جميع فصول : الفصل -الفصل 40

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31食目・親子でお料理

 ストゥリアとやらを寝かせている間、エリザさんは鼻歌をしながらお玉でアクをくすっていく。 中に入ってるのは牛肉みたいな真っ赤な肉塊とそれぞれ人参、玉ねぎ、ブロッコリーみたいな特徴を持つ野菜だ。「わあ……だんだんといい匂いがしてきちゃった……」「アクが出なくなってきたら、モルテは最後まで弱火で放置、そしたらルシーちゃんのストゥリアに戻りましょうね」 にこりと微笑むエリザさんは、それから10分くらいアクをとり続けた。 アクの色がだんだんと白く細かくなっていって、「そろそろかしら」と蓋をすると魔法で火の勢いを弱めた。「ずっと見てても、飽きないです……!」「うふふ、そう? じゃあそろそろストゥリアの様子を見ましょう!」 エリザさんはボウルの蓋を取る。 するとふわりと花のような、香り高い匂いが立ち込めた。「わあ、いい匂い……!」「ストゥリアに使われる粉は花から実になる時に、花の香りも一緒に込められてる感じなのよ。実を割るとルシーちゃんが捏ねたあの粉になるのよ」「実の中にこの粉が詰まってるってことですか……!?」「うふふ、そうよぉ」 捏ねてる時は強力粉みたいなものかと思ったけど、どうやら異世界作物だったみたい。 ちなみに人参っぽいものはヒトデの形をしていたし、玉ねぎの形をしたものは、にんにく味だった。 『メモ』 ・ステロット……星型人参 ・ガリオン……玉ねぎ風にんにく ・ストゥーナ……ストゥリアの原料。一応穀物でパンにも使われる(らしい) さて、ボウルに入っていたストゥリアは粉をまぶしたまな板に乗せられた。 所謂打ち粉だ。 そこへ見覚えのある棒が取り出されて、「これで伸ばしてちょうだい」と笑顔を向けられた。 ……これ、パン
last updateآخر تحديث : 2025-12-19
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32食目・『モルデがけストゥリア』

「さ、次はストゥリアをカットして茹でるわよぉ」 そんなエリザさんの掛け声に、目の前にはまな板と包丁が置かれた。 包丁は幅が小さいけど刃渡りは長い。 私の手のひらを縦に並べて指がちょっと出るくらい。25cmくらいかな……? 持ってみるととても軽くて、でもちょっと危なそう。「大丈夫よ、ルシーちゃん。ストゥリア専用のナイフは刃がついてないの。刃の部分は薄くして切れやすくはしてるけど、皮膚までは切れないわよ」 安全だそうです。よかった。「じゃあルシーちゃん、私はモルデの仕上げを始めるから、頑張ってストゥリアをカットしてね」「ふ、太さはどうすれば……?」「んー……ルシーちゃんが食べたい太さでいいわよぉ」 そ、そんなあ。 まさか食べたことのない麺料理の太さを委ねられてしまうなんて。 パスタだったら細い方が好きかな……でもうどんだったら太い方が好き。きしめんまではいかないけど、食べ応えを求めてしまう。 ラーメンは細い方が好き。他に何があったっけ。 麺、麺……?あ、そうだ。(いいこと考えちゃった!) 「お母さん、切りました」「ストゥリア用の鍋は用意できてるわよ。じゃあ投入してちょうだい」「はーいっ」 エリザさんに言われた通り、モルデを煮込んでいる鍋の隣にはすでにぐつぐつと沸騰している鍋がある。 寸胴の大きな鍋に比べて半分、両手鍋くらいの大きさの鍋に切り終えたストゥリアをひっくり返した。「……あら?ルシーちゃん、麺の太さバラバラにしたの?」 投入されたストゥリアは沸騰の波に激しく揺られている。 太いストゥリアに細いストゥリア、様々な太さのストゥリアが茹でられている姿が見えた。 「どんな料理なのかはまだはっきり分かってないですけど、私が住んでた国にも『手打ちそば』っ
last updateآخر تحديث : 2025-12-20
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33食目・ドキドキの来訪客

