「何を言っているの!?」美宜は両目を見開き、信じられないという面持ちで立ち尽くした。あまりの衝撃に、自分の耳を疑わずにはいられなかった。岩治は彼女の動揺など意にも介さず、事務的な口調で医師に告げる。「すぐに手術の手配を」その一言で、美宜は聞き間違いではないと悟った。顔から一気に血の気が引き、土気色へと変わる。「私に手出しするなんて、司野さんが黙らないわよ!」岩治は、救いようのない愚か者を見るような冷ややかな視線を彼女に向けた。「社長の指示もなしに、私が暇潰しであなたに付き添ってここへ来たとでも?」――この女、一体何様のつもりだ。わざわざ時間を割いてやる価値など、微塵もないというのに。突き放された美宜は、唇を震わせながら激しく首を振った。「嘘よ、あり得ないわ!司野さんが私にそんなひどい真似をするはずがない!だって、産んでもいいって、そう言ってくれたのに……あなた、私を騙しているんでしょう!」岩治は、彼女の独りよがりな幻想を無慈悲に打ち砕く。「自惚れるのもいい加減になさい。社長は最初から、あなたに子供を産ませる気など毛頭ありませんよ」「でも、谷川さんが……谷川さんが、司野さんは納得してくれたって言ったのよ!」利津が司野を説得した――その言葉に、美宜は縋りつく。岩治は口角を歪めた。「あなたが宿しているのは、谷川さんの子供ですか?」「……っ!」美宜は言葉を失った。違う。ならば、利津の言葉に何の意味があるというのか。美宜の心は凍りつき、深い絶望が全身を覆った。――この子を流させたりしない!彼女は出口へ向かって駆け出した。だが岩治は追おうともしない。外には屈強な用心棒が控えている。子を堕ろさぬ限り、この病院を出ることは叶わないのだ。「離して!離しなさいよ!」廊下に、美宜の悲鳴が響き渡る。彼女は自分を阻む二人の男を憎悪に満ちた目で睨みつけたが、彼らは意に介さず、左右から羽交い締めにして引きずり戻した。「助けて!誰か警察を呼んで!この人たち、私の子を殺そうとしているの!」通行人たちは戸惑い、助けに入るべきか逡巡した。しかし、屈強な大男たちを前にして、足がすくむ。そこへ岩治が悠然と現れ、野次馬たちに向かって慇懃無礼に言い放った。「お騒がせして申し訳ありません
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