**** ベッドに転がって本を読んでいた和彦は、何げなく窓を見る。いつからなのか、雨が降っていた。 珍しくのんびりとした日曜日を過ごしている和彦としては、こんな天気の中、絶対に外出はしたくなかった。それでなくても今日はひどく気温が低い。雨はさぞかし冷たいだろうと、想像するだけで身震いしたくなる。 今日はひたすら部屋に閉じこもり、夕方まで本を読み、夜はワインを飲みつつDVDをダラダラと観る予定なのだ。 秘密を抱えた自分は、沈滞しかかっている――。 和彦は、なんとなく人に会いたくない心境を、そう分析している。今の環境で、秘密を抱えるのはそれだけでストレスになり、プレッシャーもかかる。なんといっても、和彦を取り巻くのは食えない男たちばかりなのだ。 顔を合わせて、いつもとは違うと指摘されるのが、怖いのかもしれない。 今日はこのまま、自分を放っておいてほしいという和彦の願いは、見事に一蹴された。 本を読んでいたはずが、降りが強くなった雨に意識を奪われていると、閉めたドアの向こうで人の気配を感じる。 和彦が体を起こしたのと、ドアが開いたのは、同じタイミングだった。 スーツの上からコートを羽織った賢吾が姿を見せ、ベッドの上の和彦を見るなり、口元に笑みを刻む。「寛いでるな、先生」「日曜日だからな。……あんたは、出かけていたのか?」 上体を起こしただけの姿で話すのもだらしないので、和彦はベッドの上に座る。それを待っていたように賢吾が側にやってきた。濡れている様子はないが、賢吾からはいつものコロンだけではなく、雨の匂いもした。「仕事だ。土日は、先生とゆっくりしたいから、あまり動きたくねーんだがな」「……あんたには悪いが、たった今まで、ぼくはゆっくりできていた」「そのおかげで俺は、こうして先生を捕まえることができたわけか。――誰かと出かけようと思わなかったのか?」 コートを脱ぎながらさらりと賢吾に言われ、和彦は警戒する。和彦が複数の男と関係を持つことを容認している賢吾だが、決
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