時也「???」時也「!!!」時也は完全に固まった。その場に立ち尽くしたまま、頭の中がぐわんぐわんと鳴る。「柚香が遥真の命の恩人だって、本当なのか?」「もちろん!」怜人は彼をぐいっと外に押し出し、バタンとドアを閉めた。「玲奈のあの傷跡、柚香ちゃんのとまったく同じ形で再現されてるんだよ。あの傷跡が遥真の恩人と関係ないっていうなら、話は別だけどな」今朝、柚香はもう玲奈のところで確認していた。この件はほぼ間違いない。時也は一瞬言葉を失った。もし柚香が本当に遥真の命の恩人だったら、まずいことになる……そう思った瞬間、彼はすぐに怜人と同じ便の飛行機を押さえて蒼海市へ向かった。このことは遥真に伝えておかないといけない。でないと、怜人が余計なことをしに行って、遥真の機嫌はますます悪くなるに違いない。――その頃、柚香のほうでは。彼女は玲奈と一緒に、まだ人の少ないバーに座っていた。本当は真帆と気分転換に出かけて、時間になったらホテルの宴に向かうつもりだった。けれど家を出たところで玲奈に呼び出され、しかも一人で来るように言われて、ここに来たのだ。「何の用?」柚香は単刀直入に聞いた。「まさか、そこまで想像力が豊かだとはね」玲奈はあの件を認めずに言う。「でも今朝のこと、外れてるよ。遥真の命の恩人はあなたじゃない」柚香は表情ひとつ変えずに答える。「それで?」玲奈は本当らしく言い募る。「そんなに協力する気がないなら、私たちの取引はなし。この先一生、誰がその人か知ることはできないわよ」「その脚の傷で遥真に近づいたんでしょ」柚香は淡々と事実だけを口にした。玲奈の顔が一瞬こわばる。――本当に知ってるの?「井上先生が目を覚ました」柚香はその理由をあっさり告げる。「あなたが彼に接触したことも、全部話してくれた」「そんなはずない!」玲奈は反射的に否定した。どうしてもその事実を受け入れたくなかった。「本当かどうかは、自分で連絡してみればわかるでしょ」柚香は立ち上がり、それ以上話す気はなかった。「時間的に見て、もう遥真にも伝わってる頃だと思う」玲奈の瞳が大きく揺れる。柚香は一度だけ彼女を見て言った。「自分を騙した相手に、彼がどう出ると思う?」「待って」立ち去ろうとする柚香を呼び止め、玲奈は何かと引き換えに身を守ろうとする
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