جميع فصول : الفصل -الفصل 20

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12.庭園の願い

遥sideパーティー当日。窓から差し込む朝の光を受け、ハンガーに掛けられたパステルブルーのドレスは、太陽の光を浴びて呼吸をしているかのようにキラキラと繊細な光を反射させていた。 上質なシルクと幾重にも重なる薄いチュール。その眩い輝きは、まるでおとぎ話のシンデレラのような優雅で周りを魅了する魔法がかけられているようだった。。「……すごく素敵なドレス。私には、もったいないくらいだわ」ドレッサーの前に座り、家政婦に髪を梳いてもらいながら私は鏡越しにドレスを見つめて小さく呟いた。家政婦は手を休めることなく、慈しむような穏やかな声で口を開いた。「遥様、今日もお庭の薔薇がとっても綺麗に咲いておりますね」「……? ええ、本当に。ここのお庭を眺めながらいただく紅茶が、私は何よりも好きなの。ダージリンの香りと、目の前に広がる季節の花々に、いつも心を洗われる思いだわ」二階の窓から視線を外へ向けると、東宮家の広大な敷地には色とりどりの花が咲き誇り、美しい景色が広がっている。「実は昔はあんなに華やかではなかったのですよ。昔は、芝生と植栽だけの緑一色の庭でした。お花なんて一輪もございませんでした。しかし、奥様が遥様がいつの日かこの家に帰っていらした時、最初に目に映る景色が色鮮やかであってほしいと願われ花の苗を植えたのです。『寂しい思いをさせてしまった娘を、最高に美しい花々で出迎えたい』と、庭師に相談され、自らも作業を手伝い
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13.初めてのパーティー

遥sideパステルブルーのドレスに着替えたあと鏡の前で唇に最後の色を乗せてから、私は深く息を吸い込み重厚な扉を開けて玄関へと向かった。支度を終えたタキシード姿の俊と娘の花蓮が私を待っていた。「遥、素敵なドレスだね。とってもよく似合っているよ」「ママ、とっても可愛い! お姫様みたい!」三歳になった花蓮は、お気に入りのテディベアを抱きしめながら駆け寄ってきて、私の手をぎゅっと握りしめている。ドレスの裾を汚さないよう片手で持ちながら腰をかがめて、花蓮の視線に合わせてから、柔らかな髪を撫でた。「ありがとう。花蓮に褒めてもらえてママ嬉しいわ。今から少しだけパーティーに行ってくるの。花蓮、おうちでお留守番できるかな?」「……うん。できる。だって、花蓮もう三歳だもん」そう力強く言うものの、瞳は少し不安げで隠しきれない寂しさが滲んでいる。その健気さに胸が締め付けられる思いでいると、隣にいた俊がすかさず花蓮に語りかけた。「花蓮、ごめんな。今日は、おじさんが無理を言ってママを誘ったんだ。明日、ママが帰ってきたら三人でとびっきり楽しいおやつタイムにしよう。」「本当?分かった。おじさま、
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14.再会 奏多side

