警察のパトカーが来た理由に、教職員も生徒もみな興味津々だったが、式典はすでに解散していた。結局みんな、名残惜しそうに何度も振り返りながらも、規律を守って教室へ戻っていった。とはいえ好奇心は消えない。授業が終わると、皆こっそり何が起きたのか探り合った。知佳があとから知ったのは、パトカーが連れて行ったのが副校長だけではなく、教頭と蘭もだったということだ。数日後、公告が出た。副校長の重大な規律違反が公示され、主な内容は賄賂を受け取って生徒の学籍を不正に手配していたこと。その中には教頭の関与もあった。二人はもともと親戚だったのだ。さらに、地域のトレンドにまで上がった学内いじめ事件についても、公告で事実関係が整理された。被害者は知佳であり、バスルームの切り貼りされた映像は知佳の絶体絶命の反撃に過ぎなかった。デマの拡散に加担し、実際にいじめを行った関係者は、影響が大きく悪質であるとして、全員が処分を待つことになった。こうして、この件はひとまず決着した。関係する投稿もすぐに削除された。次の炎上案件が世間を騒がせれば、この出来事もいずれ忘れ去られていくのだろう。そして今回に関わった人々は、それぞれ自分の生活へ戻っていく。学校にはほどなく新しい副校長と教頭が赴任した。時は一歩進むごとに、大学入試本番が一日近づく。皆が勉強へ意識を戻していった。結衣も月南も蘭も、二度と学校へ戻って来なかった。どこへ行ったのか、知佳は知らないし、気にも留めなかった。とにかく、もう一つの時空で起きた悲劇が繰り返されなければそれでいい。拓海が二度とあの人と出会わないことを願うだけだ。騒動は次第に口にされなくなった。どれほど爆発的な話題も、最後は時間の川の底へ沈んでいく。それは当たり前のことだ。ただ、知佳のところへ聖也について聞きに来る人は増えた。静香はもともと推し活気質だ。寄付の式典で聖也を二度目に見た瞬間、即座に自分の「推し」枠へ入れ、しかも堂々の一位に据えた。「知佳ちゃん、あの日のお兄さん、どれだけカッコよかったか分かってる?あなたの手を引いて、『この子は俺の妹だ』ってドンと言ったときさ、うわぁって……本当に天から降りてきた神様みたいだった。カッコよすぎ、カッコよすぎ!」知佳はこの一週間で、静香のその台詞を少なくとも三十回は聞かされた。褒めるだけ
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