「冬凪」肩を貸すと、「ごめんなさい。助けられなかった。あたしのせいだ」光の球を放してしまったと言った。「違うよ。あたしがもっと早く気づけばよかったんだよ」その時、辻川ひまわりが大きな羽を広げて目の前に降り立った。「どっちのせいでもない。敵は前からミワに執着してこの機を伺ってた。どのみち向こうに捕らえられるのはわかってたこと」そしてミワさんは人柱にされてしまったのだと言った。「どこにいるかは分かるの?」調由香里の時、辻川ひまわりはその場所が分かると言っていた。「巨大なクレーターが見える」それを聞いて冬凪は頭を上げ、「爆心地なんじゃ?」「どの?」「千福家のかも。今晩これから千福家で爆発が起きる」 辻川ひまわりはそのまま千福家に飛んだ。あたしは冬凪をおんぶして六道園の残骸を出、植え込みの中で頭を抱えている鞠野フスキを助けてバモスくんに向った。駐車場に集まっていた沢山の人(ヴァンパイア?)は既にいなくなっていて、響先生の紫キャベツの軽自動車もなかった。その代わり沢山の消防隊員や警察官が緊急車両で押し寄せていた。 あたしは鞠野フスキに行き先を言った。「千福家へ行ってください」「ぜ(ry)」 千福家へ向う途中、辻沢の街中は人で溢れていた。町役場が倒壊すれば流石の辻沢も大騒ぎになるようだ。 スマフォが鳴った。出ると、「「今すぐお戻りください」」 安定の二重音声はまゆまゆさんだった。あんな小学生みたいな純粋顔して冬凪の血を啜ってたなんて。それが腹立たしかった。電話を切って、「戻って来いって」 冬凪に伝えると、「?」 理解不能のよう。「どういうことだろう? ミワさんが捕らえられたこと知っててかな。これから重大局面ってことも分かっててかな」 土蔵に直行するのか、それとも千福家の爆発を待つのか? 行く先はとりあえず千福家に違いないのだけれど、どっちなのかで、これからの様相が全然違う気がした。 満月の下、バモスくんは辻沢をゆっくりと走る。とっ
Last Updated : 2025-09-06 Read more