酔った人間というのは、極めて正直だ。今の詩織もまた、例外ではない。彼女は誤魔化すことなく、無防備なまでに素直に頷いた。「うん」「じゃあ……好きなだけしていいよ、ん?」詩織は、彼へ届かせようと懸命に顎を浮かせたが、どうしても距離が縮まらない。「……届かない」と、ひどくもどかしげに不満を漏らし、唇を尖らせた。柊也は彼女の華奢な肩をそっと抱きすくめると、自身もゆっくりと顔を伏せた。やがて、互いの鼻先が触れ合うほどの至近距離で動きを止める。熱を帯びた吐息が直接肌を撫でる距離。車内の空気が、途端に濃密で甘い色を帯びた。「これなら?」低い声で問う。ぎゅっと寄っていた詩織の眉間が、ようやくふわりと解けた。「うん、届く」少しだけ顎を浮かせ、そのまま彼の唇にそっと重なり合う。ブランクへの戸惑いか、それとも強すぎるアルコールのせいか。彼女の口づけは、ひどく浅くて無邪気なものだった。まるで甘いキャンディをペロリと味見するような、小鳥のようなキス。飢え切った柊也にとって、そんな物足りない接触で満たされるはずがない。だが、彼は決して自分から踏み込もうとはしなかった。下手に動いて、この奇跡のような美夢から彼女を現実に引き戻してしまうのが怖かったのだ。だから必死に冷静を装い、ただされるがままに詩織の柔らかな唇を受け止める。……それでも、わずかに荒れ始めた熱い呼吸と、理性のタガが外れそうになるのを堪えるため、シートを握り込む痛々しいまでに青筋の浮いた左手だけが、彼の限界が近いことを物語っていた。偶然か、それとも計算づくなのか。柊也の唇から微かに香るミントタブレットの清涼感が、今の詩織にはたまらなく心地よく、無意識のうちに深く溺れさせていく。だが、無理な体勢で首を伸ばし続けていたため、しばらくするとふいに疲れがどっと押し寄せてきた。「……もう、疲れちゃった」もどかしげに彼の唇から離れると、とろけるような甘やかな声音で、彼女はぽつりと不満を漏らした。「……ねえ、少しはあなたからしてくれないの?」――次の瞬間。詩織が瞬きをするよりも早く、張り詰めていた理性の糸が完全に千切れた。柊也の大きな手が彼女の柔らかな腰をぐっと引き寄せると同時に、唇が塞がれる。今度は彼の方から、貪るように深く、重い口づけを落とし
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