だが、自分の腕に絡むヒナの指の温もりが、それが紛れもない現実であったことを告げていた。ヒナのシャンプーと、彼女自身の甘く、どこか艶めかしい混じり合った香りが、まだ鼻腔をくすぐり、全身の感覚を呼び起こす。 (どうして、あんなに積極的だったんだろう……? 嫌がるどころか、むしろ俺を誘うような……) 熱を帯びた身体の奥から湧き上がる、じわりとした快感の余韻。ヒナの瞳の奥に見た、あの潤んだ輝きが、ユウマの胸を締め付けた。初めての経験だったはずなのに、まるで長年愛し合ってきた恋人のように、彼女はユウマの全てを受け入れた。その記憶が、ユウマの思考を支配する。 二人は自然と腕を組み、朝のまぶしい光の中を大学へと向かった。腕に絡むヒナの指先から伝わる柔らかな感触と体温が、ユウマの心臓を穏やかに揺らした。アスファルトの照り返しが眩しく、蝉の声が降り注ぐ中、二人の足音だけがリズムを刻む。 「ねぇ、ユウくん、昨日の夜さ……」 ヒナが耳元で囁くように話しかけてくる。その声は、まだ少し眠たげで、そしてどこか甘い響きを含んでいた。ユウマの顔が、また熱くなる。 「しっ……誰かに聞かれるだろ」 ユウマもまた、ヒナの耳元に顔を寄せ、小声で返した。二人の間に、まだ朝のエッチの余韻が漂っている。ヒナはくすりと笑い、ユウマの腕に絡ませた指を、そっと絡め直した。その仕草一つ一つが、ユウマの胸を甘く締め付ける。 「だって、ユウくん、顔真っ赤だよ? 可愛いー」 ヒナは楽しそうに、ユウマの顔を覗き込む。その瞳はキラキラと輝き、まるで悪戯を仕掛けた子供のようだった。ユウマは思わず目をそらしたが、ヒナの笑顔が眩しくて、心臓がドキドキと高鳴るのを止められない。二人の間には、誰にも邪魔されない、甘く、そして少し恥ずかしい秘密の空気が流れていた。 教室に入り、講義が始まっても、ユウマの意識は一向に集中できなかった。黒板の文字も、教授の声も、遠い世界のことのように霞んで聞こえる。彼の頭の中を占めているのは、ただひたすらヒナのことばかりだった。彼女の笑
Terakhir Diperbarui : 2025-09-06 Baca selengkapnya