「遠藤家だろうと、なんだっていうんだ?」蓮司もまた、一歩も引く気はなかった。「想花は俺の娘だ。まさか、俺の娘を連れ去ろうって言うんじゃないだろうな?」蓮司は天音の前にしゃがみ込み、目を見てほしいと願うように言った。「天音、もしこいつが本当にお前を愛しているなら、家族にこんな仕打ちをさせるはずがない。お前とこいつに、本当の愛情なんてないんだ。俺を恨んで、傷つけようとして、こいつと一緒になったんだろ?天音、本当に、すまなかった。俺と戻ってくれ。家族4人で、やり直そう」皆の前で、蓮司はみっともなく懇願した。妻さえ戻ってくれば、プライドも何もかもどうでもよかった。見ていた菖蒲は内心穏やかではなかった。そして、重要な点に気づいた。「愛情がないって、どういうこと?まさか、偽装結婚だったのですか?」玲奈は目眩がして倒れそうになったが、裕也に支えられた。「要、天音とは、一体どういうこと?最初に来た時から、何かおかしいと思っていた。まさか、ずっとを騙していたの?なんてこと……招待状はもう送ってしまったというのに。遠藤家の面目丸つぶれだわ」裕也は妻をなだめた。「遠藤家の面目が潰れるだけで、千葉家の面目は潰れないんだから、落ち着け」玲奈は裕也を睨みつけた。「あなたの育て方が悪かったのよ。親としての私たちの期待と祝福を、踏みにじるなんて」「そんなに大袈裟に言うな」裕也は妻を落ち着かせようとした。天音は急に目頭を熱くし、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。要は天音を腕に抱き寄せ、きっぱりと言い放った。「気が済んだか?」要の視線がホールを走ると、皆、息を呑んだ。「本当にお父さんと俺の娘のDNA鑑定をしたのか?」要は拓海に視線を向けた。拓海は顔色一つ変えずに言った。「したよ。要、こんなことは冗談で済む問題じゃない」「そうよ、無茶な言いがかりをつけないで」玲奈は怒り心頭で、弟をかばった。「冗談を言うのは、そっちのほうだろう?」要の冷たい瞳が、拓海を射抜いた。「千葉山荘での狩りの時、俺に向けられた矢は、本当にイノシシにぶつかって狙いが外れたものなのか?」その言葉に、拓海と菖蒲の顔色は、みるみるうちに青ざめていった。「どういうことなの?」玲奈は驚き、声を上げた。「狙いが外れたんじゃなくて、わ
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