奏多side会場を包む華やかな管弦楽の演奏も全く興味がなかった。 タキシードの襟元が、窮屈で早く解放されたくて仕方がない。財界の重鎮たちが顔を揃えるこの手のパーティーは、本来なら招待状を即座にシュレッダーにかけていたはずだった。「奏多、そんなに難しい顔をしないで。せっかく一緒に来たんですもの」隣で俺の腕に寄り添う麗華が艶やかな笑みを浮かべている。麗華の纏う真紅のドレスは、会場でも一際目を引く派手さだった。三週間前、 朝食を終えた俺の前にコーヒーを置いた麗華がこのパーティーに誘ってきた。「奏多、今度、財界のパーティーがあるんでしょう?父から聞いたわ。私も参加するように言われたから一緒に行きましょう」「それはそうだが……仕事と直接関係のない社交辞令の場はもう懲り懲りなんだ。今は、目の前の仕事に集中したいんだ」出されたコーヒーを一口飲んでから、苦い顔で断ったが麗華は一歩も引かずに説得を続けてきた。「あら?仕事に関係ないことはないわ。今度のパーティーはAIの技術を世界に伝えたハリー氏が来るの。彼に会うために世界中から著名な経営者が駆けつける。ハリー氏の技術は誰もが喉から手が出るほど欲しがっているし、経営理論は勉強になるはずよ」「それはそうだが……」「それにパーティーに参加できるのは、ごく一部のトップのみよ。だから、ビジネスに繋がるチャンスは大いにあるわ。お願い、私と一緒に行って欲しいの」麗華は俺の腕に手を絡めると、甘えるように上目遣いで俺を見つめている。しかし、俺が何も言わないでいると、麗華は一転して悲しげな表情を浮かべている。俺の腕から手を離すと力なく自分のお腹をさすっていた。「……そうよね。今の私には、奏多の支えになることが唯一の幸せなの。楽しみも、生きがいも失ってしまった私にとって、奏多の成功を考えてのことだったけれど、仕事が忙しい時に迷惑だったわよね。ごめんなさい」「……そんなことはない。麗華、ありがとう。会社で予定を確認してみる。少しだけ返事を待ってくれないか?」そう答えた途端、彼女はパッと顔を輝かせて俺の腕に抱きついた。その笑顔に俺はどこか言い知れぬ違和感を覚えながらも、結局その押しに負けてこの場にいる。(はあ、やはり時間の無駄だ。ハリー氏との接触などこの人だかりでは至難の業だろう。一刻も早く帰りたい)内心で溜め息をつき、喉を潤
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15.再会② 奏多side

奏多side俺の足取りは、自分でも制御できないほどに急いでおり人混みをかき分けていった。後方で置き去りにされた麗華の叫ぶ声が聞こえるが、今の俺にはどうでもいい。麗華の声を振り切り、視線の先にいる女性に少しずつ近づいていくと、歩くたびにドレスの裾が優雅に揺れている。自分の瞳に映る女性の姿が大きくなればなるほど、期待で胸が高鳴っていた。あと数メートルというところまで近付くと、​彼女は、長身の男の腕にそっと手を添えて親密な距離で語り合っている。(一体何を話をしているんだ?)​男が女性の肩を指で小さくトントンと叩いて自分の方を見るように合図を送っている。その仕草に、女性は優しい顔で微笑んで彼のことを見つめていた。人影に隠れながら、俺は二人の会話に聞き耳を立てた。しかし、何を話しているのか全く聞こえない。意を決して近づくと男の声が断片的に聞こえてきた。​「……僕は好きだよ」​遥に似た女性の耳元に顔を近づけて低く囁いている。その声は愛おしむような甘い響きを帯びていて、女性も頬を緩めて眩いばかりの柔らかい笑顔を浮かべた。​「私も。……連れてきてくれてありがとう」その幸せそうな表情を見た瞬間
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16.再会③ 奏多side

奏多side「申し訳ないが、仕事以外の話ならお引き取り願いたい。彼女は僕の大切な人なんだ」東宮俊は、毅然とした態度で俺の話を拒んだ。そして愛おしそうに彼女を見つめると、俊の手が遥の肩に置かれる。「もう時間だ、行こうか」優しく促して俺に背中を向けて去ろうとすると、俊は『もう他の男を寄せ付けない』という無言の圧力を放ちながら遥の腰へと手を回した。(遥にそんな気安く触るな……。遥も遥だ。俺の次は、東宮家の御曹司か? 結局、俺といた時も金が目当てだったということなのか。麗華が家を出入りするようになって自分の立場が危うくなったと感じて、俺から逃げるように、より条件の良い男に乗り換えたのか?)考えれば考えるほど、腹の底から苛立ちがせり上がってくる。一言、何かを言わなければ気が済まなかった。俺は、二人の後を追い、遥の細い手首を掴んで強引にその足を止めさせた。「おい、なんだその態度は! お前は遥だろう? 俺のことを忘れたなんて言わせないぞ。お前は、急にいなくなって今までどこで何をやっていたんだ!」「ちょっと、何をしているんですか。警備員を呼びますよ」「お前には関係ない。黙っていろ」俊が鋭く割
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18.電話

