサラダと特に手の込んでいないカレー。 ルーは市販のものだ。スパイスを組み合わせて作る芸当なんて私にはできない。それでも海斗はニコニコと手を合わせ「いただきます」そう言って嬉しそうに一口、口に運んでくれた。「美味しい……!昔とちょっと違うけど美味しいよ」「昔は隠し味とか何も入れてなかったから。今は自炊するようになって、料理もちょっとはできるようになったんだよ。ルーは一から作れないけど」 大和と同棲している時は、食費を浮かそうと思って、自炊はしていたし、料理は基本的に私の担当だったから。高校生の時より上達していると思う。「俺、料理しないから。なんていうか、久しぶりに温かい物を食べたっていうか。感動した」 私も美味しいって言ってもらえるのが、久しぶりな気がする。「こんなんで良かったらいつでも作るから言って。私、海斗の彼女なんだから」 自分で言っておいて恥ずかしくなった。 私の言葉を聞いた直後、彼は顔を両手でおさえた。 あ、変なこと言っちゃったかも。 二人の時は別に彼女のフリなんかしなくても良いんだもんね。「ごめん。変なこと言って……」「いや、違うんだ。なんか嬉しすぎて。顔が熱くなった」 こんな姿、会社では絶対見せないのに。 私にだけ見せる彼の姿に、嬉しいと感じてしまったのは嘘じゃない。 次の日――。 
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-15
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甘すぎる彼 5

「先輩、おはようございます」 その声は、吉田さんだ。「おはようございます」 ふんふんと鼻歌を歌いながらいつもより彼女は上機嫌のように感じられた。「あの、先輩。私、大和さんから告白されて、今付き合っているんです。先輩と別れたばかりなのに、すみません。先輩には秘密にしておきたくなくて」 すみませんと口を結ばせて目をうるうるさせているのに、演技にしか見えなかった。心では私のことを笑っているんだろう。「うん。そうみたいだね。教えてくれてありがとう」<私は別れて良かったよ>そんな風に答えればいいの? だけど、誰が聞いているかわからない状況で、自ら自分の評価を落としたくはない。「私が大和さんのことを盗ったって怒ってるんですかぁ?私じゃないんです、大和さんが付き合おうって何度も言ってくれて。熱意に負けたって言うか……」 だったら大和も早く<他に好きな子ができた>って言ってくれれば良かったのに。「ああ、そうそう。今度、海外に旅行に行くんです。二泊三日ですけど。大和さんが計画をしてくれて。私、海外って行ったことがなかったら嬉しくて。大和さん、とっても頼りになる人なのに、どうして別れちゃったんですか?」 クスクスと彼女が笑う。 海外旅行?私にはそんな提案一度もなかった。 それに、そのお金どこから――? お財布の管理は別々だったけれど、彼の浪費癖は知っている。 だから二人で協力して少しずつお金を貯めようと提案をしたのに。 もしかして――。 この間引き出された、二人で貯めていたお金!? 大和、自分の口座に移したの!? 感情が表に出てしまったのか「やだ、先輩!こわーい。そんなに怒らなくてもいいじゃないですかぁ!?」 私の様子をブース内に聞こえるように、わざと大きな声で発言している彼女がいた。 「ふざけないで……」 抑えろ、私。 ここで吉田さんを怒鳴ったところで、何もメリットがない。 悔しい、涙が出そう。 その時――。「雨宮さん。ちょっと良いですか?」 龍ヶ崎部長、海斗が後ろに立っていた。「はい」 小さな声で返事をした。「数年前のある企業の申請書を探したいんですか。一緒に保管庫で探してもらえますか?記録管理は雨宮さんだって聞いたので」 このやり取り、海斗に聞こえてたのかな。 だから助け船を出してくれた?「はい。わかりました
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-17
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甘すぎる彼 6

