天音は部屋を出て行った。彼らは一体、何を話しているのか分からず、大輝と菖蒲は顔を見合わせた。「このままズルズルしていても仕方ないでしょう?要がこんな態度じゃ、松田家は結婚を考え直さざるを得ません」大輝はさらに玲奈を追い詰めた。大輝は菖蒲の手を引いて、帰ろうとした。玲奈は焦り始めた。大輝のやり方では、このまま引き下がるはずがない。それに、松田家は政界にも顔が利くのだ。玲奈は慌てて菖蒲の手を掴んだ。「待って」二つの声が同時に響き、要は蓮司を見た。「熱湯をかけろと指示し、デマを流したんだな。そろそろ落とし前をつけてもらうぞ」蓮司が命じると、入口に立っていたボディガードが扉を塞いだ。「松田社長、先ほどはどんな処分でも受けると言ったよな。逃げる気か」蓮司は、天音に危害を加えようとした奴を、見逃すはずがなかった。場の空気は一瞬にして張り詰めた。しばらくして、暁がノートパソコンを持って戻ってきた。天音は彼の隣に立っていた。暁は皆に、新たな監視カメラの映像を見せた。菖蒲が意識の朦朧とした要を支えながら寝室に入っていく。2分も経たないうちに、要は壁に体をぶつけながら出て行った。寝室内からは、菖蒲の悲しげな泣き声が聞こえてきた。そして、しばらくすると別の誰かが寝室のドアを開けた。ドア一枚を隔てて、途切れ途切れに喘ぎ声が聞こえてきた。そこで映像は途切れた。一同は驚き、松田兄妹を見た。「この映像は偽物です!」大輝はこの期に及んでも言い逃れようとした。思い出したくない記憶が一気に蘇り、菖蒲は唇を噛みしめ、俯いて涙をぽろぽろとこぼした。どうして自分は、要を陥れるようなことをしてしまったのだろうか。本当は、何もなかったのだ。しかし、このまま諦めることなんてできない。要が、自分の人生で唯一の光だったから。妹が事実上認めたのを見て、大輝は彼女の腕をぐいと引いた。「偽の映像で責任転嫁しようとするとは、この件は絶対に許しません!」今度は誰も二人を引き止めなかった。病室を出た途端、二人は警察に呼び止められ、そのまま連行された。もう何もかも明らかだった。要は菖蒲に手を出していなかった。二人は何もなかったのだ。そして、天音と蓮司のスキャンダルも松田兄妹の仕業だった。天音と蓮司は潔白で、全ては
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