◇ 「──痛っ」 「茉莉花さん、大丈夫ですか!?」 料亭の、一室。 私たちは予約していた部屋に案内されていた。 そこで席に着くなり、私の足元に跪いた苓さんが靴を脱がせてくれたのだけど、その時に伝わった振動が捻った足首に響き、私は小さく声を上げてしまった。 私が痛みを訴えた瞬間、苓さんが慌てたように声を上げ、申し訳ないと何度も謝罪をする。 「大丈夫です、苓さん。我慢できずごめんなさい」 「我慢なんて出来るはずないですよ……こんなに赤く腫れてる……。藤堂社長、やっぱり茉莉花さんを夜間病院に連れて行きませんか?」 苓さんは傍らに立つお父様にぱっと顔を向けて提案する。 お父様も数秒悩んだあと、苓さんの言葉に頷いた。 「そうだな……それがいいかもしれん。茉莉花、明日から暫く会社は休みなさい」 「──えっ!だ、大丈夫です!骨に異常はないと思いますし、出社できます」 「駄目だ。治りが遅くなるだろう。完治するまで治療に専念し、仕事の事は一旦忘れなさい」 「お父様……」 お父様は、1度こうと決めたら絶対にそれを覆してはくれない。 頑固なところは、お祖父様譲り。 私はしゅんと項垂れてしまう。 「茉莉花。小鳥遊くんとの食事はまたいつでも出来るんだ。今日はこのまま病院へ行こう」 「……分かりました、私の不注意でこんな事になってしまい、申し訳ございません」 忙しいお父様の時間を無駄にしてしまった。 苓さんだって忙しい中、こうして時間を作ってくれたのに。 あの時、私が涼子の足に気が付いていればこんな事にならなかったのに。 私が落ち込んでいる間に、苓さんとお父様でお店の人に事情を話し、苓さんは急いで外に車を取りに行ってくれた。 私に肩を貸してくれながら、お父様がぽつりと呟く。 「それで、茉莉花。御影くんと一緒にいたあの女性は確か、速水商事のお嬢さんじゃないか?」 「え?ええ。そうです。面識があるのですか?」 お父様が涼子の顔を覚えていたなんて、と私は少し驚いてしまう。 確か、速水商事とうちの家は関わりは無かったはずだ。 私は学校で涼子との面識はあるけど、家同士の付き合いは無かったはず。 私の疑問に答えるように、お父様はふ、と困ったように眉を下げた。 「お祖父様と速水家の会長に少し面識が、な……。私も速水家の嫁とは学生時代に面識があ
ปรับปรุงล่าสุด : 2025-12-25 อ่านเพิ่มเติม