霞は既に注文を終え、メニューを置いてから気にせずお茶を一口飲んだ。「彼女もA大学だったわよね。コンピュータ専攻だったはず」これは継母から聞いた話だ。霞と違って月子は大学では至って平凡で、優秀な卒業生とは程遠かったらしい。颯太はひどく驚いた。「彼女、A大学だったのか?」入学するには最低でも偏差値67.5以上が必要だ。月子ってそんなに頭が良かったのか?コンピュータ系の学科はさらに高い点数が必要になるはずだ――これは彼が採用面接の時に知ったことだ。颯太は眉をひそめて静真に尋ねた。「知ってたか?」静真は月子について尋ねたことは一度もなかった。正雄から一度か二度話を聞いた程度だ。「多分な」確信は持てないが、おそらくそうだろう。颯太は冷ややかに言った。「長年放置していた専門分野を、急に引っ張り出してくるなんて、目的は見え見えだな」霞の顔色も悪くなった。継母が月子を探ってみたところ、どうやら本当に静真と離婚するつもりらしい。だけど、口ではそう言いながら、行動は全く違う。本音と建前を使い分けるような人間って本当に嫌ね。静真は霞が不機嫌になっていることに気づいた。「どうしたんだ?」霞は首を横に振った。「仕事のことよ」颯太は霞のプロジェクトが難航していることを知っていたので、月子が霞に到底及ばないと思った。そんな彼女が芝居を打っていることが余計に気に障った。まるで下手な猿真似を見ているようだ。「適当に本を何冊か読んだところで何になる。本当に問題が起きた時、経験も実力もない彼女は、すぐに化けの皮が剥がれるだろうね」静真は眉を寄せた。「彼女の話はやめよう」颯太は霞と静真を交互に見ながら、事の次第を理解した。「ああ、そうだな。せっかくの食事が台無しになる」食事の途中、静真は天音からメッセージを受け取った。【お兄さん、急に思い出したんだけど、お兄さんって月子にブロックされた?】静真は先週末に本家に帰った際に、彼女とラインで連絡を取っていた。【されてない】【どうして急にそんなことを聞くんだ?】と返信した。天音は【私、ブロックされたのよ!】と返信した。それも二度も。天音は新しいスマホに機種変更したばかりだった。今日はどうも気分が晴れず、月子に嫌味を言いたくなったのだ。彼女も常に突拍子もない行動をとるわけ
Baca selengkapnya