佳乃を外へ連れ出し、ついでに佑介の「母親をひと目見たい」という悲痛な願いも叶える。そのうえで、いつ敵が襲ってくるか分からない安全面にも万全の気を配らなければならない。 小夜の肩にのしかかる重圧は、決して並のものではなかった。 そのくせ、以前はいちばん佳乃の外出に頑なに反対していた雅臣が、今は隣で気楽そうに微笑んでいる。あれほど強く外に出ることを拒んでいた人間には、とても見えない。 とはいえ、もう決めたことだ。 動きやすいフラットシューズで佳乃の前まで歩み寄り、小夜は微笑んだ。 「行きましょう」 どう転んでも、今できる手はすべて打ってある。 せっかく佳乃が外へ出るのだ。ならば今日は、余計な心配などせず心から楽しんでもらいたかった。 …… 遊園地。 あらかじめ上層部に話は通してあったため、小夜たちは足止めされることなく、従業員用の通路からそのまま園内へ入った。手配したボディーガードたちもすでに私服で園内に散っていて、一般の来園客を装いながら周囲に鋭い目を光らせている。 そんな物々しい警備のことなど何も知らない佳乃は、園内に足を踏み入れた瞬間からはしゃぎっぱなしだった。 今日は平日で、休日ほどの混雑ではない。それでも人は十分にいる。小夜と雅臣は、目を輝かせて次から次へと目移りする佳乃のすぐ後ろを、ぴたりとついて歩いた。 佳乃は長いあいだ、外の世界へ出ていなかった。 見るものすべてが珍しいのか、ほとんど興奮状態と言っていいほどだった。 小夜は佳乃の相手をしながらも、視線の端で何度も周囲を探った。佑介は来ているのだろうか。出発前、小夜は彼に伝えてある。もし遠くからでも佳乃に会いたいなら、チャンスはたぶん今日しかない、と。 だが、佳乃が遊び疲れ、少し遅めの昼食をとるためにレストランで休むころになっても、佑介の姿は見つからなかった。 気が変わって、来るのをやめたのだろうか。 それとも、もうどこかの人混みからこっそり見て、とっくに帰ったのだろうか。 けれど、メッセージひとつ寄越さないなんて。 小夜が少し心配になって首をひねった、そのときだった。 レストランのいちばん奥の席に、黒い半袖のシャツにハーフパンツを身につけた少年がひとり座っていた。うつむいたまま黒いベースボールキャップを深くかぶり、
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