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血と束縛と のすべてのチャプター: チャプター 801 - チャプター 810

927 チャプター

第21話(15)

**** ベッドに転がって本を読んでいた和彦は、何げなく窓を見る。いつからなのか、雨が降っていた。 珍しくのんびりとした日曜日を過ごしている和彦としては、こんな天気の中、絶対に外出はしたくなかった。それでなくても今日はひどく気温が低い。雨はさぞかし冷たいだろうと、想像するだけで身震いしたくなる。 今日はひたすら部屋に閉じこもり、夕方まで本を読み、夜はワインを飲みつつDVDをダラダラと観る予定なのだ。 秘密を抱えた自分は、沈滞しかかっている――。 和彦は、なんとなく人に会いたくない心境を、そう分析している。今の環境で、秘密を抱えるのはそれだけでストレスになり、プレッシャーもかかる。なんといっても、和彦を取り巻くのは食えない男たちばかりなのだ。 顔を合わせて、いつもとは違うと指摘されるのが、怖いのかもしれない。 今日はこのまま、自分を放っておいてほしいという和彦の願いは、見事に一蹴された。 本を読んでいたはずが、降りが強くなった雨に意識を奪われていると、閉めたドアの向こうで人の気配を感じる。 和彦が体を起こしたのと、ドアが開いたのは、同じタイミングだった。 スーツの上からコートを羽織った賢吾が姿を見せ、ベッドの上の和彦を見るなり、口元に笑みを刻む。「寛いでるな、先生」「日曜日だからな。……あんたは、出かけていたのか?」 上体を起こしただけの姿で話すのもだらしないので、和彦はベッドの上に座る。それを待っていたように賢吾が側にやってきた。濡れている様子はないが、賢吾からはいつものコロンだけではなく、雨の匂いもした。「仕事だ。土日は、先生とゆっくりしたいから、あまり動きたくねーんだがな」「……あんたには悪いが、たった今まで、ぼくはゆっくりできていた」「そのおかげで俺は、こうして先生を捕まえることができたわけか。――誰かと出かけようと思わなかったのか?」 コートを脱ぎながらさらりと賢吾に言われ、和彦は警戒する。和彦が複数の男と関係を持つことを容認している賢吾だが、決
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第21話(16)

 からかうように言う賢吾から強引にジャケットを脱がせ、これもコートハンガーにかける。賢吾に背を向けた和彦は、懸命に平静さを保つ。里見の調査を鷹津に依頼したと、賢吾に知られるわけにはいかなかった。 ふいに、賢吾の唇が耳に押し当てられた。「あまり、誰にでもいい顔をするなよ。お前は、俺に一番いい顔を見せていればいいんだ」 鼓膜を愛撫するようなバリトンの囁きに、和彦の胸の奥が疼く。「……わかって、いる……」「だったら、体で俺に尽くしてもらおう。――日曜日も働いてきた俺の体を、先生、温めてくれるか?」 恐怖からではなく、純粋な欲望に促されるように、和彦は頷いた。** バスタブに湯が溜まるのを待ってから、賢吾に半ば強引に服を脱がされ、バスルームに連れ込まれる。この頃には和彦も諦めがつき、日曜日の昼間から、ヤクザの組長との入浴タイムを楽しむことにした。 体を洗ってから湯に浸かるなり、賢吾に腰を引き寄せられる。咄嗟に賢吾の胸に手をついた和彦は、抗議の声を上げる前に唇を塞がれ、喉の奥から呻き声を洩らす。 油断ならない賢吾の手は、このときには和彦の両足の間に入り込み、敏感なものを緩く握られ扱かれる。愛撫が本格的なものになる前に手を押し退けようとしたが、すかさず力を込められて動けなくなった。「せめて、風呂から上がるまで、待てないのかっ……」 ようやく唇が離されて、和彦は息を弾ませて賢吾を睨みつける。生々しい大蛇の刺青を背負った男は、まったく悪びれずに笑みを浮かべた。「風呂だから、いいんだろ」「……何がいいんだ」「多少無茶をしても、先生にかかる負担が軽くて済む」 慌てて和彦は立ち上がろうとしたが、賢吾の手がさらに深く差し込まれ、柔らかな膨らみをいきなり手荒く揉みしだかれる。これだけで和彦は上擦った声を洩らし、腰を震わせてしまう。そして、賢吾の肩にすがりついていた。「あっ、あっ、強く、しないで、くれ――」 下肢に力が入らなくなり、意識しない
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第21話(17)

