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驚きの事実

Author: 相沢蒼依
last update Last Updated: 2025-08-14 14:55:42

 それは突然の出来事だった。

 リビングでパソコンとにらめっこしながら、さくさくと執筆活動をしていたときのこと――

「画集を出したら、どんな反応がくるかな?」

 ソファに座った郁也さんが、信じられないことを口走ったんだ。

 <(T◇T)>うぉぉぉぉぉ!!!

 僕の聴き間違いじゃないよね? 画集って言ったよね?  写真集の間違いじゃなく?

 胸の中にぐるぐると渦巻く疑問を抱えながら、そっと問いかけた。

「いっ、郁也さん、いきなりどうしたの。画集ってなに?」

「ん? このスケッチブックに描いたものを画集にしたら、どんな反応がくるだろうって思ったんだ。涼一はどう思う?」

 ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!!

 ……聴き間違いじゃなかった。この問いかけに、何て答えたらいいのやら。

「えっとですね、どんな反応だろう。想像つかないや、アハハ……」

 あさっての方向を見ながら答えた僕の顔を見て、ふーんと面白くなさそうに、気のない返事をした。

 頭の中には、小さくなった出川○郎が、

『ヤバイよ! ヤバイよ!』

 なぁんて叫びながら、何人も走り回ってる状態。

「それを画集にするなら、全部に色をつけたら、まぁまぁそれなりに見えるかもよ?」

 そんな適当なことを言った自分。

 郁也さん本人が写されたであろう写真集ならきっと、たくさんの人がこぞって買うんだろうなって思えるんだけど、この絵に関して、どんなジャッジが下されるのか、容易に想像ついてしまう。

「そっか。なるほどな! さっすが涼一、いいことを言う」

 ぱっと顔を輝かせ、傍においてあったカバンから色鉛筆を取り出すと、早速塗り始めたではないか。

 ――墓穴を掘ってしまったらしいΣ(|||▽||| )

 ショックで固まる涼一と、楽しげに色塗りをする郁也。近く画集が掲載される予定、かも――?
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  • ピロトークを聞きながら   驚きの事実

     それは突然の出来事だった。 リビングでパソコンとにらめっこしながら、さくさくと執筆活動をしていたときのこと――「画集を出したら、どんな反応がくるかな?」 ソファに座った郁也さんが、信じられないことを口走ったんだ。 うぉぉぉぉぉ!!! 僕の聴き間違いじゃないよね? 画集って言ったよね?  写真集の間違いじゃなく?  胸の中にぐるぐると渦巻く疑問を抱えながら、そっと問いかけた。「いっ、郁也さん、いきなりどうしたの。画集ってなに?」「ん? このスケッチブックに描いたものを画集にしたら、どんな反応がくるだろうって思ったんだ。涼一はどう思う?」 ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!! ……聴き間違いじゃなかった。この問いかけに、何て答えたらいいのやら。「えっとですね、どんな反応だろう。想像つかないや、アハハ……」 あさっての方向を見ながら答えた僕の顔を見て、ふーんと面白くなさそうに、気のない返事をした。 頭の中には、小さくなった出川○郎が、『ヤバイよ! ヤバイよ!』 なぁんて叫びながら、何人も走り回ってる状態。「それを画集にするなら、全部に色をつけたら、まぁまぁそれなりに見えるかもよ?」 そんな適当なことを言った自分。 郁也さん本人が写されたであろう写真集ならきっと、たくさんの人がこぞって買うんだろうなって思えるんだけど、この絵に関して、どんなジャッジが下されるのか、容易に想像ついてしまう。「そっか。なるほどな! さっすが涼一、いいことを言う」 ぱっと顔を輝かせ、傍においてあったカバンから色鉛筆を取り出すと、早速塗り始めたではないか。 ――墓穴を掘ってしまったらしいΣ(|||▽||| ) ショックで固まる涼一と、楽しげに色塗りをする郁也。近く画集が掲載される予定、かも――?

