All Chapters of 捨てられ妻となったので『偽装結婚』始めましたが、なぜか契約夫に溺愛されています!: Chapter 111 - Chapter 120

127 Chapters

111

 ふたりがやっとひとつになれた瞬間は、予想以上に圧倒的な感覚だった。今まで別々の存在だった肉体が溶け合っていくような不思議な一体感が全身を包む。気持ちよくて幸せで、なんだかわからない奇妙な感情が込み上げてくる。 「……っ」  胸先をまさぐられ、思わず体が跳ねる。圧倒的な欲に下半身を貫かれ、蓮司の重みも重なって苦しい。  思わず漏れる呻き声に蓮司が気づいて動きを止める。「ひかり。辛くないか?」 「大丈夫……続けて欲しい。やめないで……あなたを、待っていたの」  秘めてきた恋心が花開いたかのように、一気に距離が縮まっていく。現実の身体の繋がりになって初めて実感できる。幸せ過ぎて、泣きたくなるような複雑な感情が渦巻く。 「ゆっくり行くぞ」  蓮司の優しい声に安心した瞬間、最奥で暴れる欲が私を快楽の頂点へと誘っていく。蓮司の背中に爪を立てながら、私は未知なる感覚に翻弄されていた。深いところで繋がった喜びと苦しさが交錯する。 「ひかり」低い声が耳元で響き渡る。汗で濡れた額に優しいキスが降ってくる。「ずっとこうしたかった……」  彼の呟きに笑顔を返した。「私も」 蓮司と同じ気持ちだと知れて嬉しい反面、全てを曝け出すのが怖い。  かわいくない女だと思われていないか? よがり狂ってはしたないと思われないか? きっと他に何人も関係してきたであろう他の女性と比べて見劣りしていないか? 不安は尽きない。 「なんでそんな顔しているんだ」 「だって……不安で」 「どう不安? 教えて」 「そ……れはっ、あ……ッ」 「言うまで焦らす」  耳元で囁き、耳朶を食み、ぷくりと立ち上がった敏感な突起を指先で転がす。「だめっ……」 緩急をつけながら全身を攻められ、奥もゴリゴリと雄槍で刺激され、なにもかもが蓮司でいっぱいで、おかしくなりそう。「いつまで耐えられるかな」 意地悪な笑みを浮かべ、私の奥を突いてくる。かと思えば胸先ばかりをいじめてくる。懇願しても無視され、しまいには達しそうになる体への刺激を止めてしまう。「も……許して……」 「じゃあ言って」 「言ったら嫌いになるよきっと……」 「ならないよ」  優しく口づけされた。「俺はもう、君に溺れてる。ぜんぶ見せて欲しい。ひかりのことをもっと知りたい」  甘く囁かれると、蓮司をきつく締めあげてしまう。
last updateLast Updated : 2025-11-19
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114

  「ひかりの中……本当に最高だ……」  彼が恍惚とした声を漏らす。その表情を見るだけで、私の中がきゅんとなる。  蓮司の律動が始まった。  昨夜あれほど深く愛されたのに、まだ足りないとばかりに体が応じる。彼の逞しい背中にしがみつき、律動から逃れようと試みるが、激しく突かれてそれも叶わない。窓辺から差し込む朝の光が汗ばむ肌を金色に染めた。 「お……母さまに……会えないっ……このままじゃ……ぁっ」 「母さんのことは、もういいって……。それより今は……集中しろ」  そう言いながら蓮司は突然、私の膝をぐいと押し開いた。結合部が朝日に煌めくのが見えてしまい、羞恥で全身が真っ赤に染まる。 「見ないで! こんな格好……や、ぁ」 「大丈夫。かわいいから」  その言葉と共に深い抽送が始まった。 「ひ……かり…………」 「れんじ……っ! 私も……っ、だめ……」  必死にしがみついて名前を呼ぶと、息を切らせながら蓮司が――  「ひかり……愛してる……」   彼の声が耳元で低く響く。その吐息さえも媚薬のように私の感覚を研ぎ澄ませていく。 「……っ! もう……あっ……」  彼の指が私の内股をなぞりながら、より深く結合しようと角度を変えた。突然の刺激に背中が弓なりに反り返る。 「んんっ! だめぇ……それ……」 「『だめ』じゃないだろう?」  蓮司が意地悪く微笑みながら、片方の乳房を掴み上げた。指先が乳首を摘み、くりくりと弄ぶ。「あぁっ! 同時になんて……イジワル……」
last updateLast Updated : 2025-11-22
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115