遥side「遥、大丈夫か? まさか、あの男がこのパーティーに参加しているなんて」奏多の姿が見えなくなったのを確認してから、俊が心配そうに私の顔を覗き込んできた。私のことを心から案じ、切なそうに眉を下げる兄。その温かさに自然と頬が緩んだ。妹思いで時に過保護なほど優しい兄の腕に手を添え、私は顔を上げて見つめ返した。「ありがとう、大丈夫よ。あの人と私は何の関係もないもの。もう過去のことだわ」「そうか。……でも、何かあったらすぐに僕が守るから遠慮せずに言ってくれ」この四年間で、私は本当の家族というものを知った。自分が無条件に愛され大切にされているということがこれほどまでに人を強く、幸せにするものだとは思わなかった。家族からの愛を実感することで、私は少しずつ自分自身を肯定し好きになっていった。それが自信となり、奏多と向き合ってもかつてのような悲しみや憎しみ、卑屈な感情は一切湧いてこなかったのだ。奏多に対して一歩も引かずに自分の意志を告げられたことに少しだけ誇らしく思いながら、再び前を向いて、ハリー氏のスピーチが始まるVIP席へと堂々と歩みを進めようとしたその時だった。――トゥルル、トゥルルルルル。バッグの中でスマホが震え、着信を告げている。画面を覗き
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19.花蓮

遥sideエントランスに飛び出すと、俊が事前に手配してくれていたおかげで、東宮家の車がすでにエンジンをかけた状態で待機していた。運転手が素早く後部座席の扉を開け、私たちが滑り込むように乗り込んだのを確認してからすぐさま発進させた。発信してすぐにスマホを確認すると、私と俊のところに東宮家の屋敷から何件もの不在着信が入っていた。折り返しの電話を掛けると、受話器の向こうから恐縮しきった執事の掠れた声が聞こえてきた。「遥様、この度は大変申し訳ございませんでした……。私どもの目が行き届かなかったばかりに、大切なお時間に遥様へお電話を差し上げてしまったようで……」「そんなことはいいわ! それより花蓮は? 花蓮は無事なの!? 今、どんな状況なの?」身を乗り出すようにして問いかける私の隣で、俊が心配そうに私の肩を抱き寄せながら耳を澄ませている。「それが……俊様と遥様がお出掛けになられた直後、花蓮様がお腹が痛いと仰ったのです。念のためすぐに体温を計りましたが、その時は平熱でございました。その後もしばらくは元気に遊んでおられたので、私どもも、お二人の不在に寂しさを感じられただけの、一時的なものだと安心しておりました。……しかし、夕方から急に発熱いたしまして。私どもが寝室で寝る準備に追われていた隙に、花蓮様が寂しさと不安から遥様に電話を掛けてしまわれたようです。ご心配をおかけして、本当に申し訳ございませんでした。……今は、主治医
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20.残像

奏多side東宮俊に手を引かれ、人混みを縫うようにして会場を駆け抜けていく遥の姿は、まるで映画のワンシーンを見ているかのようだった。スポットライトなど当たっていないはずなのに、二人が通る道だけが白く照らされているように感じた。この会場全体が、主役であるあの二人のために用意された舞台なのではないかと錯覚するほどだ。「遥……」俺の口から思わず漏れた微かな声を隣にいた麗華は見逃さなかった。麗華は険しい表情で俺の顔を覗き込み、問い詰めるような鋭い声を上げた。「遥って、あの遥? 確かに面影はあったけれど、あんなに美人ではなかったし、人違いだわ。第一、なんであの人がここにいるのよ? 手を引っ張っていたあの男は誰なの?」「……いや、間違いなく遥だ。俺は、さっきあの二人と直接話をしてきたんだ。遥も俺のことを覚えていたし否定もしなかった」「えっ、話をしてきたって? 知り合いの経営者に挨拶してくるって言ったのは嘘だったの?」麗華は俺を責めるように、じりじりと顔を近づけてくる。彼女の纏う濃厚なフローラルの香水が、酷く毒々しく鼻にまとわりつく不快な刺激となっている。俺は顔を歪めながら、先ほど目撃した光景と会話の内容をポツリポツリと吐き出した。
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