「何?お前があのローランド王だと?」 ほら。ルナールからすっかり穏やかな雰囲気が消えてしまった。 合わせて周囲の一味達も殺気立ち、一斉に剣を構える。 こちらの兵二人も咄嗟に剣を構えたが、明らかに不利だった。 待機した騎兵達との距離もある。 もしこのタイミングで襲われたら私達ジ・エンドだ。 「ローランド………! いいですか?あの人は、ルナールは実は女性なんです……っ、 本当は心優しくて傷つきやすい。 だから……」 この窮地を乗り切ろうと、振り向いてローランドに耳打ちする。周囲には聞こえない様に。 ローランドが引いてくれるのを期待して。 「何? お前は一体何を言ってるんだ、アデリナ。 あれはどう見ても男だ。」 「いや、だから…あ〜もう!とにかく交渉がうまくいったら全部教えるから、とにかくここは大人しくしといて下さい!」 「それは無理だ。お前がこんな男に触れるのを、黙って見ている訳にはいかない。」 「な、何言ってるんですか! 私がルナールにセクハラするとでも? 心配ありませんよ、そんな事しませんから」 「?いや、そうじゃなくて……」 「ふうん?噂じゃローランド王とアデリナ王妃の仲は冷え切ってると聞いていたが…実際はそうじゃないみたいだな。」 急に椅子から立ち上がったルナールが、相変わらず私を抱き締めたまま離さない、意味不明なローランドを逆に睨み付ける。 「……お前達には仲間を沢山殺されて、不満だってある。 あの土地を返して欲しいと何度訴えても耳を貸さなかった冷酷な王め。 ……だが今はその王妃サマを信じてみようじゃないか。」 ふとルナールから殺気が消えた。 それに伴い周囲も暗黙の了解
Terakhir Diperbarui : 2025-07-27 Baca selengkapnya