ガシャンという激しい衝突音が夜の静寂を切り裂き、悲鳴が暗闇に響き渡った。安田一家の乗った車が崖へ転落しかけたその刹那、もう一台の車が夜の帳を引き裂くように現れ、タケシの黒い車へと突っ込んだ。続けざまに凄まじい衝撃音が轟く。一台のSUVがタケシの車の助手席側を押し潰すように激突し、車体は大きく軌道を外れた。そのSUVを操り、乱入してきたのは――他でもない素羽だった。闇の中、二人はヘッドライト越しに視線を交わす。陰鬱な殺意が火花のように散り、互いに相手をなぶり殺したいという執念が渦巻いていた。素羽はアクセルを床まで踏み込む。激しく空転するタイヤが火花を散らし、二台の車は狂気じみたせめぎ合いを続けた。やがて、わずかに上回った素羽の執念が勝利し、轟音とともにタケシの車は岩壁へと叩きつけられた。漆黒の夜が、駆けつけた救助隊のライトによって白く照らし出される。タケシは悟った――すべてが露見したのだと。救助活動は、安田一家側と素羽側の二手に分かれて進められた。険しい表情の清人が駆け寄り、かつてないほど厳しい声で言い放つ。「君はどうかしている。今のがどれだけ危険だったか、分かっているのか」アドレナリンが噴き出し、心臓はなお激しく打ち続けている。だが素羽は恐怖を微塵も感じていなかった。ただ異様な高揚感に包まれている。「先輩、あいつよ!」素羽は興奮を抑えきれず叫んだ。「あいつがおばあちゃんを殺した犯人なの!」清人は彼女を支えながら車外へ導く。「分かっている。あとは警察に任せろ」彼自身の鼓動もまた、素羽に劣らぬほど激しく脈打っていた。ほんの一歩違えば、車ごと粉砕されていたかもしれないのだ。やがて警察が現場を包囲した。「中の者、動くな!」タケシは警官に引きずり出された。脚を負傷したまま地に立つと、陰険な眼差しで素羽を睨み据える。その瞳には濃密な殺気が宿っていた。だが素羽は一歩も退かず、その視線を真正面から受け止める。祖母を殺した者は、一人たりとも逃がさない。清人が彼女を連れて離れようとした、その瞬間――「パンッ」と乾いた銃声が夜気を裂いた。清人は即座に素羽を庇い、車の陰へと身を引く。タケシが警官から銃を奪い取り、さらに発砲して負傷させたのだ。荒れ果てた郊外は、殺しにも逃走にも適し
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