「そ、そんな!そんなに待ってられないわよ!」 レイが焦った様に門番を問い詰める。 しかし門番達も毅然とした態度で頭を振るのみだった。「そう言われても仕方ないだろう。皆同じ条件でスコルフィオ様にお会いするのを待っているんだ。同業者ならまだしも、見ず知らずのお前達ではすぐお会い出来る訳無いだろ?」 「うぐ……」 そう言われてしまい二の句を継げないレイ。 認識操作が出来ない以上、特別扱いを受けることも出来ない。 しかし1年以上待ち続けるのは現実的では無い。「失礼、同業者なら、と仰いましたか?では仮に私達もここで働けばすぐお会い出来るのでしょうか?」 「それは……」 ニイルからの質問に、今度は門番達が言葉に詰まる。 彼女達の役職では判断に困るのだろう。 門番の2人が顔を見合せ、城の中から応援を呼ぼうとした時、まさにそのタイミングで城の中から人が現れた。 今まで街で見た女性は露出の激しい服装をしている事が多かった。 しかし目の前の女性は露出が少な目の、そして今まで見た女性達より豪奢な服を纏い、しかしそれでいてどこか色気を漂わせる美女であった。 聞いていた情報からもしやスコルフィオ本人なのでは、と期待を抱いたレイだったが。「ヴァイス様!」 門番達が別の名を呼んだことで少し落胆する。「……っ」 しかしここでレイの眼に異変が起こる。 ヴァイスと呼ばれた女性を見ると、眼がほんの少し痛むのだ。 この感覚は以前にも覚えがある。 少し顔を伏せ、バレない様に少しだけ『神性付与』を発動させる。 その結果、彼女は『神性付与保持者』だと判明した。(やっぱり!だとすれば彼女はスコルフィオにかなり近しい人物の筈!彼女から何か聞き出せれば……) そう考えた所でヴァイスと呼ばれた女性と目が合う。 慌てて目を伏せ能力を解除するレイ。 (バレた!?フードに認識阻害迄してるのに!?)「ふ〜ん……」 ヴァイスは何か納得したかの様な、不敵な笑みを浮かべながらレイ達へと近付き、そして戸惑っている門番達へ声を掛けた。 「どうしたの貴女達?何か困り事?」 それに門番の1人が困惑した顔で答える。 「いえ、その、この者達がスコルフィオ様に会わせろと言ってきまして。直ぐには会えないと伝えているのですが……」
Terakhir Diperbarui : 2025-07-24 Baca selengkapnya