 「はーい!」と声高く玄関へ行ったきり、エリザさんは戻ってこない。 もしかしたら違ったのかな? それとも話し込んでる? 一人で待ちぼうけをしていた私は、目の前のモルデがけストゥリアが冷めるのがもったいないからしっかりと味わいながら食べていた。 深みのある味わいに舌鼓を打つ。 ああ、なんだかかっこいいこと言っちゃってるな、私。 ここに(笑)をつけたくなるくらい気取っちゃう食べ物は文句なしに美味しい。 エリザさんだけでもお店開けるんじゃ?私通っちゃうけど。 そんな気持ちでもある。 この世界に来てから、正直美味しいものしか食べてない。 いや、前世でも好きなものや美味しいものを食べたつもりだけど、未知の世界だからそうさせるのか? それとも案外前世では食に対しての興味が薄かったのか? いやいや、そんなつもりはないんだけど……ついつい頬が落ちちゃいそうな食事の数々を堪能している気がする。 「異世界の料理、なんでこんなに美味しいんだろう……」 流石に思った言葉もついつい口から漏れてしまう。 私、食に対してこんなにも興味持ってたんだなぁ……。「――成る程、確かに美味そうに飯を食う」「ッ!?」 目を瞑ってじんわりとモルデの余韻を楽しんでいると、知らない(しかも男性)の声が耳に入ってびっくりした。 目を開ければゴツい身体に厳つい顔、丸太のようにぶっとい腕を組んだ男性がにこやかなエリザさんと一緒に、目の前に立っていた。 背はエリザさんより頭2つ分近く大っきい。 うん、見るからに大男。「うふふ、でしょぉー?」 エリザさん、でしょー?じゃない。「ど、どーも……」 ど、どちら様でしょうか? そう聞きたいけどスプーンを咥えてるからまともに喋れなかった。 とりあえず驚きながらも頭を下げるぐらい。「飯中に悪かっ
last updateآخر تحديث : 2025-12-21
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34食目・ドキドキの返事

 薄っすらと緑にも見える金色の髪は後ろに撫でつけ、1本で結んでいる。 青い目は空のように澄み渡って深い色を見せていた。 それでもやっぱり顔は歴戦を物語るような厳つさで、低く野太さを感じる声は大きな武器をぶん回す冒険者が似合いそう。 いや、フライパン握って喧騒の調理場で叫んでいるコックさんが似合う。 ああうん、そう考えれば料理長も納得だ――。「――……じゃなくてぇ!!え!万来堂!私が職業に応募したあの!?大衆食堂・万来堂さんですか!?しかもその料理長!?」 私は声を荒げていた。 だって採用担当がなんで総料理長?普通はマネージャーとか店長とか総支配人?そういう人が来るんじゃないの?? しかも色々お話して?(したかな?)その上でだよ? いやいやいやいやいや。「ふむ、想定以上に賑やかな娘だ」「ルシーちゃん、驚いちゃって可愛いわぁ。ね、私の気持ちが分かったでしょ?」「まあ、納得はした」「あっ、だっ、あの、お、お仕事の件で……?」「まあ、それも含んでいる」「含んでるぅー!!!」 「……とりあえず、落ち着け」とコップを差し出された。 まあうちのなんだけど、お言葉に甘えて喉に流す。 ふう、と息を吐くと少し落ち着けた。「落ち着いたか?」「突然のことで取り乱してしまい、失礼しました」 水を飲み終えてコップをテーブルに置くと、イーズェットさんはうむ、と頷いた。 そして低くも響くような声で口を開く。 「こちらも本来は書類を渡すだけで良かった……が、私用を優先したからな。さて、合否だが……」「ごくり」「とりあえず採用ということになっている」「おお……!」 よかった、書類選考だけどお仕事させてくれるらしい。 思わず飛び跳ねそうになったけど、エリザさんが「
last updateآخر تحديث : 2025-12-22
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35食目・いざ、万来堂へ