 狭い内奥の入り口を硬く逞しいもので押し広げながら、和彦は鼻にかかった声を洩らす。湯に浸かっているため、体の重さをさほど気にしなくていいが、だからといって苦痛が和らぐわけではない。例え慣れ親しんだものとはいえ、異物だ。 息を吐き出すたびに腰を下ろし、少しずつ賢吾のものを内奥に呑み込んでいく。ある程度まで侵入が深くなると、賢吾に背を抱き寄せられて腰を揺らされた。「あっ、あっ――」 賢吾に腰を掴まれて緩く揺さぶられ、和彦自身、その動きに合わせてさらに腰を落とす。「相変わらず、いい締まりだ、先生」 和彦の耳に唇を押し当て、賢吾が囁いてくる。小さく喘いだ和彦は、賢吾の肩に唇を押し当て、舌を這わせる。正確には、大蛇の鱗を舌先でなぞる。その一方で淫らに腰を蠢かし、とうとう賢吾のものをすべて内奥に受け入れた。 繋がった部分を確かめるように、賢吾が指先を這わせてくる。そのささやかな刺激に反応して、和彦は息を詰めて背をしならせる。すると賢吾が、両腕でしっかりと抱き締めてくれた。 湯の温かさに包まれながらの穏やかな交歓は、新鮮に感じた。風呂に入りながら賢吾に求められたことは何度もあるが、常に性急で激しい。だが今は、こうして繋がり、抱き合っている感触をゆっくりと堪能している。「――たまには、こういうのもいいだろ」 和彦の心の中を読んだように、賢吾が話しかけてくる。和彦はあえてとぼけて見せた。「こういうのって?」「カマトトぶるのは、性質の悪いオンナの証だぞ」 眉をひそめた和彦は、賢吾の顔に軽く湯を引っ掛けてやる。ささやかな悪戯に対する報復は、実に賢吾らしいものだった。「あうっ」 内奥深くを抉るように突き上げられ、湯が大きく波立つ。 和彦は、賢吾の腕の中でビクビクと体を震わせていた。体の奥から肉の愉悦が溢れ出し、全身に行き渡っていくようだ。「俺のものを咥え込んでいる部分は、最高のオンナだな。グイグイ締めてくるくせに、中の襞は、甘やかすように絡み付いてくる」 賢吾にそう指摘されて、和彦は内奥でふてぶてしく息づく欲望を意識して締め付ける。内から圧倒してくる逞しいものを、自分が甘やかしている
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第21話(18)

 話しながら賢吾は、和彦の腕の内側や、脇の下に触れてくる。「隠し彫りを知っているか? 普段の生活をしていたらまったく人目に触れない部分に、刺青を彫ることを言うんだ。目にできるのは、特別な関係を持つ相手だけだ。先生なら……何人の男が見ることになるだろうな」 和彦はやっと確信する。刺青のことを語るとき、賢吾の欲望がひときわ力強く脈打ち、大きくなることを。「……見えようが、見えまいが、ぼくは刺青は入れない」「頑固だな、先生」「当然のことを主張しているだけだ」 賢吾はニヤリと笑い、和彦の髪を撫でてくる。頭を引き寄せられて肩に額を押し当てると、賢吾の手は背に滑り落ちた。この瞬間、和彦はヒヤリとするものを感じた。「先生が本気で嫌がることはしないつもりだが、それも場合による。――先生が浮気したら、背中に刺青を入れるというのはどうだ?」 和彦は顔を強張らせる。唐突に何を言い出すのかと思ったが、少なからず和彦には身に覚えがあった。賢吾に隠して、里見と密会したことだ。ただ会話を交わしただけだというのは、言い訳にならないだろう。なんといっても和彦は、里見の存在をいまだに賢吾に報告していない。 もしかして鷹津が何か洩らしたのだろうかとも思ったが、どうやらそうでもないらしい。「いっそのこと浮気をしてくれたら、堂々とこの背中に刺青を彫れるのにな……」「ぼくに、浮気を推奨しているのか?」「なんだ、先生。男には不自由させていないつもりだが、まだ男が欲しいのか」 あまりな言われように、和彦は顔を上げて賢吾を睨みつける。すかさず唇を吸われ、そのまま舌を絡め合った。「俺が認めた男と寝るのはかまわねーが、まず俺をたっぷり満足させろ。それが、オンナの役割だ。その代わり、俺がオンナを満足させてやる。そうだろ?」 賢吾の熱い吐息が唇にかかる。執着という熱に内から溶かされそうになりながら、和彦も熱い吐息を洩らして応えた。「――……ああ」****
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第21話(19)

