บททั้งหมดของ あなたの「愛してる」なんてもういらない: บทที่ 161 - บทที่ 170

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161話

夕方になると、周囲はもう真っ暗になっていた。 苓さんとカフェを出て、車に戻る。 車に乗り込んだけど、苓さんはすぐに車を発進させる事はせずに、口を開いた。 「──茉莉花さん。会社に復帰するのは、いつ頃になりそうなんですか?」 「そうですね……多分、来週末頃には復帰できそうです」 「来週末? 少し早い気がするんですが……本当に怪我は治りそうですか? 大丈夫ですか?」 「ふふ、大丈夫ですよ苓さん。ありがとうございます」 私を心配してくれる苓さんに、ほっこりしていると。 苓さんが数秒だけ黙った後、口を開いた。 「あの日……あの場所で、御影専務と速水さんと鉢合わせしたでしょう?」 「──っ、そう、でしたね。すっかり忘れていました」 そうだった。 確かに、あの日。お父様と苓さんと3人で食事をしようとした時、あのお店で彼らと鉢合わせしたのだった。 そもそも、私の怪我は涼子が私のヒールに踏まれてしまって、転倒した表示に私も巻き込まれて足を捻ってしまったのだった。 そんな事があったのに、私はすっかり御影さんと会った事すら忘れてしまっていて。 本当に、私の中で御影さんは過去の思い出になったのだ、と実感した。 そんな事を考えていると、考え込んでいたような苓さんが、私に顔を向けて問う。 「──彼女、速水さんですが……いつもああなんですか?」 「涼子が、ああとは……?」 「……あんな風に、わざとらしく茉莉花さんに怯える事、です。昔から速水さんはあんな感じなんですか?」 「──わざと、らしく」 苓さんに言われた言葉。 それを聞いた瞬間、私はぽかんとしてしまう。 苓さんは私の反応を見て、悲しそうな顔をした。 「……そうか、あれを毎回見せられていたら、当の本人は気づかない、か」 ぶつぶつ、と苓さんはどこか納得のいった表情で呟き続ける。 だけど、私は中々苓さんの言葉が飲み込みきれず、戸惑うばかり。 そんな私を見た苓さんは、ゆっくりと私に説明してくれた。 分かりやすく、私が理解しやすいように──。 「速水涼子。彼女が茉莉花さんの前で怯えたような態度を取るのは、確実に演技だと思います」
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162話

「え、演技……?演技って一体、どうして……どうして涼子がそんな事を……?」 なぜ、涼子が私の前で怯えた演技をするのか──。 私がそう考えていると、苓さんは答えを教えてくれた。 「速水涼子が弱々しくする時。その時は必ず彼女の近くに御影専務がいませんでしたか?」 「──み、御影さんが?」 「ええ。そうです」 苓さんに言われた言葉に、私は過去の事を思い出す。 そもそも、涼子がいるところには必ず御影さんが居た。 涼子は1人で私に話しかけになんて来ない。 学生の時、私に用があった際は必ず御影さんと一緒に来ていたから──。 だから、私は思い出した事を素直に苓さんに伝えた。 「え、ええ。御影さんは……いつも涼子の傍にいました、から……。まるでいつも何かから涼子を守るように、常に一緒にいました……」 「やっぱり……。子供の頃から、その態度しか見せられていなかったら、速水涼子はあんな風に引っ込み思案な女性だ、と勘違いしてしまいますよね」 だけど、と苓さんは続ける。 「その……俺や、兄の周りには……計算高い女性が自然と集まっていたんです、昔から」 「──!小鳥遊家の、ご子息だから?」 私の言葉に、苓さんは苦笑い混じりに頷く。 「ええ。……幼い頃から俺は、小鳥遊の持つ権力……、それに、兄達二人は容姿も整っています。だから、兄達の顔に惹かれて、昔から沢山の女性が集まってきました。必然的に、兄達と一緒に居る俺にも、女性が沢山……」 心の底から嫌そうに顔を歪め、苓さんがそう話す。 その様子に、私は苓さんが女性に対して嫌悪感を抱いているのに気が付いた。 今まで、女性に対して嫌悪感を顕にした事がない苓さんだったから、その態度にびっくりしてしまう。 確かに、苓さんの容姿はとても整っていると思う。 格好いい男性だと、そう思う。 だからこそ、苓さんの容姿だけに惹かれて、昔は沢山の女性が苓さんに近付いて来たのだろう。 私の考えを肯定するように、苓さんが言葉を続けた。 「子供の頃から、女性のそういう……計算高い姿とか……裏では醜く争っている姿を見てきました。兄に気に入られようと、俺に取り入ろうとする人もいました。……そういう女性達は無害さを演出したり、演技したりするんです」 「そんな人ばかりを、苓さんは見てきたんですか……?」 私の言葉に、苓さんは眉
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163話