「……。大丈夫じゃない。助けて。心が痛いの」 素直に気持ちを吐露すると「くるみには俺がいるから。今は泣いていいんだよ」 彼の優しい声音が耳元から聞こえて、我慢していた感情が爆発して、私は肩を震わせて泣き崩れた。 そんな私を倒れないようにギュッと海斗は支え続けてくれた。<ごめん。気分が悪いから今日は早退する> 約束していたランチに行けなくなり、由紀に連絡をした。 あの後、化粧は涙で落ちてしまうし、目が腫れてしまったため、海斗のアドバイス通り、早退をすることにした。 海斗が気を遣ってくれ、吉田さんと鉢合わせをしないように、彼女がいない隙に私はフロアから退室した。「ゆっくり休んで。仕事のことは心配いらないから」 彼の胸の中で泣き続けた私だったが、久しぶりに我慢していたものを涙とともに解放したからか、スッキリした。 帰宅し、何もする気になれず、ずっとベッドで横になって過ごした。<ピロン>と音が鳴り、スマホの通知を見ると、海斗から連絡があった。<家に行っていい?> 心配かけちゃったし、今朝のこと、お礼を伝えたい。<うん> 返信をした。 夜七時すぎ――。 チャイムが鳴ったので玄関まで小走りに走る。「お邪魔します」 スーツ姿のままの、仕事帰りの海斗だった。「ごめん。何もする気になれなくて。ご飯とか本当は作ってあげられたら良かったんだけど、何も準備できてない」「そんなこと気にしないで。ご飯も食べてないと思ったから、くるみの好きなオムライス買ってきたよ。一緒に食べよう?」 海斗が手に持っていた袋を上にあげ、ニコッと微笑みかけてくれた。「うん」 私、こんなに大切にされていて良いのかな。 二人で海斗が買ってきてくれたオムライスを食べる。「あ、すごく美味しい」 一口食べる前はそんな気力もなかったのに。「ここ、俺の好きなお店なんだ。卵がふわふわで美味しいでしょ?テイクアウトだから、どうしても出来立てよりも固くなっちゃうんだけど、それでも美味しいよね」 海斗は今日のこと、どんな風に思っているんだろう。「あの、今日はごめんね」「いいんだよ。吉田さんにはあの後も注意しておいた。俺の席まで聞こえてきたから。私語は慎めって、強めに」 私が帰ったあとも注意してくれたんだ。「嫌がらせが酷かったら、部署移動とかも検討する。相談してほしい」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-19
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甘すぎる夜 1

「ええっ、悔しい!もう一回お願いします!」 私が強請ると、海斗は笑って「くるみはそうやって笑っていた方が可愛いよ。負けず嫌いも変わってなさそうだ」 そう言って、頭をポンポンと叩かれた。「子ども扱いしないでよ!立派な大人なんだから!一つしか年齢変わらないでしょ。まあ、会社では圧倒的に立場が違うけど」「俺の方が年上なんだから、くるみより大人だよ」 会社では見せない発言や表情、ギャップに戸惑うこともあるが、私と過ごしている時の海斗の方が本物だって思った。 優しいところは変わらない。「私ってやっぱり子どもに見える?女性としての魅力がないのかな。吉田さん、大和の浮気相手は仕草も可愛いし、オシャレだし。男性社員からも人気だし、ああやってうまく生きれたら楽なのかな」 自分に自信がある、そんなところは羨ましいと思う。「俺は彼女のこと、魅力的だとは全く思わないけど。くるみが一番可愛いし、綺麗だと思う」 なに、その発言。 一瞬ドキッとしたけれど「冗談言わないでよ!」 可愛いし、綺麗だなんて。 そんなにストレートに言われたことがない。それに、これは彼氏と彼女ごっこなのだから。「冗談じゃないよ。俺は、くるみが一番だから」 なんて答えたらいいの。 チラッと海斗を見ると、目が合った。目を逸らすことができない、真剣な眼差しだった。<冗談だよ>って言ってくれた方が楽だ。 それでこの会話が終わりにできるのに。「くるみは?」「えっ?」「くるみは俺のこと、どう思っているの?」 海斗のこと?そんなこと聞かれるなんて思っていなかった。「頼りになって、カッコ良くて、上司だけど親友みたいな……。いや、今は自慢できる彼氏だよ」 一年間は彼氏、彼女の関係だから。 間違ってないよね。 海斗はフッと笑って「ごめん。困らせたよね」 そう言ってソファから立ち上がった。「明日も仕事だから、そろそろ帰るね。くるみもゆっくり休んで。体調が悪かったら、無理しなくていいから」 あれ、なんかこの微妙な雰囲気のまま、別れるのは嫌だ。 明日、会社で会えるんだろうけれど、こんな感じで海斗を帰したくはない。 それに――。 カバンを持った海斗の後ろ姿におもむろに抱きついていた。「っ……?くるみ、どうした?」 ギュッと彼に抱きついている私に、彼は戸惑っていた。「なんてい
