「えっと〜。契約者が、俺じゃ嫌 ? 」「え ? いや、そんな事ないけど……。 その……他の契約者とは違って……つまりサイとか蓮とか、そーゆー人が居ない時は、常にわたしのそばに居る的な契約だよ ? 」「寝る時とかは ? 」「今は狙われたりとか無いから大丈夫だけど……」「割とガチのSPだな」「それに、一緒にいたら本当に噂が止まらなくなるかもじゃん ? 」 恵也は軽く息を吐くと、そのままゴロリと床に寝そべる。 意外にも恵也は霧香との噂や、ネットの誹謗中傷を気にもしていない様子だった。「……でも、誰かはお前を守らないとさ。 嫌かもしれねぇけど、俺やるわ、第五契約者」「あぅ……別に嫌って訳では無いよ」 霧香としては、一番距離感の近くなる第五契約者に、一番気が合わなそうな恵也と組むのが不安なのだ。 だがそれは霧香の私見であり、この二人の本質は似たもの同士な上に、恵也は面倒見がいい寛容な男である。「……そのうち噂になるだろうから先に言っとく。 俺さ。兄貴いたんだよ」 唐突な語りに霧香はドキリとする。 彩から、触れない方がいいと言われていた話題だったからだ。 しかし会話に乗らないのも不自然だし、恵也が自分から身内の故人について話すのなら、何か伝えたいものがあるのだと悟る。 そっと恵也のそばに、同じく仰向けで寝転ぶ。「ふーん。そうなんだ……。仲良かったの ? 」 無機質な蛍光灯が眩しくて、手で光を遮る。「俺の実家って寺なんだよ。でも、俺も兄貴も寺なんか継ぎたく無くてさ。兄弟揃って、スティックだけ持ってこの街に来たってわけ。 でも俺には才能なんか全然なくて、兄貴にはあった」「お兄さんもドラマー ? 」「うん。パンク。インディーズからメジャーデビューに駆け上がるのが早くて結構人気もあった。上京前から結成してたバンドだけど、こっち来て一年ちょいくらいですぐメジャー」「凄いね」「そう。すげ
Terakhir Diperbarui : 2025-09-13 Baca selengkapnya