そう言って、こはるは少しだけ寂しそうな顔を見せた。いや……なってるけど。ユウマは心のなかでそう叫んだ。しかし、時と場所を考えてくれ……ここは廊下だ。しかも歩いている時にやられると……周りの視線が気まずいだろ! っていうか、ハル……そういう人なのか? ユウマは胸の中に湧き上がった疑問を抑えきれず、尋ねた。「そんなこと……男子にやってるのか?」「え? ないない……はずかしーし、わたしのキャラじゃないもんっ。ユウくんには特別だよっ! えへへ♪」 こはるはそう言って、照れたようにユウマの腕にさらに強く抱きついた。「特別ね……」 ユウマの頭の中は混乱していた。何なんだろ……俺への特別って……? 他に、もっといい男子がいるだろうに。ユウマは、こはるの意図が全く掴めず、ただただ戸惑うばかりだった。「ね、ねぇーユウくん、メッセージ送ってもいー?」 やけにベタベタとしてくるこはるに、正直、メッセージのやり取りまでしたくないと思っていた。だが、腕に抱き着かれて可愛く言われると、断るわけもなく……「……あ、あぁ、ほら」 ユウマは観念し、連絡先を交換してしまった。「なんで俺なんだ?」 思わず、心の中の疑問が口からこぼれ出る。すると、こはるは首を傾げた。「ん? べつに? ユウくん優しいし……落ち着く! 話が合うしぃ―……迷惑だったりする?」 最初は警戒心が働いていたユウマだったが、ベタベタされるのにも慣れてきたのか、胸のドキドキは収まり、普通に会話ができるようになっていた。こはるの問いかけに、ユウマは複雑な心境を抱えながらも、どうにか笑顔を返した。 昼になり、ユウマが大学の食堂へ向かおうとすると、当たり前の
Terakhir Diperbarui : 2025-09-16 Baca selengkapnya