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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甘すぎる夜 2

「重くないから」 目線、外すことができない。 あれ、海斗を上から見つめるのってはじめてかも。 私は彼の頬におそるおそる触れた。 こんなにカッコ良かったっけ? そういえば、私のファーストキスの相手は海斗だった。 そう思いながら、彼の唇に触れた。 あ、どうしよう。キス、したいかも。 そんな欲求を抱いていると海斗から「して?」と声をかけられた。 私の心の声、聞こえてないよね。 してと言われて、簡単にできるようなことじゃ。 でもこの体勢なら……。 私は彼の肩に手を置き、ゆっくりと自分の唇を彼の唇に当てた。 すぐに離そうとしたが「んっ……!」 彼に頭を軽く抑えられ、簡単には離れられなかった。「んんっ!」 次第に舌と舌が絡まり、吐息が自然と零れる。「ふっ……。はぁっ!」 優しいキスなのに、どこか強引で。私を離してくれない。「嫌?」 一度唇が離れた時に、海斗に聞かれた。「嫌じゃない」 私が答えると、もっと深く、長いキスの時間が続いた。「はぁっ……」 酸欠になりそう。 どうしよう、下腹部がうずうずしてきた。 止めなきゃと思っても、彼に応えてしまう。 彼の手が私の服の下に伸びた。「んぁっ……」 優しく胸を揉まれ、声が部屋に響いた。「くるみ、もう一度聞くけど、嫌だったらここで止めるから言って」 ピタッと彼の手が止まった。 この関係の未来は甘く、幸せなものではない。 今だけの偽りの関係。 それでも――。「嫌じゃない。もっとしてほしい」 私は自分から海斗にキスをした。 私の言葉に応えるように、彼は舌を絡ませ、私のシャツのボタンを外していく。「あぁっ!」 服を脱がされ、私のだらしない声が部屋に響く時間が続いた。「あっ、んん……」「くるみ、愛してる」 気づいた時には彼も裸になっており、彼の体温を感じながら、耳元でそう囁かれたの覚えている。 次の日――。「くるみ、そろそろ起きて」 あれ、海斗の声がする。 目を開けると、隣に海斗が立っていた。「おはよう」 声をかけられ、昨日の出来事を思い出す。 あれ、私、海斗と……。「おおおおおはようっ!」 がばっと布団を跳ね除けると、下着姿だった。 無駄な抵抗と思いながらも、必死に体を隠した。 海斗はハハっと笑い「体調大丈夫?会社、行けそう?」 布団
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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甘すぎる夜 3

 由紀と待ち合わせをし、社食で一緒にご飯を食べることになった。「体調大丈夫?吉田さんからキツイこと言われたんでしょ!?」 ああ、もう違う部署にまで広がってる。「大丈夫。ありがとう。吉田さんにはたしかに酷いこと言われたけど。割り切らなきゃって思って」 社食のラーメンをすすりながら、由紀の質問に答えていた。「あとさ、くるみって龍ヶ崎部長と仲が良いって本当?朝からカフェで一緒にいたところを見た人がいるんだけど……」「ん゛……」 思わず水を喉に詰まらせそうになった。  由紀には本当のこと、海斗から説明されたこと、言っても良いよね。「あの、龍ヶ崎部長、最初は気づかなかったんだけど、高校の時に仲の良かった先輩だったんだ。それで――」「お疲れ様です。席、ご一緒してもいいですか?」 バッと後ろを振り返ると、龍ヶ崎部長、海斗が立っていた。「えっと……」 私が困惑していると 「どうぞどうぞ。