 ふっとそんなことを考えた和彦は、美容外科医としての義務感から、自分も縫合を手伝うと申し出る。どうせ、近いうちに指紋偽造の手術を手がけることになるなら、今のうちに手を血で染めてしまったほうがいいと思ったのだ。 和彦には、のちのち臆する自分の姿が見える。そのとき悩み苦しむぐらいなら、今、〈義務〉を果たして、自分の立場を賢吾や総和会に示しておくべきだろう。 この世界で守られている限り、課された仕事は果たす、という立場を。** 和彦は、ファミリーレストランで一人食事をしていた。護衛の組員は気を利かせて、離れたテーブルについている。 無意識のうちに箸で豆腐ハンバーグを崩していることに気づき、慌てて口に運ぶ。さきほど、指紋偽造手術を手伝ったせいか、いつもは直視を避けている罪悪感と、久しぶりの対面を果たしていた。 この程度の罪悪感の疼きは、想定の範囲内だ。仕事をこなしていくうちに、何も感じなくなる。そう頭では理解しているが、やはりいつも通り食事を平らげるのは、少々無理なようだ。 もう一つ和彦が気になっているのは、和彦が受けるべき仕事を、賢吾が選別していたということだ。総和会から強い申し入れがなければ、賢吾は和彦に、指紋偽造という仕事をさせたくなかったのかもしれない。「――……いや、あの男がそんなに、生ぬるいわけがないか……」 和彦なりに、賢吾の計算高さと狡猾さ、そして容赦のなさを美点として評価している。だからこそ、何か深い考えがあったのではないかと考え――期待してしまう。 ため息をついた和彦は、今夜はこのまま飲みに行きたい心境だった。誰かつき合ってくれないだろうかと思いながら、傍らに置いたコートのポケットをまさぐり、携帯電話を取り出す。 ここで初めて、秦からの着信があったことに気づいた。どうやら、和彦が指の皮膚を縫合している頃、かかってきたようだ。マナーモードにしておいたうえに、作業に集中していたため、まったく気づかなかった。 一体なんの用だろうかと思いつつも、止まりがちだった箸の動きは速くなる。 食事を終えて外に出ると、すぐに秦の携帯電話
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第21話(20)

 あることを強く意識して、予感もしていながら――いや、予感しているからこそ、和彦は断れなかった。「――今から行く」 そう答えると、電話の向こうから秦の柔らかな笑い声が聞こえてきた。 和彦は車に乗り込むと、組員に行き先を告げる。そして、握ったままだった携帯電話で賢吾に連絡を取った。『手術に立ち合って、どうだった?』 前置きなしに賢吾に問われ、和彦は軽く唇を舐める。「人間の指の皮膚で、パズルをすることになるとは思わなかった」 和彦の表現に、電話の向こうで賢吾が低く笑い声を洩らす。『メールじゃなく、電話がかかってきたから、てっきり先生は怒っているのかと思った』「……どうしてぼくが、あんたに怒るんだ」『犯罪の片棒を担がせたと言って。指紋の偽造ってのは、どうやったって言い訳ができない。普通じゃ、まず需要のない手術だ。顔の整形手術とはわけが違う。先生は、この世界の深みに、またさらにハマり込んだんだ』「だから、総和会からの求めになかなか応じなかったのか」 ハンドルを握る組員が、一瞬バックミラー越しに視線を向けてくる。『うちの連中は、先生に甘いな。そんなことまで話したのか』「ぼくが、あんたを責めるかもしれないと心配してくれたんだ。頼むから、組員は責めないでくれ」『先生も、うちの連中に甘い』 シートに深く体を預けて、和彦は外に目をやる。こちらから促すまでもなく、賢吾は教えてくれた。『俺は、先生の柔軟性やしたたかさを評価しているし、愛している。だからこそ、仕事の面で甘やかす気はない。なんといっても、長嶺組組長のビジネスパートナーだ。――先生の医者としての腕は、できることなら長嶺組で囲い込みたかった。だからこそ先生を、総和会に一時預けるという形で、いままでの仕事を受けていたんだ』「今回は違った?」『リスクの大きな仕事は、総和会が責任を持って管理すると言っている。総和会全体で、先生の安全を守ってやる。だからこそ、危険な仕事も引き受けろ、ということだ。今晩の手術は、完全に総和会主導だ。手順はいままでと変わらなかっただろうが、裏ではいろ
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第21話(21)

