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第606話

Penulis: 清水雪代
離婚後の梨沙子がどうしてここに現れたのか、その場にいた誰もが不思議に思った。

もしかして後悔して、黒木家か佐倉家に復縁を迫りに来たのではないか――そんな憶測がひそひそと、心ない噂が飛び交った。

智美が歩み寄ろうとしたとき、ふと、すらりとした男性の影が梨沙子の方へ向かうのが見えた。

智美はすぐに察して、口元に微かな笑みを浮かべながらそっと引き下がった。

崇樹だった。

羽弥市の名家の中でも一、二を争う独身の超優良株が、よりによって梨沙子と通じているとは。

梨沙子は崇樹を見ると、はにかむような笑みを浮かべてから、そっと彼の腕に手を添えた。

周囲の視線が一斉に二人に集まった。

梨沙子は離婚歴があり、佐倉家からも見放されている。縁談としての価値はほぼゼロのはずだ。崇樹ともなれば相手なんて選び放題のはずなのに、なぜ彼女を選ぶのか。

どうせ遊びに決まっている、という目で見る者も多かった。あの深田家が、梨沙子のような傷のある女性を正式に迎えるはずがない。

梨沙子に向けられる視線に、いつの間にかある種の同情が混じった。豪門の奥様の座を自ら捨てて、男の慰み者に成り下がるとは――そんな勝
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