 イーズェットさんが帰って、エリザさんからは「改めてこれ、どーぞ」と大きいカードを1枚渡される。『転生者職業斡旋機構様経由ルシェット・サイファ=明音様<魔素の導きにより春来たりて>このたびは、当大衆食堂・万来堂の従業員募集に応募いただき、誠にありがとうございました。厳正なる審査の結果、ルシェット様の就業許可を通達いたします。つきましては、 ノクスィ月テラーラの日 を初出勤日とさせていただきます。出勤時刻は 10時30分 です。身なりを整え、直接正面玄関へお越しください。ルシェット様と共に働けることを、職員一同心より楽しみにしております。 <万福は地に満ちて>             万来堂・支配人』 賞状のような1枚のしっかりとした紙にはそう書いてあった。 言葉から、紙から、重みを感じる。 これを受け取って、初めて私は就職するんだと実感した。 一度しか行ってないご飯屋さんだけど、これを見るだけでわかる。 しっかりとした、おっきいお店なんだってこと。 イーズェットさんがこのお店の総料理長って言ってた。 きっと、きっとすごく立派なお店だってこと。「ルシーちゃん、大丈夫?」 食い入るように見つめていたら、エリザさんに心配そうな目を向けられていた。 私、大丈夫なのかな?わかんない。 でも、気持ちはざわざわしてる。 嫌なんじゃなくて、嬉しいんじゃなくて、なんていうんだろう。 でも、これだけは分かる。「私……――楽しみです。あの万来堂に働けること。どんな人がいて、どんなことして、どんなお客さんが来るか分からないけど……楽しみ。すごく楽しみ。ワクワクしてます!」「ふふ、それは良かった。お仕事が明後日なら、準備をしなきゃね」「はいっ」 それから仕事に向かう準備を進めた。 ……と言っても何をすればい
last updateآخر تحديث : 2025-12-23
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36食目・初めての仕事

ノクスィ月テラーラの日、いよいよ出勤当日がやって来て、私は早速万来堂に来ていた。 時刻は10時20分、お店には指定よりも10分早くついたんだけど、お店の前には店の前を掃除する店員さんがいる。「はっ、初めまして!おし、お仕事のお話を受けてこちらに来ました、るっ……ルシェット・サイファ=明音ですっ!!」「わあ。すごく明るく元気な声……緊張してる?大丈夫?」「だっ、だだだ、大丈夫れす……!」 噛んだ。恥ずかしい。 ところでお店の人だと思って声をかけたけど、合ってただろうか。 ここで違うお店の店員です、なんて言われたらもう立ち直れそうにない。「か、顔が段々真っ青になってる気がするけど、本当に大丈夫?マグスァさんならもうそろそろ来るから待っててね」「ま、まぐ、まぐさぁ……」「マグスァ、ね。そろそろ転生者さんにも優しい名前を付けてあげて欲しいよねぇ。あ、僕はクラーデだよ。クラーデ・キシル、よろしくね。えっと……」「あ、ルシーで大丈夫です」「じゃあルシーさん」 マグスァさん……イーズェットさんもそうだけど、発音が相変わらず難解。 担当の人がまだってことは、ちょっと早く来すぎたのかもしれない。 それまでの時間つぶしに付き合ってくれるのか、それとも新人への興味か、クラーデさんはお話に付き合ってくれるみたいだ。「ルシーさんは最近こっちに飛んできたの?」「あ、そうです。こっちに来て転生者免許を貰って……」「その後お仕事探しでウチに、かな?ちゃんと転生者免許取りに行くの偉いねえ」「えっ、でも転生したら普通は……」「うんうん、認識からもういい子っぽそう。いいね! ルールとしてはそうなんだけど……半分くらいは怖くて逃げてるのが現状だよ」「怖くて?逃げる??」 果たして私が今聞いてるのは同じこの世界の話なのだろうか? そう思いたくなる程、びっくりな現実を突き付けられている気がする。 転生者にとって優しくてありがたい制度なのに、それを怖くて逃げる人がいるなんて。 ……そういえば私が転生してきた時も、私が話を聞いてくれるからってぺこぺこされた記憶があるな……。 あれから明日で一週間、案内係のクリステフさんは元気だろうか――と気になった……その時だった。「――おい、道端で女の子とイチャイチャするな!水神の鉄槌が下るぞ!」「あっだぁぁぁっ!」「っ
last updateآخر تحديث : 2025-12-24
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37食目・ごはん屋さんの職務確認