 昼の光がカーテンの縁を白く縫っていた。肌のどこもかしこも、昨夜の余韻で甘く痺れている。ゆっくりとシャワーを浴び、ニットワンピースに袖を通すと、鏡の向こうで私の頬は、見慣れない色に上気していた。「昼、どっか出ようか。いい加減お腹になにか入れないと、飢え死にする」 「ふふっ。じゃあ、遅めのランチご馳走になろっかな~」 「もちろん。謹んでご馳走させていただきます」 「ありがと。じゃあ……準備してでかけよう」 「今日は行きたいところがあるんだ」 「どこ?」  蓮司がしれっと言った。「指輪、見に行こ」「えっ? 指輪って……もうあるけど」  私は偽装結婚を持ち掛けられた時、ちゃんと蓮司に指輪をもらっている。本家などに行く時に着ける用だと言われたし。「そんなのダメに決まってるだろう。偽装結婚でやむなく買った指輪なんか俺が許せない」 「でも、もったいないよ。素敵な指輪だからこれでいい――」 「ダメ。ひかりの指には、ちゃんとしたものをはめたいから。見に行こう?」 「もったいないってば」 「じゃあ、普段使い用とよそ行き用と分けよう。それならいいだろう?」  どうあっても譲らないようだ。 「わかったわ。じゃあ、そうしましょう」 「いいね。そうこなくっちゃ」  蓮司が私を抱き上げた。「きゃっ」 「さあ、行こう」 蓮司って意外にはしゃぐタイプなのね。また、彼の知らない一面を知った昼下がりだ。  用意を整え、早速家を出てエレベーターに乗り込む。前面の鏡に並んだ私たちの顔は、どちらも少しだけ緩んでいる。外はからりと晴れて、週末の街は活気あふれる音で満ちていた。 まずは遅めの昼食。駅近くの小さなビストロで、私はレモンとハーブのチキンプレート、蓮司は牛頬肉の赤ワイン煮。パンを一つ交換し、スープを半分こするだけで、テーブルがふたりの家みたいに落ち着く。「そう言えば、そのブレスレット、前の夫に盗られたみたいだな」「え。なんで知ってるの?」 「知らないわけないだろう。社であんな騒動起こしておいて。潮にも確認したら丁寧に教えてくれたぞ」 亜
last updateLast Updated : 2025-11-23
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 私の胃がきゅっと固まるより早く、蓮司の声が真横で落ちた。「その脅し文句、今ここで取り下げろ。全部、虚偽だって」「はぁ? なにが虚像——」「1つ目」蓮司はスマホを出し、画面を私と球児の間に差し込む。弁護士事務所のロゴと、淡々とした文面が映る。「君の妻だと言う妊娠主張について、代理人を通じて医療機関に照会済みだ。妊娠週数を裏づける受診履歴は『無し』。母子健康手帳の交付歴も『無し』。通院歴すらない」 球児の眉間にしわが寄る。「2つ目」スクロール。別の書面。 「これは君が以前医療機関に提出した診断書の写しだ。——医学的に、『自分の子』という主張自体が成立しない体だ」 その一言で、球児の顔から血の気が引いた。わかりやすく青ざめている。  えっ……じゃあ、不妊って球児が原因だったの!?「み、見るな! そんなもん関係ないだろ!」「関係しかない」蓮司は冷たく切る。「3つ目。これは社の防犯カメラの保全動画だ」 画面が切り替わり、無音の映像が流れる。受付前。私の手首に触れようとする球児——私が身を引いた瞬間、影になった彼の指が金の輪にかかる。わずかな沈み込みでブレスレットが見事になくなっている。 次のカメラ。廊下の角で立ち
last updateLast Updated : 2025-11-25
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  蓮司の喉仏がすこしだけ上下した。ふだん鉄みたいに揺れない男の目に、ほんのわずか光が宿る。 「——反則だろ、それ。今の一言で俺は一生戦える」 「じゃあ、毎朝言うね。私の夫は世界一素敵、って」 「毎朝どころか、今もう1回言って」 「私の旦那様は、世界一素敵」変化球で行ってみた。  ふっと笑って彼は私を囲い込み、額に短い口づけを落とした。「行こう」 中に入ると白い大理石の床がピカピカ眩しく、ガラスのケースは淡く発光している。コンシェルジュがすぐに出迎えた。びしっとしたスーツに身を包み、素敵な女性の方だ。 それにしてもなんかもぞもぞする。こんな雰囲気のお店は性に合わない。「御門さま。お待ちしておりました。ブレスレットと同じKEYコレクションの指輪をご覧くださいませ。こちらに用意しております」  個室のサロンに通される。恐らくVIPルームというやつだろう。ミントの香りが薄く漂い、ベルベットのトレーに指輪が並ぶ。小さなダイヤが一粒入ったもの、シンプルだけども繊細なデザイン。どれも美しく輝いている。お値段にもさぞ光輝き、目がくらむことだろう。そして値札は当然ながらついていない。いったいいくらするのか……。(汗) 
last updateLast Updated : 2025-11-26
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119

