夕方になると、周囲はもう真っ暗になっていた。 苓さんとカフェを出て、車に戻る。 車に乗り込んだけど、苓さんはすぐに車を発進させる事はせずに、口を開いた。 「──茉莉花さん。会社に復帰するのは、いつ頃になりそうなんですか?」 「そうですね……多分、来週末頃には復帰できそうです」 「来週末? 少し早い気がするんですが……本当に怪我は治りそうですか? 大丈夫ですか?」 「ふふ、大丈夫ですよ苓さん。ありがとうございます」 私を心配してくれる苓さんに、ほっこりしていると。 苓さんが数秒だけ黙った後、口を開いた。 「あの日……あの場所で、御影専務と速水さんと鉢合わせしたでしょう?」 「──っ、そう、でしたね。すっかり忘れていました」 そうだった。 確かに、あの日。お父様と苓さんと3人で食事をしようとした時、あのお店で彼らと鉢合わせしたのだった。 そもそも、私の怪我は涼子が私のヒールに踏まれてしまって、転倒した表示に私も巻き込まれて足を捻ってしまったのだった。 そんな事があったのに、私はすっかり御影さんと会った事すら忘れてしまっていて。 本当に、私の中で御影さんは過去の思い出になったのだ、と実感した。 そんな事を考えていると、考え込んでいたような苓さんが、私に顔を向けて問う。 「──彼女、速水さんですが……いつもああなんですか?」 「涼子が、ああとは……?」 「……あんな風に、わざとらしく茉莉花さんに怯える事、です。昔から速水さんはあんな感じなんですか?」 「──わざと、らしく」 苓さんに言われた言葉。 それを聞いた瞬間、私はぽかんとしてしまう。 苓さんは私の反応を見て、悲しそうな顔をした。 「……そうか、あれを毎回見せられていたら、当の本人は気づかない、か」 ぶつぶつ、と苓さんはどこか納得のいった表情で呟き続ける。 だけど、私は中々苓さんの言葉が飲み込みきれず、戸惑うばかり。 そんな私を見た苓さんは、ゆっくりと私に説明してくれた。 分かりやすく、私が理解しやすいように──。 「速水涼子。彼女が茉莉花さんの前で怯えたような態度を取るのは、確実に演技だと思います」
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-12-30 อ่านเพิ่มเติม