これまでの誕生日はいつも高瀬家で過ごしていた真衣は、友人たちとの関わりも少なく、祝ってもらうこともなかった。真衣の友人たちも彼女を忘れたわけではなく、ただ彼女の結婚生活を邪魔したくないと言う暗黙の了解があったのだ。真衣はプレゼントを受け取り、なぜか目頭が熱くなり、プレゼントを握り締める手に少し力を込めた。「先輩、沙夜、二人ともありがとうね」自分はこんなにも素晴らしい友人たちと職場環境に恵まれている。もう、何かのために自分のすべてを手放したりはしない。-沙夜は、食べたり飲んだり遊んだりが大好きで、ビリヤードもできる個室を予約して、さらに何人か友だちも呼んでいた。真衣の誕生日を盛大に、賑やかに祝うつもりだ。ラウンジバーにあるビリヤード場。沙夜はすでにビリヤード台を予約していた。沙夜は着くなり、キューを選び始めた。「こういう遊び、ずいぶん久しぶりだわ。働き始めてから、楽しいことが減った気がするなあ」沙夜はキューを選びながらぼやいた。「やっぱりテック業界って人をハゲさせるし、人の楽しみも奪うわね」もし家族にせかされなければ、自分も無理にこの会社の設立に関わらなかっただろう。少なくともここでは、自分は自由になれる。沙耶は真衣と安浩を見て、ビリヤードのキューを手に安浩の口元に近づけて言った。「テック業界のエキスパートとして二人に質問するわ。大量のデータを処理しているときは、どんな心境なの?どうしてそんなに楽しそうにできるの?」安浩は軽く笑い、目の前にあるキューを払いのけた。「そんなまねはやめてくれ」真衣は思わず吹き出した。「どんな心理状態なのか、沙夜もわかっているでしょ」何せ、沙夜はこれらを専門に学んできた。「私にわかるわけないでしょ?私のような落ちこぼれとあなたたちのような優等生の考え方は違うんだから」優等生は問題を解き終わると、問題を征服したという達成感がある。一方、落ちこぼれは問題に征服されてしまったように感じるだけだ。沙夜は最終的に手を振り、「まあいいわ、この話はもうやめよう。今日は真衣の誕生日だし、楽しく過ごそう。早速1ゲームやるか」「いいね」真衣はこれらの遊びをしばらくやっていなかったので、少し勘が鈍っている。沙夜は会場が少し盛り上がりに欠けると感じ、友人だけでな
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