「楽しかったね」「久しぶりだったからね」「やっぱりみっちゃんと一緒にいるのが楽しいな」「よかった」「手繋ごう」「いいよ」「へへへ」「どうしたの?」「幸せだなと思って」「これぐらいで幸せと思ってもらえるならいつでも手はあけとくね」「ならいつでもねらっとく」買い物の帰りいつのもような会話をしながら帰宅していた「さくらは辛かったかな」「辛かった?」「周りから2番っていわれていたことに私は全く気付いていなかった。自分が1番と言われていることすら気にしていなかった。だからさくらがどんな気持ちでいたのかわからない。屋上で話したときからたくさん考えたけど、やっぱりよくわからない」わからないというのは愛の本音なんだろう。実際愛は1番になろうと思ってなっているわけじゃなくて努力しているうちに周りより長けているポジションになってしまったというのが正しい表現だろう。1番を目指してきたわけじゃない愛にとってさくらさんの気持ちを理解するのは難しいのかもしれない。「辛い、辛くないはさくらさんにしかわからないことだから、それはいつかさくらさんに聞いてみていいと思う。愛とさくらさんは親友みたいな存在なんだから。ただ2番が1番を目指すというのはそんなに特別な気持ちではないと思うんだ。例えば中学時代、俺たちの地区には毎年優勝するチームがあったんだ。1年生の時は、あんな強いチームに勝てるわけないと思っていたけど、自分が3年生になったときにあのチームに勝ちたいって思うようになっていた。これは俺が何か大きく変わったというより学年が上がるごとに自然に変わっていったという表現の方があっていると思う。多分さくらさんが愛に勝ちたいと思ったのは何かがあったというよりは自然にそう思ったんじゃないかなと俺は思う。きっとそれは人が今の自分の殻を破ろうとしていて、その殻がさくらさんにとっては2位という殻なんじゃないかな」「殻?」「みんな自分に大なり小なり殻をかぶっていると思う。その殻を破れないから自分を出せなかっ
Last Updated : 2025-07-10 Read more