美南から回ってきた品々は、型落ちとはいえ新品同然。換金すれば相当な額になる。不意に、携帯が鳴り響いた。那月は画面を一瞥し、即座に出た。「……どうだった?」「兄さん、私を誰だと思っているの?全て手回しは済んでいるわ」「そうか。あの女、何年もお前に手なずけられ、飼い殺しにされているな」受話器の向こうの男は、ふと思い出したように言葉を継いだ。「そういえば、俺のことは紹介したのか?」「焦らないで」那月は冷淡な笑みを浮かべた。「獲物を確実に仕留めるには、まずは向こうから飛び込んでくるのを待つのが一番よ。あの女があなたなしではいられなくなる筋書きなら、もう書き終えているわ」「わかった。お前に任せる。吉報を待っているぞ」……「……なら、せいぜい待っていればいいわ」翌日。美南は、一向に届かないデザイン画に痺れを切らしていた。彼女からの催促の電話に、杏奈は容赦なく言い放った。「何度言えばわかるのかしら。私はもう、あなたのために描くつもりはないの。諦めなさい」「よくも私の顔に泥を塗ってくれたわね!今さら泣いて詫びたって、もう遅いわよ!」「勝手に言っていなさい。理解不能だわ」杏奈は冷たく通話を切った。捨て台詞など、痛くも痒くもない。どうせ、また蒼介を盾にして脅しをかけてくるつもりなのだろう。今の杏奈にとって、かつては呪縛のように彼女を縛ったその名も、今や空虚な記号に過ぎなかった。すべて終わったことだと自分に言い聞かせていたが、午後に裕司から予期せぬ連絡が入った。「杏奈、すまないが、今日会社に来てもらうことになりそうだ」「何かあったんですか?」杏奈の問いに、裕司は苦渋に満ちた声を漏らした。「裏で悪意ある噂を流布し、空気を煽っている者がいるらしい。社内では、君の復帰を阻もうとする拒絶反応が、手のつけられないほどに高まっている。事態を鎮静化させるために二日ほど復帰を遅らせるか、あるいは今すぐ乗り込んで、実力で黙らせるか」裕司は冷静に状況を分析し、続けた。「後者を選べば、君は剥き出しの敵意の中に身を投じることになる。けれど、君の圧倒的な実力を見せつければ、すべての雑音は自ずと消え去るだろう……どうする?」「迷う必要なんてないですわ」杏奈の唇が、挑戦的な、けれど確信に満ちた弧を描いた。「答えは決まっているで
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