  • ピロトークを聞きながら   オカメちゃん

    「たらいまー!」 周防さんの家から、夜遅くに帰ってきた郁也さん。予想通り呑んでいるらしく、ご機嫌な様子だ(苦笑)「お帰りなさい、そんな状態でよく家まで帰って来られたね。足元が、ふらふらしてるじゃないか」 はーっと呆れながら言ってやると、持っていたカバンから、スケッチブックを取り出してぱらぱらめくり、顔色をパッと輝かせて、僕の手に強引に押し付けた。 ――また、いつものヤツを見なきゃならないのか…… 渋い顔をしながらソレを見てみると、どうやらオカメインコだというのが分かる。きちんと特徴を捉えているのが、郁也さんの絵なんだ。 しかし――「ねぇ郁也さん。どうしてオカメインコが、ワカメを食べているの?」 僕の質問にキッチンで水を飲みながら、何故か苦笑いをした。変なことを言ったつもりは、まったくないんだけどな。「どうして、周防と同じことを聞くんだ。オカメだからワカメだろ」 ( ̄▼ ̄)ニヤッ! 何故かこんな顔をした郁也さんを、どんな顔をして、迎え撃てばいいのか…… いくら言葉が似てるからって、ワカメを食べさせるとか、意味が分からないよ。ここはこの絵から回避しないと、変な地雷を無意識に踏んで、キズつけちゃうかもしれない。話題変換しないとな――「周防さんの家に、オカメインコがいたんだ?」「ああ。太郎が旅行に行ってる間、世話を押しつけられたらしい。よく喋る鳥でさ、タケシスキスキッて煩く騒いでたぞ」「ぷぷっ。それは聞いてるだけでも、周防さんがムダにテレまくってる姿が、想像ついちゃうかも」 真っ赤な顔して、オカメインコと向かい合ってる周防さん。なかなか可愛い絵面だな。「それだけじゃなくてな、随分と自己愛が強い鳥なのか、時折アイムスキという言葉を喋っていた。変わってるよなぁ」「アイムスキ?」 アイムスキ アイムスキ 歩、好き……あ、だからか! オカメインコとワカメをかける郁也さんだからこそ、気がつかないのかもしれない!「郁也さんそれって、歩好きっていう言葉だったんじゃないの?  それなら辻褄が合うよ」 くすくす笑いながら指摘してやると、(; ̄Д ̄)なんじゃと? なーんていう表情を浮かべた。「俺が突っ込んだら、周防は否定しなかったし」「そりゃそうでしょ。恥ずかしがり屋で素直じゃない周防さんだからこそ、誤魔化すことが出来て、ラッキーだと思っただろ

  • ピロトークを聞きながら   桃瀬画伯のお絵描き講座だよ

    *** 小説の執筆で、思いっきり煮詰まってしまった僕。ここは気分転換したほうがいいと、すぐさま判断して、郁也さんに声をかけた。「郁也さん、今、暇かな?」「ああ、どうした?」「あのね、この間言ってた、お絵描き講座やってほしいなって」 いそいそしながら、紙とペンを手渡す。「実は僕、もう描いちゃったんだけど」「何を描いたんだ?」「……周防さん。身近な人物なら、特徴捉えやすいかなって思ったんだ」「確かに身近な人間なら、特徴を捉えやすいよな。周防がモデルか、う~ん……」 しばし白紙を見つめ、意を決してから、さらさらっと描き始めたのだけれど。「いっ、郁也さん、ちょっと質問っ! どうして目から描いてるの?」 普通は顔の輪郭を描いてから、目などのパーツを描くと思うのに。「だってよ、その人が持つ、一番の特徴だから。大事な部分だから、最初に描いてるんだ」 うーん、言ってることは間違っていないと思うんだけど。そこから描くと、輪郭のバランスとるのが、すっごく大変じゃないのかな。 僕の心配を他所に目を描き終えると、慣れた手つきで輪郭を描き、鼻やその他の顔のパーツを描き始める。 もう誰が何といおうと、郁也さんワールドの絵が、どんどん展開されていき――「よしっ! いいのが出来た。周防に見せてやりたいぞ」 なぁんて自信満々に言い放つ郁也さんに、僕は微笑んであげる。(実際は苦笑いかも)「あは、ははは……周防さんの特徴、ちゃんと描かれているね。すごいや」 郁也さんが周防さんを見たまま描いたらしい絵なのだけれど、もう何て言っていいのか、分からないΣ(|||▽||| ) いつもこの絵は目から描かれてるから、絶妙なバランスが保たれているんだなぁ。 なぁんてことを絵をじっくり見て、考え込んでしまった。「それよりも、涼一のを見せろよ」「あ、うん。これだよ」「何だよ、この出来は……」「えっと、サラサラって描いてみました」「しかもこれ、逆だろうが」「逆って何が?」 ムスッとした郁也さんは、僕が描いた周防さんに、ばしばしっと指を差す。「何でこんなに、周防がたくましいんだ。どうして太郎が女々しく描かれているのか、理解できないぞ」 その言葉に、ワケが分からず首を傾げるしかない。「だって周防さん、年上だしさ。それに、しっかりとリードしてるじゃないか。僕の中