ただ、気の弱い子なんだ。と、そう思っていた。 長年、そう信じ込んでいたのだ。 それなのに、それが全部演技だったの……?嘘、だったの……? そう考えると、私は愕然としてしまった。 「ああ言う女性は、自分を弱者に見せるのがとても上手いです……。そして、異性の懐に潜り込む……」 「異性、の……」 「ええ。潜り込んだのは……茉莉花さんも、もうお分かりですよね?」 苓さんの言葉に、私はこくりと頷いた。 そんな事をしてまで涼子が近づきたかったのは、ただ1人しかいない。 「分かります……御影さん、ですよね?」 私がそう言うと、苓さんが真っ直ぐ私を見つめ深く頷いた。 そして、口を開く。 「ええ……茉莉花さんと同じく、御影専務は幼い頃からあの演技に騙され続けていると思います。……突然、御影専務の態度が変わった事はありませんか?」 「──っ、確か、子供の頃にありました……!」 苓さんに問われ、心当たりがあった私は、驚きのあまり自分の口元を手のひらで覆ってしまう。 だって、あの頃と言ったら。 まだ全然子供の頃の話だ。 恐らく、あの頃はまだ小学校低学年くらいだったと思う。 でも──。 私が小学校低学年と言う事は、その当時の涼子はまだ小学校に上がるか上がらないか、と言う年齢のはず。 そんな子供の頃から、本当に涼子が演技をしていたのだとしたら──。 「御影さんが冷たくなり始めたのは、まだ私が小学校低学年の頃です……涼子はまだ小学校に上がっているかどうか……分からない頃ですよ?本当に演技をしていたのであれば……」 「……狙ってやっていたのだとしたら、何か理由があるはずです。……御影家の御曹司が欲しい、と言う単純な理由だけではない可能性があるかも」 そこで苓さんは一旦言葉を切ると、私の手を握った。 「茉莉花さん。速水家と、茉莉花さんの藤堂家──。昔、関わりがあったかどうか……調べる事はできますか?」 「私の家と、涼子の家が……?お祖父様の時代とか……それよりもっと以前から……の?」 「ええ。もしかしたら、速水と藤堂家には何かしら……あったのかもしれません」 因縁、めいたものでもあったのだろうか──。 そして、涼子は誰かから言われて、御影さんと仲良くして、私を遠ざけた……? もし、そんな事が本当に。 実際に起きていたとしたら。 「……
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164話

「……まだ、確かな事では無いので、裏が取れたら必ず茉莉花さんにもお伝えしますね」 「分かりました……絶対、ですよ?」 「ええ、必ず」 何だか、上手くはぐらかされてしまったような気がする。 だけど、苓さんはそれ以上教えてくれるような気配が無い。 まだ苓さんと出会って短いけど、何となく分かる。 苓さんは、私に対して絶対嘘はつかないし、話すべき事だ、と判断した事柄については隠さずに全て教えてくれる。 その苓さんがまだ、と判断するならそれはまだ私が知るべき物ではないのだろう。 苓さんが抱えている物を、私も一緒に抱えたいけど。 焦らず、苓さんが話してくれるのを待とう。 「……じゃあ、車を出しますね。家まで送ります」 「はい、お願いします苓さん」 にこり、と笑みを浮かべた苓さんに、私も笑顔を返す。 それからの車内では。 涼子に関して、再び話題に上がる事はなく、穏やかに時間が過ぎた。 苓さんに家まで送ってもらった私は、玄関まで苓さんに送ってもらい、そこで別れた。 苓さんが見えなくなるまで手を振って見送った私は、くるりと踵を返して家に入った。 苓さんが教えてくれた、涼子の演技の事──。 涼子が長年、私に怯える演技をしていた理由は、1つ。 涼子の目的は、御影さん。 子供の頃に御影さんの態度が変わったのは覚えている。 冷たくて、私を責めるような目をしていた。 そんな目を向けられた事なんて無かったのに。 そんな子供の頃から涼子が御影さんに私について何かを伝えていたのだとしたら。 「涼子本人の考えだけじゃない、はずよ。……絶対に大人の思惑が絡んでるわ」 思惑が絡んでいるなら。 速水家とうち……藤堂家が昔、何かあったに違いない。 お父様に聞こうにも、お父様は最近お忙しそうだし、お祖父様に確認するのも……まだ、早い気がする。 それなら、藤堂の祖先が残した資料を確認するのがいいかもしれない。 その資料を保管している書斎がある。 書斎には自由に出入りする事が出来るし、涼子の家──速水家について何か分かるかも。 私は、自分の部屋には戻らず、書斎に向かうために廊下をゆっくりと歩いた。 幸い、足を怪我してしまったせいで、時間はたっぷりとある。 新規事業の仕事に響かないように気をつけながら資料を確認しよう。 そう、考えながら廊下を歩い
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165話

