優子のやり方を思い出すと、私は梨英に言った。「里桜がいなくても、芸能界には女優なんていくらでもいます。誰でもいいですけど、優子だけは絶対にダメです!」梨英は少し苛立った声で言った。「分かってる。いったん切るね、何とか方法を考える。この夜はもう寝られそうにないわ」その夜、私も一睡もできず、ずっとネットの世論を見続けていた。そしてこのヒロイン役の人選は、優子だけが狙っていたわけじゃない。里桜の騒動が起きたその夜には、すでに多くの女優たちがうちに連絡してきて、役の交代を希望していた。夜が明ける頃になって、ようやくこの炎上は少し落ち着き、各サイトの写真もかなり減っていた。おそらく、背後で晴臣が動いてくれたのだろう。……世論が落ち着いたことで、ようやく少しは一息つけると思っていた。だが、そんな甘いものではなかった。梨英からまた電話がかかってきた。その声には迷いと、ある種の妥協が混じっていた。「昭乃……いっそ、優子の起用も考えてみない?」私は思わず息を呑み、すぐに問い返した。「どうしてですか?」梨英はため息をついてから言った。「今日、時生社長から直接連絡があって、優子を出資付きで起用しろって。今の状況だと、もし優子を使わないなら、里桜の役を代わりにするためにまた高いギャラで女優を探さなきゃいけない。その分、さらにコストが跳ね上がる。このドラマ、放送できても黒字になるか分からないわ。でも優子を入れれば、時生社長が損失は全部負担するって。利益が出ればこっちのもの、赤字なら向こう持ち」「ダメです」私は即答した。「絶対に優子はダメです。評判だって良くないですし、彼女を使う意味なんてどこにあるんですか?」梨英は一言ずつ噛みしめるように言った。「意味は、稼ぐためよ。これは遊びじゃないのよ。それに優子は昔は評判が悪かったけど、今は流産の件で世間の同情を集めてる。それに時生社長との話題性もある。今はその流れを利用できるのよ」「それでも私は賛成できません」私自身、今の状況をひっくり返すいい案がないのは分かっている。それでも、必死に書き上げた小説が優子のような人間の手に渡るなんて、どうしても受け入れられない。梨英も追い詰められていた。声が冷たくなる。「三日だけ時間をあげる。神崎グループ本社に行って追加出資を取り付けるか、それとも私
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