  • ピロトークを聞きながら   リクエストがきちゃった(汗)

    「……郁也さん、またお願いがあるんだけど」「どうした? 何でも言ってくれ」 嬉しそうに聞いてくる顔を見て、複雑な心境になる。「えっとね、絵を描いてほしいって、リクエストがきちゃったんだ」「ほー、何のリクエストがきたんだ?」 “o(* ̄o ̄)o”ウキウキ♪ ――ああ、もぅ、どうにでもなれ!!「リクエストはヒツジです! 描いたことある?」「あるぞ。新年パーティのお題に出たから。その絵を披露した時は、会場が騒然となった」 違う意味で騒然となったのだろうと、簡単に予測できた。 アセアセ( ̄_ ̄ i)タラー「じゃあ、今すぐに描けるね。お願いします!」「おおぅ、任せとけ!」 手渡した紙に、いそいそと描いたんだけど。何故だか、2枚も使って描いていた。 どうしてだ?  (・_・o)ン? (o・_・)ン? (o・_・o)ン? いつも通り、ものの数分で描き終えて、ニコニコしながら見せてくれたのだが。「どうだ、驚いたろ?」「…………」 何て言っていいのだろう。 コレは一体!? ( ̄□ ̄;)!!「……郁也さん、コレ、だれ?」 僕はヒツジを描いてくれって言ったのに、『しつじ』を描いている。しかも誰なんだ、このファンキーな人は。「これは、尚史naotoが書いた小説に出てくる、執事のキサラギってヤツ」 どうして、その人を描いたというのだろう? 実物を見たら分かるけど、やっぱ悲しくなるな。「郁也さん、ヒツジは描いたのかい?」「もちろんっ! ほらよ」『しつじ』の後ろに隠れてた紙を、堂々と手渡してきた。 ド━━━(゚ロ゚;)━━ン!! こっ、これは――「どうだ、参ったか」「……うん、さすがだね郁也さん。期待を裏切らないトコがホント、尊敬しちゃう」 わざわざモフモフと書いてたり、鳴き声まで入れてたり、彼なりにアレンジして頑張って描いたのだ。褒めてあげなければ……「僕、まったく絵心ないから、さらさらっと描けるのが羨ましいな」「じゃあさ、今から描き方、教えてやるぞ」 (; ̄Д ̄)なんと?「いっ、今はいいや。これから小説の執筆したいし……また今度ね」 どうしよう、このままだと桃瀬画伯のお絵描き講座に、入門しなきゃいけなくなる。 困ったな――おしまい※ちなみに桃瀬画伯の絵は、尚史が描いているのではなく、別の人間が描いていますw