藤堂の、歴史は古い──。 そのため、家に関する資料はとても多い。 だけど、重要な資料は書斎には保管されていない。 お父様か、お祖父様が厳重に管理しているから、許可を頂かないと、閲覧ができない。 私は書斎の扉を開き、入室する。 「ここは、昔から埃っぽい……変わらないわね」 多少咳き込みつつ、私は本棚を見上げる。 藤堂本家の家系図が並べられている、棚。 藤堂の歴史が記された本の、棚。 そして、歴代当主の個人的なプロフィールが書かれた本の、棚。 色々な資料が沢山ある中で、私は過去藤堂と取引を結んだ企業や、個人などが記録されている本を見つけてそれを取り出した。 「この中に、必要な情報があればいいんだけど……」 一番早いのは、速水家との何かが記録されていれば良い。 数代前でも、もっと昔でも良い。 何か、関わった記録があれば。それが確認できれば。 そうしたら、苓さんと情報を共有して。それで──。 そこまで考えていた私は、ふと疑問に思う。 「でも、苓さんはどうして涼子の事をこんなに調べるんだろう……?」 演技をしていた、と分かった事は喜ばしい事。 過去の私は、どうして御影さんから急に嫌われてしまったのか──。 その謎が解けたような気がするから。 苓さんが言っていたように、多分涼子は御影さんの前で私に怯える事を繰り返し、そして私に関する何かしらの嘘を言ったのかもしれない。 だからこそ、御影さんは幼い頃に突然私を避けるようになった。 そして、そのまま御影さんは涼子の事を信じ続け、私を嫌った──。 でも、それなら。 そこで、終わりじゃないの……? 御影さんとの婚約が破棄された今、涼子にはもう邪魔する人間がいない。 それなのに、そこで終わらず、苓さんは更に調べようとしている。 「確か……幼い涼子が、演技をして人に取り入るのは……誰か他の人間、大人の指示があったのでは、って苓さんは言ってた……」 苓さんの口振りは、それで終わった風じゃない。 それ以外についても、何か調べようとしている。 「苓さんは、何か……私が知らない他の情報を知ってるの……?」 だけど、そうとしか思えない。 けど、苓さんは基本的に私と情報を共有してくれる人だ。 出会って短いけど。 だけど、一緒に過ごした時間は短いけど、苓さんの人となりを見ていればそ
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166話

私は、急いで自分の鞄からスマホを取り出し、苓さんの名前を呼び出す。 電話をかけようとして、そこでタップしようとしていた指が止まった。 まだ、私が家に戻ってからそんなに時間が経って無い。 苓さんは運転中かもしれない──。 電話がかかってきたから、と運転中の苓さんの邪魔をして、もし苓さんに何かあったら嫌。 「……今度、直接お会いした時に苓さんに話してみよう」 それに、お父様にお母様の病室や名前の変更についても聞かなくちゃ。 お母様のお見舞いにも不便だし、部屋番号と、変更した名前を聞かないと。 「ひとまず……速水家の記載がないかだけ、確認しよう……」 私はテーブルの上に自分のスマホを置き、再び資料探しに戻った。 スマホを手放してしまったから、見知らぬ電話番号──その相手は、御影さんだったのだけど。 その人からの着信があったけど、私はそれには気が付かなかった。 私が着信に気が付いたのは、自分の部屋に戻って、寝支度を終えた後。 苓さんから連絡が来ているかな、とスマホを確認した時、見知らぬ番号から電話がかかってきていた。 仕事関係の電話だったら大変だ、と思い、すぐにかけ直した。 今思えば、私用スマホなんだから、仕事の関係者は私用スマホに電話なんてかけてこないのだけど。 昼間、色々な事があって。 私はついついその考えが抜けてしまって、呼出音が途切れて、相手の声がスマホのスピーカー越しに聞こえた時に、それに気付いた。 「──っ、御影さん!?」 「どうして私が御影さんの電話番号を登録しなくちゃならないんですか?もう、私たちが連絡を取り合う必要は無いのに……」 私の言葉に、電話の向こう側にいる御影さんの機嫌が悪くなったのが、スマホ越しでも分かった。 不機嫌になると、御影さんは沈黙する。 それがとても重たい雰囲気で、私はその沈黙がとても苦手だったから。 だけど、今はそんなのどうだっていい。 「もう、切りますね。私は御影さんと話す事は無いので──」 私が通話を切りそうな事を悟ったのだろう。 御影さんは、口早にそう言うと、私に電話を切らせないよう矢継ぎ早に問う。 ああ、また涼子
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167話

