私は慌ててうつむいた。もう一度でも彼を見たら、返事をしたと勘違いされそうで。……翌日、晴人が会社に訪れ、私の紹介で理沙と面談し、契約書への署名が完了した。晴人が帰ったあと、理沙がしみじみと言った。「すごいね、夢でも見てるみたい。一日で二億も出資を取ってくるなんて!これで、ずっとやりたかったことを続けられるね」私は胸のつかえがようやく下りて、ふーっと息をついた。時生が私を倒そうとするなら、逆に立ち上がって見せてやる。理沙はまるで期末試験前みたいな意気込みで言った。「このニュースは絶対に成功させなきゃ。毎回、話題のトップを狙っていくわ。そうすれば、スポンサーも私たちに投資した甲斐があったと思ってくれるはずよ」「うん」私も同じ気持ちだった。晴人はお金に困っているわけじゃないけど、それでも誰だってお金が湧いてくるわけじゃない。今回のニュースで彼にも利益が出るなら、助けてもらった恩に少しは報いることにもなる。そのとき、理沙のオフィスの扉がノックされた。同僚は、理沙が「どうぞ」と言う前に飛び込んできた。「部長、まずいです!下に優子のファンが大量に集まって、『昭乃を出せ』って騒いでます。雰囲気、かなりやばいです!」同時に、理沙のデスクのパソコンから、ニュース更新の通知音が次々と鳴り始めた。画面を見た彼女の表情が一瞬で険しくなる。ページをスクロールしながら、理沙は怒りを噛みしめるように言った。「ひどすぎる!このクズども、よくもまあここまで話をねじ曲げられるね!」胸騒ぎがして、私は急いで画面を覗き込んだ。そこには、私が黒澤家の邸宅に出入りしている写真、そして昨日、時生に車へ押し込まれたときの写真まで、全部ネットに晒されていた。私の顔も、時生の顔も、はっきり写っている。添えられた文字は、ひときわ目を引く大きな見出しだった。【津賀優子と時生社長に破局危機!?謎の女、浮気相手か!】すぐにコメント欄には大量のサクラが流れ込み、世論を誘導し始める。【この女、浮気相手だよ!優子さんの兄のニュース書いてた記者!どうりで明彦さんみたいな立派な研究者が急に叩かれるわけだ!】【優子さんの婚約者を奪ったうえに、兄まで陥れるとか最低。恥知らず!】【優子さんのお兄さん、絶対無実だよ。全部この女のせい!優子が優しすぎ
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