  • ピロトークを聞きながら   桃瀬画伯ねた

    「ねぇねぇ郁也さん、どうして得意げに絵を描くようになったの?」 得意げという言葉がちょっとだけ、ひっかかりつつ――。「毎年行われる出版社の新年パーティで、イベントがあるんだ。1分間で、お題の絵を描いてみようって企画な。ジュエリーノベルから、俺が代表で出てるんだ」「へえぇ、誰が推薦したの?」 郁也さんの絵のレベルを知ってないと、推薦できないような気がするのに。"o(-_-;*) ウゥム…「三木編集長。太鼓判を押してくれた」「……そうなんだ。あのねこの間、仕事に使う手帳をちょっとだけ見たんだけど、これはなに?」「ああ、そのコは太郎の妹。小学5年生だってさ。周防の病院前であったんだ」 ……すざましい絵としか、いいようがないよ。きっとこんな人物に逢ったと、周防さんに説明するのに、喜んで描いたんだろうな。「でも、どことなく太郎くんの似顔絵にも、似てるトコがあるような……?」「だろだろ! ソックリだよな」「――どうして、こんなにワイルドさをアピールしたのか、理解できないんだけど」 実際に逢った彼は、そこまでワイルドな感じじゃなかったもの。「そうかぁ? 周防のソーセージが食いたいなんて言うとこなんか、まんまワイルドだろ。このビリビリに裂けて、肌を露出させたトコ結構頑張ったんだぞ」 確かに――どうして、ヘソ出しルックになってるのが疑問だったのだ。しかも胸ポケットに刺さっている物は、一体何だろう? あえて聞かないけどね。(ーー;).。oO(想像中) 気を取り直して。「あのね郁也さん、とあるクリエさんが【みたびぐだぐだ】というエッセイの706ページに、郁也さんが描いたインコを想像して、ねりキャンで作ってくれたんだよ。立体的に……」「ねりキャンって何だ?」「えっとね、粘土のように捏ねて作った物を、キャンディとして食べることが出来るお菓子なんだ。食べるのが勿体ないくらい、精巧な出来だった」 いろんな意味で、すごいって思ったんだ。そこで――「郁也さんに是非とも、インコの絵を描いてほしいって思うんだけど、どうかな?」「うーん、インコか。描いたことねぇな」「じゃあ早速、ネットで調べて描いてみる?」 傍にあったノートPCを引き寄せ、インコを調べようとしたら――「いやいや、そこはあえて脳みそ使って思い出しながら、俺なりに描いてみるよ。そのほうが、

  • ピロトークを聞きながら    ピロトーク:ピロトークを聴きながら⑦

     僕が一人暮らしをしていたときには、幸せなんてものを感じたことがなかったのにね。「鳴海さんに襲われたとき、もうダメだって思った。昔のようにヤられちゃうんだって、簡単に諦めちゃいそうになったときに、郁也さんの顔が頭の中に浮かんできたんだ」 あんな極限な状態だからこそ、一番愛しい人の姿が現れたのかもしれない。襲われた僕を見て、ショックを受けるであろう郁也さんの姿――そんな姿を見たくないって思ったら、諦めたくないって強く思った。「郁也さんのおかげで、必死に抵抗することができたんだよ。鳴海さんにとっては、大したことがなかったかもしれないけど」「だけど涼一が頑張って抵抗したから、俺が間に合ったんだぜ、きっと」「そうかな……」「絶対にそうだ、偉かったな」 愛おしそうに呟いた言葉に、目頭がぶわっと熱くなる。郁也さんはいつも、こうやって支えてくれていた。揺らぎそうになる僕を、きっちりと立て直して支えてくれて――。「うっ……こんな僕だけど、ずっと傍にいてもいい? 迷惑かけちゃうかも、だけど……」 郁也さんに対して、おんぶに抱っこな自分がどうしてもイヤで、離れたほうがいいって考えた。考えたのだけれど情けないことに、ひとりで立っていられる自信が全然なかった。 ――郁也さんなしでは、もう生きてはいけない――「さっきも言ったろ。俺はお前のために存在してるんだ。迷惑なんて、かかってこい! 受けてたってやる」 郁也さんは僕の頬に伝う涙を、掬うようにキスをする。悲しみも辛さも全部、受け止めてくれるようなそれに、胸がぎゅっと絞られるようで。余計に涙が溢れてしまった。「郁也さん……っ、……うっ、ありがと、う……」「ん――?」 慈愛の眼差しが、冷たくなった僕の心を溶かしてくれるみたいだ。「今回のことも、辛かった過去のことも全部、郁也さんと一緒にいるための糧だと思ったら、無駄じゃなかったのかもなって」「そうか……」 いつも言葉少なめだけど、僕に響く言葉を言ってくれるね。「僕がこんなふうに、強くいられるようになったのは、郁也さんのおかげだよ。ありがとね」 今は頼りないけど、きっと立ち直って強くなるから。郁也さんがいれば、きっと――。「とりあえずだな、お前泣きやめよ。まるで俺が苛めてるみたいだろ」「うん……ゴメンね……」 涙を拭おうと、郁也さんから手を離した途端

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