カーズ達がメキアに乗り込む直前、ディードとバサトは一足先にクラーチ王国に転移で送って貰っていた。 既に事情を聞いていた国王フィリップから、王国騎士団長のクレアを含む約十数名の手練れの騎士達、その中にはギグスとヘラルドの姿もあった、と馬を借りて王国の北東にある自由都市ライデンとの国境近くのエルフの里を目指した。 馬で数時間の距離だが、時間が惜しい。騎士団の馬と自分達にアクセラレーションを重ね掛けし、ディードは縮地で更に加速しながら全速力で走り、バサトと約一時間足らずで里の近くまで到着したのだが……。「そんな……、あの偽物の法律が発表されたばかりだというのに……」「くそっ…、ナギトとフィリップの嫌な予想が当たりやがったってのか……」 遠くからも赤い光が見えてはいたが、手前の小高い丘まで来て、それが確信に変わった。 エルフの隠れ里が、森が、燃えている……。 全焼とはいかないが、広大な森の三分の一は火の手が上がっている。そして炎に追われて里から抜け出した人々が、30人以上はいる野盗の様な連中に次々と捕えられては隷属の首輪を填められ、連行されて行く。そんな絶望的な光景が目の前にあった。「おのれ……、よくもわたくしの故郷を…!!!」 どうなろうが、里を抜けた自分には最早関係ないと思っていた。双子の姉と違い妹の自分は忌子と言われ、差別されて育って来た。大嫌いな里だった。ユズリハと双子の妹のユウナギの仲睦まじい関係を心底羨ましく思った。クラーチで冒険者となっても、今迄の積もり積もった感情の鬱憤は完全には晴れなかった。そしてそんな愚かな部分につけ込まれた。 だがカーズと出会い、彼の仲間達や家族と過ごす内に、本当の家族の温もりを知ってしまった。彼に会えて、里を抜けて良かったと……。 それなのに…、この光景を見たときに自分が感じた感情は『怒り』だった。優しい人達も、心を寄せてくれた友人も少ないながらもいた。姉と扱いは違っても、妙な名前を付けられても、育ててくれたのは紛れもなく両親だった。「いいか、もし里が襲撃されたら、友人や家族が被害に遭ったら…、後悔はないのか? 理不尽に嫌な目に遭って来たんだ、悩むし複雑な気持ちなのはわかる。でもな…、失ったら終わりなんだ…」 カーズは5,000年という永い時間、何度も大切な人、アヤを失い続けてきたと聞いた。そ
최신 업데이트 : 2026-02-14 더 보기