奏多side翌日、社長室に差し込む太陽の光は不快なほどに明るかった。 デスクに向かい仕事に集中しようとするが意識は散漫として進まず、目の前には確認すべき重要書類がうず高く積まれている。昨夜の光景が焼き付いて離れない。窓の外に広がる都会の景色を眺めては、重苦しい溜め息を何度も吐き出した。(『僕は好きだよ』……『私も。連れてきてくれてありがとう』……『僕の大切な人なんだ』)東宮俊が、慈しむような笑みを浮かべて遥の腰に手を回した瞬間。 そして、あの遥が俺には一度も見せたことのないような心からの幸福に満ちた笑顔を返した瞬間。それらが何度も繰り返され、そのたびに俺は激しい嫉妬に苛さいなまれていた。「……クソッ」耐えきれなくなり、握りしめていたペンをデスクに叩きつけるとカタンという硬い音が静かな室内に虚しく響く。 昨夜、無理やり彼女の手首を掴んだ時のあの細く折れてしまいそうな感触と微かに漏れた「痛い」という掠れた声が鋭い刃となって俺の心を深く切り裂いた。あんなに大人しく俺がいなければ生きていけないと思っていた女が、なぜ日本最高峰の名家である東宮グループの御曹司の隣にいるのか。なぜ、あんなにも毅然とした態度で、
اقرأ المزيد