 紙袋を丁寧に抱えて店を出る。指輪が左手で小さく光って、歩くたびに笑顔がこぼれる。 「そうだ、蓮司。寄り道していい?」 「ん、なにか欲しいものでもあるのか?」 「約束したじゃない。たこ焼きパーティーしようって。どうせなら、お母さまも一緒にやらない?」 「いいね、それ」 「でしょ」  蓮司は嬉しそうだ。 「総指揮は任せた。なんでも命令してくれ」 「了解。蓮司は副官ね」 「異議なし」  まずは家電量販店へ直行。  たこ焼きパーティーができるような大きなものはなく、仕方ないので普通のタコ焼き機を2台購入した。お母さまの下に送り届けてもらうように、手配する。 続いてスーパーで葱と紅生姜、天かす、粉、蛸——ついでに犬用のボーロまで籠に入れると、蓮司が「シリウスの分は最重要だ」と真顔で頷いた。そういうとこ、好き。 タクシーが実家の角を曲がる。見慣れた門柱の前で止まるや否や、内側から「ワンッ!」と破裂音。「シリウス!」  門が開いた瞬間、飛び出した彼は私と蓮司の間を往復ダッシュ。鼻先で私の左手をつつき、指輪の匂いを確かめ、それから尻尾が千切れそうな勢いでぶんぶん。「会いたかった~」 「ワン!」
last updateLast Updated : 2025-11-27
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120

「ちょっ……蓮司、それダマ残ってる。全然混ざってないよ」「……うるさい。やればできる」「できてないから言ってるの!」 横でお母さまが口元を押さえて笑う。「ふふ。蓮司、小さい頃から混ぜ物だけは苦手だったのよ。ケーキ作りでもホットケーキでも、いつも誰かに代わってもらっていたわね」「母さん、その話は今しなくていいだろ」「いいじゃない、夫婦なんだから蓮司のこと、もっと知りたいよ」 そう言うと蓮司が耳の先まで赤くなる。かわいい。  それを見たシリウスがワンとひと声あげる。まるで「照れてる照れてる!」と笑っているみたいだった。「じゃあ、私が生地は混ぜるから——蓮司はこっち。刻みネギ係」「……ネギ? 俺が?」「はい。包丁は危ないからゆっくりやってね」「お前、俺を子ども扱いしてないか?」「してるよ。だってさっきの混ぜ方、ほんとに子どもみたいだった」「……あとで覚悟しとけよ」 低い声で言われてドキッとした。お母さまは聞こえなかったふりをして微笑んでいる。  なんという空気の読める大人だ。  それにしても、冷徹本部長だと思っていた彼のこんな人間らしい一面が見られて嬉しい。  家族と一緒にいる時の彼は、ひとりの【御門蓮司】という人間になる。  それが、愛しい。 「よし、じゃあ、焼いていきましょう」 鉄板が温まり、流した油が馴染む。しっかり混ぜた生地を流し込むと、「ジュッ」という音を立てる。う~ん、いい音! 2台のたこ焼き器が同時に並ぶと、キッチンが一気に祭り会場のようになる。「たこ、入れるわね」  お母さまが手際よくたこを落としていく。「天かす、ひかり」 「はいっ」「紅生姜は俺が」 「蓮司、それ入れすぎ! そんなに入れたら紅生姜爆弾たこ焼きになるよ!」「……俺は紅生姜が好きなんだ」 そうだったんだ。知らなかった!「それはわかったけど、どう考えても入れすぎだから。バランスってものがあるのよ」 お母さまの笑い声、シリウスの尻尾の音、私たちのやりとり——全部が、いままで欠けていた家族の音だった。 くるり、とひっくり返すたこ焼き。  丸くなっていくたび、蓮司の顔が少年みたいに明るくなる。「ひかり、見て。ほら、俺のやつ……丸くなってきた」「わぁ、本当だ。上手になってきたじゃん!」「成長したんだよ、俺も」「いや、さっきの状態
last updateLast Updated : 2025-11-27
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