身支度を整えた二人は、華やかな装いで出発した。標準的な付添人らしい出で立ちの颯斗に対し、練は落ち着いた格子柄のスーツを粋に着こなしている。あくまで新郎を引き立てるに留めながらも、その端麗な容姿は否応なく周囲の目を惹きつけた。翼の車で新婦の家へ向かう道中、初めての付添人に緊張する颯斗へ、翼がそれとなく忠告した。「今回は大役だ。少し骨を折ってもらうかもしれない」「骨を折る?」「新婦の実家が格式を重んじる家柄でね。親族の数も多い。披露宴でいきなりスピーチを頼まれたり、二次会の段取りを任されたりするかもしれない。特にお前のように人目を引くとなれば、親戚の叔母様方に囲まれて質問攻めに遭うこと請け合いだ。覚悟しておけよ」「任せろ。親友の盾になるのは当然だ」颯斗は胸を叩いた。だが、新婦の家に到着するやいなや、颯斗は眼前の光景に圧倒された。玄関先には新婦側の親族と思しき人々がずらりと並び、一行を出迎えたのである。新婦の真梨(まり)は、笑窪の愛らしい小柄な女性だった。聞けば、半年前に翼が帰郷した際の見合いで知り合ったのだという。交際半年での結婚とは、あまりの早さに訝しむのが普通だろう。だが、翼が彼女に向ける眼差しや、彼女を語る時の無垢な笑顔を見れば、それが心からの幸福の証であることは誰の目にも明らかだった。迎え入れの儀式は、想像を絶するものだった。まず、颯斗は新婦側の親族の輪に囲まれ、矢継ぎ早に質問を浴びせられた。「お仕事は?」「お付き合いしている方は?」「翼くんとはどういうご関係?」――さながら尋問である。挙句の果てには、突然スピーチまで頼まれる始末。颯斗は緊張のあまり、あろうことか新婦の名前を「真梨子さん」と呼び間違え、会場を爆笑の渦に巻き込んだ。そして最悪なことに、練はその一部始終をスマートフォンで撮影していた。ただ撮るだけではない。ご丁寧に編集まで施し、一本の爆笑動画に仕立て上げていたのだ。赤面し、しどろもどろにスピーチする颯斗の姿は、まさしく格好の晒し者だった。式場へ向かう車中、練はその「傑作」を颯斗に見せびらかした。もし題材が自分でなかったなら、颯斗もその編集技術を素直に称賛したかもしれない。だが、これは紛れもない自分の黒歴史である。「何してやがる!消せ、今すぐ消すんだ!」「駄目だ。これは俺の心血を注いだ作品なのだから」「何が
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