自分の言葉が、私に届いていないと思ったのだろう。 御影さんは、もう一度。 今度は、はっきりと分かりやすく問う。 「言い掛かり……?涼子の事、ですか?」 まさか、御影さんが私の怪我の心配をするなんて思わなくって、私は唖然としてしまう。 今、私が話しているのは本当に御影さん本人なの? 偽物じゃない、の? それとも、御影さんは何かを企んでいるの? そう、疑ってしまう。 私が沈黙した事で、私が怪しんでいると察したのだろう。 御影さんは軽く咳払いをして、もう一度言葉を紡ぐ。 「──……」 「それこそ、御影さんには関係ない事です……。父が誰と会おうと、御影さんには関係ないでしょう?」 まさか、私に拒絶されるとは微塵も思っていなかったのだろう。 電話越しに、御影さんが息を飲んだのが分かる。 どうしてそんな反応をするのか。 私は、御影さんの考えている事が心底分からない。 「用事は、それだけですか?なら、もう電話を切ります」 焦ったような御影さんの声が聞こえてくる。 そこで私は、以前から嫌だな、と思っていた事を御影さんに伝える。 「それと……私の名前を呼ばないでもらえますか?親しい方以外に名前を呼ばれるのは、とても嫌なんです」 御影さんが、絶句する。 私は、御影さんが黙ったのをいい事に、遠慮なく通話を切った。 ぶちり、と私と御影さんの通話は強制的に終了した。 だけど、間髪入れずに再び私のスマホが着信を知らせる。 「……っ、
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168話

「苓さんっ!」 私を揶揄うようにくすくすと笑う声がスマホ越しに聞こえる。 低くて、甘い苓さんの落ち着いた声に、私は素直に頷いた。 「そうなんです。早く苓さんの声が聞きたくって」 苓さんが息を飲んだのが分かる。 私が、苓さんに想いを伝える事を躊躇わなくなってから。 私が苓さんに素直に気持ちを伝えると、こうして苓さんが照れて黙ってしまう事が増えた。 その様子が、何だかとても可愛らしく思えてしまって。 大人の男性に可愛い、なんて言ったら怒られてしまいそうだけど。 可愛らしい苓さんの態度が、とっても愛おしくて。 私がくすくすと笑っているのが苓さんにも伝わっているのだろう。 苓さんの悔しそうな声がスピーカーから聞こえる。 「そんな!揶揄うなんてしてませんよ。私は素直に思った事を言っているだけです」 「私がいたら?」 「──っ!?」 苓さんの言葉に、私は真っ赤になって絶句してしまう。 どうして、今そんな事を──。 それに、苓さんは、あの日言ったのに。 「れ、苓さんは……私のお祖父様に報告するまでは……」 壮絶な色気を含んだ苓さんの声が、スマホから聞こえてきて。 私の耳に直接吹き込まれているような感覚に陥り、私はついついスマホを落としてしまった。 スマホから、少し焦ったような苓さんの声が聞こえた。 私は慌てて自分のスマホを手に取ると、再び耳にあてた。 「ご、ごめんなさい……何でもないです。ちょっと、スマホを落としてしまって……」 くつり、と喉の奥で笑う苓さんの声が聞こえる。 私は顔を真っ赤にしたまま、口を開いた。 「そ、そうだ苓さん……家の資料を調べてみたんです……!」 それまで、楽しげに響いていた苓さんの声が、真剣味を帯びる。 私も、頭を
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169話