今、話題にしてたところなんです」  イスを引き、海斗に<ここにどうぞ>と由紀は声をかけた。「僕の話題、ですか?」「はい。今日、くるみと部長が一緒にいたところを見た社員が何人かいて。仲が良いのかなって……」「ああ、そういうことですか」 海斗は何て言うんだろう。「実は、くるみさんとは以前からの知り合いで。婚約者がいるから、黙っていたんですけど、別れたと聞きまして。僕の方から強引に告白したんです」「えええええっ!」 由紀の声が、昼休みで混雑している食堂に響き渡る。  こちらを見ている社員が何人もいた。 これじゃあ、さらに目立っちゃったな。「そうなの?くるみ!?」「うん……」 海斗は私をフォローするかのように 「くるみさんには何度も断わられました。けど、僕が諦めきれなくて。お試しでって感じでようやくOKしてくれたところなんです。昔からの片想いだったんで、すごく嬉しかった。これから幸せにできるよう、頑張るつもりです」  自分からのアピールにより、仕方なく私が付き合うことを了承してくれたという感じに彼は説明をしてくれた。「ごめん。今日、このことをきちんと由紀には話そうと思ってたんだ」「ううん。話してくれてありがとう。ええ、いいなー。部長が彼氏って、羨ましい。正直、前の彼氏よりくるみを幸せにしてくれそうなので、私は安心です」 ニコニコと
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-25
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甘すぎる夜 4

 話しかけてくれた先輩は、私のことを評価してくれ、いろんなアドバイスをくれた人だ。批判する人だけじゃないと、なんだか安心した。 海斗は会議がまだ終わっていないのかな。 フロアから出ようとすると「先輩、別れてすぐに部長と付き合うなんて、どういう神経しているんですか?」 吉田さんが突っかかってきた。「吉田さんの方こそ、私と大和が付き合っているって知っているのに、大和に手を出したのはあなたじゃない。大和のことが好きだったら、浮気なんてことしていないで、もっと早く正式に付き合うように説得すれば良かったのよ。婚約中で不貞行為で浮気とかすると、慰謝料とか取れるんだよ。知ってた?」 彼女の嫌がらせにいつまでも屈したくはない。「なんですか、それ。大和さんを盗られたからって負け惜しみですか?」 彼女も眉間にシワを寄せ、言い返してきた。「結果、別れることになったけど、逆に吉田さんには感謝してる。大和と別れるキッカケを作ってくれたから。今は龍ヶ崎部長っていう素晴らしい人と付き合えて、私、とても幸せなの。だから、ありがとうね」 じゃあと軽く頭を下げ、通り過ぎようとした。「先輩は部長にだってすぐにフラれますよ。何の取り柄もない人が、部長みたいなスペックの人とずっと付き合えるわけないですし」 言い方に棘がある。 私には取り柄がないかもしれない。 でも、あくまで偽装だけれど、こんな私でも良いって言ってくれたのは海斗だから――。「終業時間が過ぎているからって、こんなところで私情を挟み、大きな声を出さないでください。どうして吉田さんにそんなことを言われなきゃいけないんですか」 ふと声の先を見ると海斗が立っていた。 会議、終わったんだ。 「龍ヶ崎部長……」 吉田さんも突然の部長の登場に驚いていた。「僕は昔から一方的に雨宮さんに好意があったんです。何度彼女に告白したことか。何の取り柄もない、彼女のことを知らない人が、そんなことをよく言えますね。自分はどうなんですか?長所で溢れている、そんなことをわざわざ伝えたいんですか?」「そんなつもりじゃ……」「業務態度を見れば、比較されて恥かしいのは、あなたの方だと思いますが」 冷たい眼、私に話している時とは違う彼に怖いとさえ感じてしまった。「……っ!」 彼女は言い返すこともせず、その場から走り去った。「あの、部
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-27
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