**  わざわざ雑居ビルの一階で待っていてくれた中嶋は、酒屋の袋を手にした和彦を見て申し訳なさそうな顔をした。「……誘ったのはこちらなのに、なんだか気をつかわせてしまったようですね」 そう言って中嶋は、さりげなく袋を持ってくれる。「こちらこそ、ちょうど気分転換をしたくて、相手を探していたところだったんだ。誘ってくれてありがたい」 和彦は背後の車を振り返り、運転席の組員に向けて軽く手を上げる。中嶋と一緒にいるところを確認して、今日の護衛の役目は一旦終わりだ。 エレベーターで最上階まで上がると、ドアを開けて秦が待っていた。浮かべている笑みが普段以上に艶やかに見え、なんとなく秦の顔を直視しがたい。 ここで和彦は、ピクリと肩を揺らす。自然な動作で中嶋に腕を取られたのだ。思わず隣に目をやると、中嶋の柔らかな表情に〈女〉を感じ取る。漠然と予期していたものが確信へと変わり、この瞬間から和彦の心臓の鼓動は、わずかに速くなっていた。 部屋に招き入れられると、不躾だと思いつつも和彦の視線はつい、部屋の一角に置かれたベッドに向く。和彦の部屋のベッドほど幅はないが、それでも男二人が寝るには十分な広さだろう。「そう、まじまじと見つめられると、恥ずかしいものがありますね」 グラスを準備しながらの秦の言葉に、和彦のほうが恥ずかしくなってくる。「……新しいベッドを見てもらいたいと言ったのは、君だろ」「まさか、先生があっさり誘いに乗ってくれるとは、思っていませんでした」「ぼくも、ベッドで釣られるとは思わなかった。……理由はなんでもよかった。気分転換したかったんだ。――気心が知れた相手と」 和彦が買ってきたワインをさっそくグラスに注いだ秦が、芝居がかった優雅な仕種で首を傾げる。「何かありましたか?」「仕事のことで、ちょっとややこしい立場になった、かもしれない」「先生はいままでも、十分にややこしい立場だったでしょう」 率直な意見を述べてくれたのは、中嶋だ。促
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第21話(22)

「ぼくはこれでも、モラリストのつもりなんだ。妖しい空気の中、平然となんてしてられない」「……冗談ですか?」「本気で言ってるんだっ。君らはぼくを、なんだと思ってるんだ」 和彦がムキになって抗議すると、秦と中嶋は顔を見合わせたあと、大仰に神妙な顔つきとなる。これならまだ、笑ってもらったほうがよかったと、和彦は顔を背けてワインを飲む。 からかわれた仕返しというわけではないが、ここを訪れる前に賢吾と電話で交わしたことについて、中嶋に質してみた。「――組長に、しっかり報告してくれたそうだな」「先生と、鷹津という刑事との夜景デートの件ですね」 顔を背けたばかりの和彦だが、たまらずじろりと中嶋を見る。「本当に、そういう表現をしたのか……?」「見たままを正直に。長嶺組長からは、そう言いつかっていますから」「ぼくの側にいて見聞きしたことは、なんでも、か」「なんでも、ですよ」 和彦と中嶋のやり取りを聞きながら、秦は楽しそうにワインを味わっている。それどころか、こんなことを言った。「本当に仲がいいですね、先生と中嶋は。なんだか、どちらにも妬けてきますよ」「……何言ってるんだ」「職業どころか、本来なら住む世界も違う二人が、わたしの部屋で砕けた様子で話しているのを見ると、今の生活は恵まれていると思えてくるんです」 秦の殊勝な言葉に、すかさず中嶋が乗る。「それもこれも、全部先生のおかげですよ。俺の頼みを聞き入れて、秦さんを助けてくれたからこそ、今こうしていられる」 その秦は、賢吾と繋がりを持ちたいがために、自分に何をしたか――。ふと思い出した和彦は、どうしても複雑な心境になる。少なくとも、いい思い出とは言い難い。だが、知らず知らずのうちに胸の奥で妖しい衝動がうねっていた。 酔うほどまだ飲んでいないはずなのに、頬の辺りが熱い。和彦は視線を伏せて、ぼそぼそと応じた。「そのせいで、ぼくはいろいろと大変な目に遭った。……下手をしたら、組長に縊り殺され
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第21話(23)

