蓮司と中に入ると、大勢の本家の人間の視線が一手私に集中した。 怖気づいたりせず、堂々と背筋を伸ばして蓮司の隣を歩く。「よくきた」 以前お会いしたお祖父様が私に挨拶をしてくれた。上座に座っていて、こちらを見下ろしている。「して、ひかりさん。契約婚と伺ったがどういうことかな?」「それは俺から説明を――…」「蓮司は黙ってろ。儂はひかりさんに聞いている」 以前、真白さんを一喝したと同じように蓮司の言葉を遮った。 この家は、というより御門家の本家はお祖父様が頂点に立っていて、彼を納得させなければならないのだと直感した。 私はもう、嘘はつかない。 正直に自分の気持ちを話そう。 「まずは皆様、私や蓮司さんの軽率な行動で、要らぬご心配をおかけしてしまい、大変申し訳ございませんでした。最初は契約婚としたのは事実です。それは、私の口から説明させていただきます」 ぐっと顎を引き、みんなの方を向いた。「私は以前まで、別に夫がいました。とてもひどい夫で、ボロボロになって捨てられました。人間不信に陥って、もう誰とも結婚したくないし男性なんか私の人生に必要ないと思っていた離婚当日、蓮司さんに偽装結婚を持ち掛けられました」 みんな私の話をじっと聞いてくれている。隣の蓮司もそうだ。「でもそれは、彼なりの優しさでした。蓮司さんは私をずっと見守っていてくれて、でも、私がこんな状態なので距離の詰め方が判らずに、偽装結婚をしようと言われたのです。しかもその時、私はお金に困っていました。前の夫が愛人を妊娠させ、貯金を全部持ち逃げしたからです。背に腹は代えられない状態でしたので、契約婚を引き受けました。それが始まりです」 一呼吸置き、落ち着いてからまた話す。「暮らし始めてすぐ、蓮司さんとの距離が詰まっていきました。最初はなぜかわからなかったのですが、蓮司さんはいつでも私のことを考え、守り、助けてくれました。でもそれは、職場でも同じだったのです。私が気付かなかっただけで、蓮司さんはずっと私のことを気にかけてくれていたのだと思ったら…前の夫が私に危害を加えようとしていた時も、危機を察知し、守ってくれる姿を見て、本気で好きになりました。」 届いて欲しい。私の想い。「短い期間でなにを言っているのだ、前の夫と別れたばかりのくせに、と思われるでしょうが、それでも契約などではなく
Magbasa pa