「あれ、マグスァさんお疲れ様です」「おー。とりあえず事務所通してくれる?」「了解しました」 ホールに入ると以前と変わらずまた制服を来た青年が立っていた。 多分そういうお仕事を任されているとは思うんだけど、マグサァさんが青年に声をかけて、また奥の扉へ案内される。 その先はやっぱり狭い空間で、でも奥の扉に進むと前のお店の中とは違う雰囲気の場所に出た。「わっ……」 中はオフィスのような場所で、椅子やソファ、本棚が並べられている。 壁にはハンガーにかけた制服なんかがかけられていて、さっきマグサァさんは事務所と言っていたから、そういう場所なのだろう。「とりあえずそこにかけて。まずは確認させてね」「あ、はいっ」 手元のファイルを開いて紙を覗くマグサァさんは「名前は?性別、年齢、ふむふむ……大丈夫、全部資料通りね」と私の素性を確認していく。 そして次に顔を上げると、「うちの店についてはどれ程言ってる?」と口を開いた。「あ……えっと、先日お母さんに連れてきてもらって、こちらの2階でご飯食べました!バサームとパティポット、とても美味しかったです!」「おや来てくれたのかい、うちのシェフも喜ぶよー。ところで希望のお仕事は何階がいい?各階でホールの仕事内容が少しだけ変わってくるんだー」「そうなんです?」「うん。うちは1階から3階まであるよ。別で地下1階もあるんだけど、そこは経験者のみだから説明だけに留めておくね」「へぇ……ちなみに階が違うと、何が違うんですか?」「大きく言えば相手する客層かな。1階は冒険者やそれに類する仕事をしてる人がメイン、2階は家族連れやお出かけ目的で来られる人が多いね。3階は貴族の方々とお祝いでいらっしゃるね。料理の内容もそれぞれの目的に合わせたものになってるよ」「そうなんですか……あ、地下は何が違うんですか?お酒とか?」 頭は勝手にBARを想像していた。 大人っぽい人たちがゆっくりとお酒を飲むような場所なのかなぁ、なんて。 するとマグサァさんはにんまりと不敵な笑みを浮かべて人さし指を立てた。「へへへ、知ったら気になっちゃうよね。実はねぇ、魔物食なの」「へっ!?」「スライムとか、サンドリサードとか、悪魔羊とか、この王国ではまだまだ有名じゃないんだけど、魔物食やってるよ」「魔物食……その、美味しいんですか?」「一度あ
last updateآخر تحديث : 2025-12-25
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38食目・制服は戦闘服

マグサァさんに言われて制服を預かり、今度は更衣室へ。 事務所の扉を開け放つと、そこはここへたどり着いた狭い部屋じゃなくて、普通の廊下だった。 食べ物倉庫があったり、休憩室があったり、第一厨房・第二厨房なんて、大がかりなお部屋がいっぱい。 歩いているだけで大きな飲食店なんだなって印象だ。 その中で辿り着いた更衣室は男女が別に分けられていて、廊下の端っこである女子更衣室に到着した。「ここが更衣室ね。中はこーんな感じでロッカーが並べられてて、原則では各階層ごとにそれぞれ割り振られているから……あ、あった。これがルシェットちゃんのロッカーね」 更衣室の中は木製のロッカーが並んでいた。 ロッカーというよりは、小さなクローゼットに近い。 下には引き出しが二段あるし、上段は……なんかシャッターを思い浮かばせる見た目で、なんだかすっごく新鮮。「上の棚の開け方がよく分からないって言う人が一定数いるんだけど、ルシェットちゃん分かる?こうやって、下の持ち手を握って上に引き上げるんだよ」 そう言ってマグサァさんは持ち手を握り、持ち手を上へ持ち上げた。 その動きは本当に倉庫や車庫のシャッターそのもので、つい口から「おおぉぉ……」と感動の声が漏れてしまう。 私の中ではクローゼットって大体引き戸だから、面白いな、とついつい思ってしまった。「力いっぱいやると壊れちゃうから優しく使ってね?ハンガーとか小物を置く場所とかは好きに準備していいよ。鏡とか置く子もいるし。設備自体はそこまで多くないからよく順番の取り合いにはなっているけど、化粧室もそっちの端にあるから勝手に使っていいよ。食べ物や飲み物、動植物の持ち込みは禁止ね」「あ、衛生問題があるからですよね?」「いや、掃除が面倒になるし、おはようございまーすって出勤したら目の前に|噛虫《ビッグアント》とか雷鼠とかいたら嫌じゃない?戦争起こすけど」「戦争は起こしちゃだめだと思います……!」 もっと単純な理由でびっくりしてしまった。 いや、確かに出勤してよく分からないものが居たらびっくりはするんだけ
last updateآخر تحديث : 2025-12-27
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39食目・ごはん屋さんの職場紹介

