「とはいえ、汐里のご結婚なら、お祝いの用意もしなくちゃね」「ええ……ただ、珠里ちゃんのことが少し心配で。汐里が結婚となれば、次は珠里ちゃんの番になるでしょ。伯母さん、珠里ちゃんにはずっと当たりが強かったから、どんなふうに話を進めるつもりなのか……」美穂は智美の方を向いた。「そういえば以前、珠里ちゃんが大桐市であなたを頼ったって話してたわね。あの子、困ったことがあっても私には連絡してこないのよ。あなたたちが羽弥市に来てしまったから、今ごろ大桐市でどうしているかしら」言われてみると、智美も珠里のことが急に気になってきた。そういえば最近ずっと忙しくて、珠里の様子を聞けていなかった。一度連絡を入れてみないと。「後で電話してみるわ」と智美は言った。美穂は心配そうにため息をついた。「あの子ったら、私に迷惑をかけたくないからって、ずっと既読スルーなのよ。他人行儀で水臭いったら。あの子、そんなに遠慮しなくていいのに。智美、あなたから聞いてみて。もしお金が要るなら振り込むから、そこも確認してあげてほしいの」「わかった」芸術センターに着くと、智美はすぐに珠里に電話をかけた。繋がらない。次はラインで連絡を入れた。それでも既読がつかない。おかしいと思い、珠里についているボディガードの勝也にも電話した。だが、勝也も出なかった。嫌な予感がして、智美はすぐに悠人にメッセージを送り、珠里の状況を調べてほしいと頼んだ。すぐに返信が来た。【わかった、今すぐ手配する】悠人が動いてくれるなら心強い。智美は少し気持ちを落ち着かせた。そこへ、梨沙子がドアをノックして入ってきた。顔を見た途端、何か悩みを抱えているのがわかった。「どうしたの?」離婚前の梨沙子とは、もはや別人だった。以前はいつも無意識に愛想笑いを浮かべ、服装も良妻賢母を絵に描いたような装いで、スカートは必ずひざ下まで、しなやかなロングヘアは毎日きっちりとまとめ上げ、一点の曇りもないほど、完璧に整えられていた。今の梨沙子は、髪をショートボブにカットし、パーマをかけて明るいカラーも入れている。服もシャープなパンツスーツに変わり、表情から媚びたような愛想笑いが消えて、その代わりに自立した女性の自信がにじみ出ていた。再び仕事に出るのは確かに楽ではない。でも、誰かに養われ
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