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163話

作者: 籘裏美馬
last update 公開日: 2025-12-31 19:34:29

ただ、気の弱い子なんだ。と、そう思っていた。

長年、そう信じ込んでいたのだ。

それなのに、それが全部演技だったの……?嘘、だったの……?

そう考えると、私は愕然としてしまった。

「ああ言う女性は、自分を弱者に見せるのがとても上手いです……。そして、異性の懐に潜り込む……」

「異性、の……」

「ええ。潜り込んだのは……茉莉花さんも、もうお分かりですよね?」

苓さんの言葉に、私はこくりと頷いた。

そんな事をしてまで涼子が近づきたかったのは、ただ1人しかいない。

「分かります……御影さん、ですよね?」

私がそう言うと、苓さんが真っ直ぐ私を見つめ深く頷いた。

そして、口を開く。

「ええ……茉莉花さんと同じく、御影専務は幼い頃からあの演技に騙され続けていると思います。……突然、御影専務の態度が変わった事はありませんか?」

「──っ、確か、子供の頃にありました……!」

苓さんに問われ、心当たりがあった私は、驚きのあまり自分の口元を手のひらで覆ってしまう。

だって、あの頃と言ったら。

まだ全然子供の頃の話だ。

恐らく、あの頃はまだ小学校低学年くらいだったと思う。
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