 そう中嶋から言葉をかけられると同時に、秦にベッドに引き上げられる。 二人がかりでワイシャツを脱がされ、スラックスと下着を引き下ろされる頃には、和彦は形だけの抵抗の空しさを味わっていた。本当に嫌なら逃げ出せばいいのだ。二人は決して、和彦に無理強いはしない。 和彦に覆い被さってきた中嶋が唇を重ね、剥き出しになっている欲望同士を擦りつけてくる。そんな二人を眺めながら、秦は悠然とシャツを脱いでいた。 広いベッドの上で、何も身につけていない体をしっかりと重ねているうちに、羞恥心が少しずつ剥ぎ取られていくようだった。まるで獣同士が無邪気にじゃれ合っているようで、なんだか楽しくさえなってくるが、次第に中嶋の体が熱くなってくるのを感じて、これは儀式のようなものだと悟る。「……緊張していたのか?」 思わず和彦が尋ねると、〈女〉の顔をした中嶋は頷いた。「先生がいてくれてよかった。そうじゃないと俺は多分、ベッドに転がったまま、初心な乙女みたいに体を震わせていましたよ」「経験豊富な元ホストが、何言ってるんだ」「経験じゃ、先生と秦さんには負けます――」 ここで中嶋がビクリと体を震わせ、唇を引き結ぶ。楽しげに和彦と中嶋の会話を聞いていた秦が、ようやく動いたのだ。 和彦に覆い被さっている中嶋の両足の間で、差し込まれた秦の手が妖しく動いていた。小さく声を洩らした中嶋の髪を掻き上げてから、和彦は唇を啄んでやる。すぐに互いの唇を吸い合い、舌を絡め合っていたが、ふっと和彦の上から中嶋の重みがなくなる。ベッドの上に座った秦の両腕の中に、中嶋はいた。 今度は秦と中嶋が、濃厚な口づけを交わし始める。胸元をまさぐられた中嶋が大きく息を吸い込むのを見て、和彦は体を起こす。すかさず秦が目配せしてきて、中嶋の足を左右に開かせた。一瞬、逡巡はしたものの、好奇心と欲情が入り混じった衝動に和彦は勝つことができなかった。 和彦は、中嶋の欲望に手を伸ばすと、てのひらに包み込む。緩やかに上下に扱いてやると、切なげな声を上げた中嶋が腰を震わせる。 快感に身を震わせる〈女〉の姿に、和彦はゾクゾクするような興奮を覚えた。自分に快感を与えてくれる男
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第21話(24)

「中嶋の中のことは、今はまだ先生のほうがよく知っているんですよ。だから、頼みます」 そう囁いてきた秦に手を取られ、たっぷりの唾液を絡めるようにして指を舐められた。和彦は秦と場所を入れ替わると、中嶋の片足を抱え上げ、内奥の入り口を濡れた指でまさぐる。中嶋は息を喘がせながら、唇だけの笑みを向けてきた。「一息に入れてもらってかまいませんよ」「乱暴なのは、ぼくの趣味じゃない。……多分、この男も」 和彦がちらりと背後を振り返ると、秦は意味ありげに自分の指を舐めていた。その行為の意味を即座に理解した和彦は、全身を羞恥で熱くする。まさかと思ったが、今のこの状況では、どんな淫らな行為が行われても不思議ではない。 何より、和彦は期待している――。「先生?」 中嶋に呼ばれて我に返った和彦は、前に一度そうしたように、狭い内奥に慎重に指を挿入する。できる限り綻ばせて、苦痛が少ないようにしてやりたかった。「うっ、うぅっ」 ゆっくりと指を動かすと、ビクビクと体を震わせながら中嶋が声を上げる。覚えのある感触が指にまとわりつく。戸惑いつつも中嶋の襞と粘膜は、愛撫に応えようとしているのだ。 中嶋の内奥がひくつき始め、和彦の指の動きに合わせて収縮を繰り返す。強気に見つめ返してくる中嶋を煽るように、和彦はそっと囁いた。「……いやらしいな。初めてのときは、こんなに物欲しげな反応はしなかったのに」「いやらしさなら、先生も負けていないと思いますよ」 秦が、背後から和彦の肩に唇を押し当ててくる。ハッとしたときには、和彦の秘裂に秦の指が入り込み、内奥をまさぐられる。「やっ、め……」 和彦は慌てて身を捩ろうとしたが、強引に秦の指が内奥に挿入されてくる。異物感に呻いたときには、秦の指をしっかりと咥え込んで締め付けていた。「いい反応ですね、先生。この調子で中嶋をしっかりと、可愛がってやってください」 秦の指が巧みに内奥で蠢き、和彦は息を弾ませる。すると中嶋が片手を伸ばし、頬に触れてきた。「先生、気持ちいいですか?」
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