「さ、ここから厨房よ。入る時は手洗いを、最初に入ったら元気よく「おはようございます」と挨拶してね」「わかりました」 いよいよ第二厨房の扉が開け放たれて、先に入るマグサァさんの背についていく。「おはようございます」「おっ、おはようございますっ!」  扉の先は奥の壁が遠く感じるくらい広く、広々としたテーブルを中心に調理台や器具、食器が所狭しと並べられている。 オープン準備中なのだろう、何人もの料理人が下ごしらえや調理をしていた。「ルシェット」 マグサァさんに声をかけられるまで、その光景につい魅入ってしまった。 まだオープンしてないのに一生懸命に作業している皆を見ていると、もうお店は始まってるんだと思ってしまう。 声をかけられてやっとその姿から視線を外すことができて、壁に沿って店内のフロアの方へと移ることができた。「後で色んなところをじっくりと見ていいからね」「ありがとうございます」 そんな声かけをしてくれたマグサァさんは、今度は「エルミラ」と声をかける。 現れたのは赤い髪を長く、ポニーテールに纏めたお姉さん。 ああ、私がご飯を食べに来た時、案内や給仕をしてくれたお姉さんだ――。「マネージャー、どうしたんですか?」「今日から新人。挨拶できる?」「あ、はい。ルシェット・サイファ=明音です」「私はエルミラ・カリスマンよ。この2階ホールの看板娘をしているの、よろしくね」 にこりと微笑むエルミラの笑顔は眩しく、声もはっきりと通っていて聞きやすい。 "看板娘"に相応しい明るさだと思った。 「看板娘……」「看板娘は其の名の通り、お店の顔だからね。うちの店のサービス責任者ってやつだよ」「すごいんですね……!あの、よろしくお願いします!」「ふふ、こちらこそ。――さて、そろそろオープン準備も終えるのでついでに朝礼、見てってくださいね」 エルミラさんは笑顔でホールの中心へと進んでいく。 そして大きな声で「朝礼!」
last updateآخر تحديث : 2025-12-28
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40食目・お仕事の心構え

 マグサァさんは「私は事務所に戻ってるからね、ホールの仕事はエルミラから聞きなね」と朝礼の解散時に離れていって、 いよいよ11時。 万来堂がオープンして少しずつお客さんが入店してきた。 「いらっしゃいませ!こちらの席へご案内致します」  「見ててね」と早速入店したお客さんを案内しに行って、「こちらの席へどうぞ」と椅子を引いて丁寧な対応をしている。  「ご来店ありがとうございます。ご注文が決まりましたらお呼びくださいませ」  メニューを置いてにこりと微笑んだエルミラさんはお客様から離れると、ホールの隅っこに立つ私のもとへ真っ直ぐに歩いてきた。 「どうだった?お客様が来たらテーブルに案内して、お水をお渡しして、ここから、注文を聞いて厨房に伝えて、お料理が出来たらお客様のもとへ運んでいって、最後にお会計をしてお見送り。これが私達ホールスタッフのお仕事一連の流れなんだ」「お店に来た時はあまり意識してなかったけど、こうして聞いてると結構お仕事量があるように感じちゃいます。今は2人組のお客様が3組ですけど、この席が埋まるくらいになるんですよね?」「ピークタイムになったらねえ。忙しくなるのはあと1時間ほど、それまでにとりあえずはお仕事の流れや空気、それから席番くらいは憶えて欲しいかな」「席番……」  言われて手元の紙に視線を落とす。 朝礼が終わった直後、『覚えておいてね』と言われて渡された席番がメモされた紙だ。 テーブルには7種類の装飾が掘られていて、それぞれ属性の神様を表しているらしい。 ちなみに6種ある筈の属性に1つ増えてる装飾は無属性を表していて、魔法の根源である魔素がイメージされているのだとか、なんとか。 この文様と配置を記憶して、お客さんに料理を提供していくらしい。 「えっと、1列目が正規の順番で、一番最後が魔素&hell
last updateآخر تحديث : 2025-12-30
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