沙夜はこういうことにいつも抜け目がなく、この時間に真衣が空いているかを安浩に事前に確認して、わざわざこの時間を選んで電話をかけてくる。真衣は同意の返事をしたあと電話を切り、隣にいた安浩にちらりと目を向けた。「じゃあ――」安浩は笑いながら言った。「女同士の話には口出ししないよ、行っておいで」-真衣は千咲を迎えに幼稚園に来た。真衣はしゃがみ込んで、千咲の小さなほっぺたをつねった。「今日は宿題は多い?よかったらママと一緒にお買い物に行かない?」「大丈夫、先生は宿題しなくていいって言ってたから」千咲は期待に満ちた目で言った。「ママと一緒にお出かけしてもいい?」真衣と千咲たちは長い間遊びに出かけられていなかった。真衣はそれを聞いて、胸が締めつけられる思いがした。数えてみれば、ここ2週間は千咲と外出せずに週末を過ごしていた。千咲は真衣の表情を見て、すぐに口を開いた。「ママのことを責めてるんじゃないんだよ。ただ、やっとママが休めるなあと思って」「一人でお家で遊んでるのも楽しいよ」千咲はお利口で気遣いもでき、真衣に気を遣わせたくないと思っていた。真衣がとても忙しいことは知っていた。真衣は千咲の頭を撫でた。「おバカさんね」真衣は千咲を連れて沙夜に会いに行った。大きなショッピングモールで待ち合わせをすることになった。沙夜にとって、久しぶりのショッピングだ。沙夜はまるでモールごと買い尽くす勢いで言った。「今日は気が済むまでショッピングするわ」沙夜は真衣の腕を組んで、「あんたが一緒じゃないと楽しくないの。他の人とだと、どうも気持ちが乗らなくてね」適当に済ませてしまうし、気に入ったものも見つからないし。お嬢様たちが連れ立って買い物に行くと、みんな内心いろいろ考えながら、ちょっとずつ見栄を張ったりする。お互いの家庭事情を探り合ったりもする。「私の誕生日では私が一番偉いから、あんたを誘い出せたわ」真衣は軽く笑った。「言ってくれれば、時間がある時はいつでも付き合うのに。まるで私が浮気者であなたを捨てたみたいな言い方しないでよ」沙夜はフンっと鼻を鳴らした。「あんたが仕事で大変なのを気遣ってるだけだよ?あんたは家に帰れば論文の準備もあるのに、それを知ってて私がショッピングに誘ったら、私はとんでもない自己
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