きっとイケメンだろうとは思っていたが、顔全体を見て、これほど整った顔立ちと完璧な輪郭を持つ男がいるものかと、改めて驚嘆した。月子は、こんなに美しい男性を見るのは初めてではなかった。前回、これほど心を奪われたのも、目の前のこの男性だった。3年前、静真と家族だけの小さな結婚式を挙げた時もこの男性がその場にいたのだ。彼の名は鷹司隼人(たかつかさ はやと)。静真の異母の兄だ。初めて会った時、月子は全身が緊張していた。顔立ちの衝撃もさることながら、彼から漂う、緊張を誘う強力なオーラに圧倒されたのだ。3年が経ち、隼人はさらに落ち着いた雰囲気を纏い、より計り知れない存在になっていた。シンプルな黒のロングコートにカジュアルな服装だが、ミステリアスな魅力に満ちている。月子は一瞬、息が止まった。こんな場所で隼人に会うとは思ってもみなかった。修也は「鷹司社長、こちらは小学校の同級生の一条さんと、彼女の友人、月子さんです。二人ともIT分野の人才ですよ」と紹介した。そして、二人に紹介した。「こちらは鷹司社長です」隼人は二人を見た。彩乃は普段なら誰に会っても物怖じしないタイプだが、隼人を見ると数秒間呆然としてしまい、我に返った後も握手を交わして挨拶を済ませるだけで、それ以上は話しかけなかった。次の瞬間、隼人の視線が月子に向けられた。彼の視線には重さがあり、認めざるを得ないプレッシャーを感じさせる。月子はすぐにこの想定外の出来事を消化し、表情を変えずに手を差し出した。「初めまして、鷹司社長」隼人の視線は、彼女の手元に注がれた。月子は、隼人が静真の事を持ち出すのではないかと不安だった。彼の目には、自分はあくまで義理の妹であり、全くの他人ではないからだ。しかし、彼は口数の多いタイプではないはずだ。3年前の結婚式では、隼人は自分と静真にグラスを向け、「おめでとう」とだけ言って、グラスを空けると、先に帰ってしまった。それが、彼らの唯一の出会いだった。その瞬間月子の頭にはいろんな思いが巡っていた。そうしているうちに彼女の手のひらに一瞬だけ彼の温かい掌が軽く触れてはまた、引っ込められた。想像していたような気まずい話題は持ち出されなかった。月子は安堵すると同時に、男のすらりと骨ばった指に、秘めた力強さを感じた。彩乃はJ
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