月子は言った。「おばさん、私の言うことが耳障りなら、自分の発言を改めたら。こっちもあなたの話すことなんて聞きたくないけど」理恵は絶句した。彼女は相当頭にきたらしく、数秒沈黙した後、電話を切った。月子は冷ややかにスマホを見つめ、目には氷のように冷たさが浮かんだ。洵も初めは怒っていたが、月子の反撃で少しは気が晴れた。そして、彼はさらに月子の変化に驚いてもいた。離婚してから、月子は本当に変わった。攻撃的になったのだ。これはまさに洵が望んでいた変化だった。「少し心配してたんだが……」すると、月子は急に顔を上げて言った。「やっと私のことを心配してくれるようになったのね」それを聞くと、洵の顔はこわばった。「自意識過剰だな」月子は彼を見つめた。「なぜ私がやったって反論させてくれないの?」洵は言った。「反論する必要なんてないだろ。彼女がお前を馬鹿にするからって、自分がすごいって証明する必要があるのか?そんなことしたら、相手の思う壺だ!たとえ証明したところで、ああいう人間は、また別の理由で馬鹿にしてくる。お前を馬鹿にし続けることで、自分の優越感に浸ってるんだ。お前の優秀さを認めることなんて絶対にない。だから、そんな人のために何かする必要はない」洵は他人にいいようにされるような男ではない。むしろ腹黒く、ずる賢い。「彼らを翻弄してやる方がましだ。多少悪口を言われたって気にしない。だが、本当に頭にきたら、徹底的に潰してやる」そう言うと、洵は月子を見てニヤリと笑い、手を差し出した。月子は不思議そうに聞いた。「何?」「ハイタッチだろ」珍しく洵が笑った。そう言うと、彼の冷たく鋭い目元が少し和らぎ、少年のような雰囲気になった。澄んだ瞳には、未来への希望に満ちた力強い輝きがあった。月子は離婚してから、人生がどんどん好転しているように感じた。そう思うと、月子も手をだして、「パン!」と洵と勝利を祝うハイタッチをした。「これで一件落着ね」月子の冷たい目元に鋭い光が走った。彼女は、守りたいものと人を必ず守るのだ。洵も便乗するように言った。「大勝利だな。すべてお前の手柄だ」月子は洵の褒め言葉を素直に受け入れた。……洵は姉が生活用品を用意してくれたにもかかわらず、クールな弟キャラを貫き、泊まることはなかった。そし
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