今回は、和美様がお二人の婚約を認めたとSNSに投稿されたため、ご親族の騒ぎは前回以上らしい。そんな状態でも、蓮司様は吉川様と結婚すると仰っている。桐谷の本邸に突撃し、蓮司様がその意思を変えないと分かると、その悶々とした気持ちを抱えて和美様のところにやってくる。おかげで、別邸にくるご親族の方はどなたも渋いものを食べたかのような表情。武美様は……顔を赤くして起こっていらっしゃるけれど、武美様のご両親、春樹様と唯花様は他のご親族同様に渋い顔をしている。「蓮司ったら、一体何を考えているのよ!」ここから始まるのは、いつもの流れ。「そう言えば、蓮司って昔から……」このように、親戚らしい蓮司様の昔話が始まる。他の方のときもそうで、「美香さんも休憩なさい」と和美様から声を掛けられ、いつの間にか私も彼らの昔話に巻き込まれているのがいつもの流れ。そして、旧知の中に新参者の私が混じれば、「そういえばあなたは?」と聞かれる。私は自己紹介をし、和美様から仕事に関するお褒め言葉を頂戴し、そこからご親族の方のリクエストに合わせてお昼ご飯や晩ご飯を作る……。……あら?思い返せば、私も楽しくて刺激もある生活を送らせていただいているわ。「とりあえず中に入りましょう。美香さん、人数分のコーヒーをお願いするわ」「畏まりました」「美香さん、手伝うよ」「ありがとうございます、朋美様」 * 「ん~、美味しい!」お湯が沸くのを待ちながら、朋美様にコーヒーカップの準備を手伝ったお礼として、皆様にお出しするシフォンケーキの切れ端を出した。これ狙いでお手伝いを申し出てくださったのは分かっていた。「これ、絶対に武美ちゃんの好みだよ」朋美様が首を傾げる。「いつもの美香さんのクリームとは違うよね、武美ちゃんの好みを知っていたの?」「武美様のお名前は、ご親戚の方々の会話の中でよく聞いていましたから。武美様がお好きだと言っていたケーキを私も食べたことがありまして、それで、お口に合えばいいと思って」「……美香さん、親戚の話を覚えているの」まさか。「一言一句を覚えてはいませんよ。重要そうな情報だけ覚えているだけです」聞きかじった情報を覚えるのは、昔からやっていたこと。花嶺家では、言われていないからと準備しないでいると、「言ったでしょう」と怒られて罰を与えられた。
Terakhir Diperbarui : 2025-12-17 Baca selengkapnya