奏多sideコンコンッ――――「失礼します、社長、今お話しよろしいでしょうか」社長室のドアがノックされると、秘書の佐藤が俺が返事をする前に部屋に入ってきてデスクに近づいてきた。礼儀やマナーを重んじる秘書の立場である佐藤が返事をする前に入ってくるなんてありえない。その慌てた様子に嫌な胸騒ぎがした。「一体どうしたんだ、何かあったのか?」「大変なことが起きました。こちらを見て下さい。今、我が社のメインバンクである月島銀行から財務状況を確認する外部監査を行う勧告書です」「外部監査だと?一体どうなっているんだ、住吉本体か?それとも関連会社か?監査はいつ行われるんだ?」俺が矢継ぎ早に質問をすると、佐藤は眼鏡のフレームを軽く持ち上げて一呼吸をついた後に一つずつ丁寧に質問に答えていった。「今すぐ対象会社の社長を呼び出せ。外部監査されるなんて一体、どれほど酷い状態なんだ。何か経緯があるはずだ。俺が説明を求めていると伝えてくれ。あと、直近三年分の決算資料を持参するように」「はい、かしこまりました。至急、説明に上がるように申し伝えておきます」「銀行に目をつけられるなんて今後の別グループ会社の心象も
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