柚香さん、どこからこんな口の悪いボディーガード拾ってきたんだ?恭介と健太は、同時にそんなことを心の中で思った。慎吾は二人の表情を見て、はっきりと言った。「その顔、俺の言ったことに文句でもある?」当たり前だろ。健太の頭にはすぐそう浮かんだ。ただ、相手とはまだ面識が浅いので、かなり控えめに言い直す。「いえ、そんなことはない。人それぞれ考え方があるから」「仮に文句があっても無駄だけどな」慎吾はまったく気にしていなかった。彼が気にするのは、給料を払ってくれる安江と柚香だけだ。「もう離婚してるんだからな。今さら口出しされても、飲み込むしかないだろ」健太は恭介をちらりと見て、無言で言った。――こいつ、感じ悪くない?恭介も目で返す。――確かに。健太は拳を握りしめ、小声で歯を食いしばった。「ぶん殴っていいですか?」恭介が止める前に、慎吾が耳ざとく聞いて答えた。「いいぞ」健太「は?」恭介「は?」「ただし、君じゃ俺には勝てない」視線を一度、健太の上から下まで流す。その言い方は、ダメージよりも侮辱のほうが大きい。「多く見積もって三発で終わりだ」「やってやるよ」健太は腕まくりをして今にも飛びかかりそうになった。男のプライドが、それを許さなかった。「来いよ。三発くらいなら耐えてやる」「やめろ、社長たちもうすぐ出てくる」恭介が止めた。その言葉で、健太の勢いは一気にしぼんだ。もし社長に、柚香さんのボディーガードと揉めているところを見られたら、怒られるのは確実に自分だ。ちょうどその頃、柚香と遥真が手続きを終えて中から出てきた。それぞれ手には離婚届受理証明書を持っている。「柚苑の出入り設定とシステムは、もう一度見直していい」遥真は立ち止まってそう伝えた。「執事にはもう言ってある。あそこはこれから、君だけの場所だ」「うん」柚香は淡々と返した。遥真は何か言いかけたが、結局やめた。離婚届受理証明書を持つ手に、少しだけ力が入る。「約束は、ちゃんと守ってほしい」柚香が昔の話を持ち出す。「離れるなら、きっぱり離れて」もし彼が陰で自分を守り続けたり、問題を片付け続けたりしたら、時間が経っても彼は前に進めないし、自分も本当の意味で成長できない。なら、いっそ完全に切ったほうがいい。長く苦しむより、短
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