翌朝。 昨夜、お父様は急な出張が入ってしまったらしく、その日は家に帰って来なかった。 そして、お父様からの電話で私はある仕事を任された。 私は、その手紙──招待状を手に、会社のデスクで頭を抱えていた。 私の足の怪我が完治するまで出社は駄目だ、とお父様にも苓さんにも止められていたけど、お父様が出張で不在の今、こなさなければならない社長の通常業務がある。 今までは副社長や他の役職が臨時的にこなしていた仕事だったけど、私が会社に復帰した今。 お父様はその全ての臨時業務を私に対応するように、と告げたのだ。 会社に行かなければこなせない仕事がある。 その為、私はお父様の秘書である上尾さんの助けを受けつつ全ての業務を終え、本部長である自分の仕事に戻ったのだけど──。 私は、本部長室に戻るなり、自分の頭を抱えた。 お父様が出張中に、開催される企業のパーティー。 定期的に開催されているそれに、お父様は必ず出席していた。 だけど、今回のパーティーは出張と被ってしまい、どうしてもお父様本人が参加できないらしい。 それの、謝罪と、お詫びの品を主催者に。と、お父様から頼まれたのだけど──。 「お父様の代理で、パーティーに参加するのはいいのだけど……」 私は、ちらりとその招待状に視線を落とす。 そこに記載されていたのは、異性のパートナーの同伴必須と言う文字。 「お父様は、私に声をかけるつもりだったみたいだけど……。お父様がいない今、私が頼める異性って言ったら……」 苓さんしかいない。 昨夜の電話で言われた苓さんの言葉を思い出してしまい、私は情けない声を漏らす。 しかも、パーティー。 苓さんとパーティーに参加したら、どうしてもあの時の事を思い出してしまいそうで。 平静でいられる自信がない。 「でも、苓さん以外の男性をパートナーとして他の人達に紹介なんてしたくないわ……」 企業主催のパーティーだ。 私が、会社に復帰した事。そして、男性をパートナーとして紹介したら。 その男性は、自然と私の婚約者だと周知されそうだ。 「以前、御影さんの事を紹介したあの時のパーティーは、虎おじさまのパーティーだったから、業界人はあまりいなかったけど……今回はもう、無理ね」 ここで苓さんを紹介すると言う意味は、大きい。 「とうとう、お祖父様にお話する日が来た
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170話

パーティーが翌日に迫った日。 私は、とあるブランド店の前で人を待っていた。 私が苓さんに事情を説明したら、苓さんは快く私のパートナーを引き受けてくれた。 そして、今日は私のパーティードレスの新調に、苓さんも付き合ってくれる事になったのだ。 「──茉莉花さん、すみませんお待たせしました!」 「苓さん!」 苓さんの声に、私が振り向くと。 スーツ姿の苓さんが小走りでやって来てくれた。 苓さんは自然な動作で私の手を握ると、笑顔で「入りましょう」とお店のドアを開けてくれた。 「藤堂様、お待ちしておりました」 お店に入るなり、この店の支店長だろうか。 その女性を筆頭に、複数の店員が頭を下げて出迎えてくれる。 私は、軽く希望を伝え、店員に数点のドレスを試着室に持ってきてもらうことにした。 通された試着室はとても広々としていて、試着室の目の前にはソファも置かれている。 同行した者が、ソファで休めるように配慮されており、目の前にはテーブルとカタログも置かれていた。 苓さんと私は一先ずソファに座り、ドレスを持ってきてもらうのを待つ。 カタログをパラパラと捲りつつ、苓さんが「茉莉花さんに似合いそう」と言ってくれる。 待たせる事になってしまうから、男性には退屈な時間になってしまうかも……、と心配していたのだけど、苓さんは楽しげにカタログを見てくれていて、ほっと安心した。 「藤堂様、お待たせいたしました。ご希望に合いそうなお品を数着お持ちしました」 「──ありがとうございます。早速着替えてみます」 「ごゆっくりどうぞ」 店員が試着室がある部屋から退出して、この部屋には私と苓さんだけが残った。 「苓さん、ちょっとだけ待っていてくださいね」 「分かりました。茉莉花さんのドレス姿、楽しみにしてます」 にこり、と笑って私を見送ってくれる苓さん。 私は苓さんに軽く手を振って、ドレスを持って試着室に入った。 「どうしようかしら、一番デザインが好みのこれから着替えてみようかな」 私は、着ていた服のボタンを外し、ストンと足元に落とす。 スカートも全て脱ぎ、ハンガーに掛けて整えると、ドレスに着替え始めた。 「──んっ?あれ……おかしいわね……」 背中にあるファスナーが、上がらない。 焦れば焦るほど、上手くいかなくて──。 私がもたもたとしてい
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