もし昔だったら、祖母の小鳥遊良子(たかなし よしこ)はきっとこう言っただろう。「馬鹿な子だね、私は知佳ちゃんのおばあちゃんだけど、あなたも私の孫だよ」と。あの頃、良子は二人の結婚生活に影が差していることを知っていたが、情けは巡り巡って自分に返ってくるものだと信じ、知佳が心を尽くせば、拓海もいつかその真心に気づき、知佳と同じように優しくしてくれると、そう願っていた。だが、今の知佳は、まるで魂が抜けたように不幸せだ。この子は自分の前では笑顔を取り繕うが、掌中の珠として育てた孫の心の内が、自分に分からないはずがない。そんな心にもない慰めの言葉だけは、どうしても口にすることはできなかった。良子が心の中でため息をついた後、拓海が洗い終わった皿を重ねる音が聞こえた。「ばあちゃん、後で食洗機を買って、取り付けてみましょう」良子の思考は中断され、笑って言った。「そんな大層なことはしなくていいよ」「大層なんかじゃないよ。これから俺たちと新しい家に住むとはいえ、リフォームにはまだ時間がかかる。俺にはもう祖母はいないが、知佳のばあちゃんは、俺のばあちゃんでもあるんだ」室内の空気に、突然、固まったかのように、胸の奥が軋むような切なさが込み上げてきた。胸の奥が、キュッと締め付けられるようで、痛くなった。知佳にとって、これは慣れた切なさだ。あの年、夕焼け空の下で、拓海の家族が分厚い札束を彼の顔に投げつけた時、知佳の心はこんな風に痛んだ。彼が夕陽を背に、不敵に笑いながら、「パトロンに囲われる方がマシだ、もう家族の金はいらない」と虚勢を張った時、彼女の心はこんな風に痛んだ。その後、彼が三日間も学校を休んだ。校外で彼を見かけた時、彼の袖には黒い喪章が巻かれていた。その時も、彼女の心はこんな風に痛んだ。さらに後日、彼が授業に戻ってきて、「知佳、俺の祖母が亡くなった」と告げた時、彼女の心の切なさと痛みは、まるで津波のように押し寄せた。……最後にこの切なさを感じたのは、結衣が遠い異国へ旅立ち、彼が「唯一の支えが崩れた」と絶望に打ちひしがれた時だった……何度も胸が痛むたびに、彼女は知っている。それは胸が締め付けられるような切なさなのだと。キラキラ輝いていた彼にも、人には見せたくない、たくさんの惨めさや不甲斐なさがあることを、彼女は切なく感じてい
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