All Chapters of お嬢様、あなたの『推し巫女(ヒーロー)』、私なんですが: Chapter 31 - Chapter 40

54 Chapters

5-1【暗黒大陸の魔女】

 ランプの明かりに照らされたロベルトの部屋は、重苦しい静寂に包まれていた。 アデーレとロベルト。それにミハエル。 席に着いた三人がテーブルを囲い、テーブルの上にはアンロックンが置かれていた。 アデーレとロベルトの表情は険しく、ミハエルは床に付かない足を振りながら二人を不安げに見比べている。 「さて……いよいよ姿を現したわけだ」  時が止まったかのような沈黙を終わらせたのは、アンロックンの一言だった。           ◇  アンロックンによって危機を脱した後、屋敷の中は案の定大騒ぎとなった。  使用人を狙った謎の存在。  そいつは誰にも気付かれず屋敷の中に侵入し、異様な力で人々を惑わし、そして何かを施す。  魔女についての詳細は、ロベルトの判断で他の使用人たちには明かされなかった。  だが、この侵入が昨今続く魔獣騒ぎに絡んでいるということは、屋敷にいた誰もが考えたことだろう。  アデーレと、彼女が助けた使用人は、その後皆の介抱を受けることとなった。  その中でも印象的だったのは、使用人室にいたアデーレたちの前に、エスティラが姿を現したことだ。  エスティラはお供を連れることもなく一人で使用人室まで下りてきて、そして異形に襲われたアデーレたちのもとへ駆け寄った。 「あなた達、大丈夫? 何もされていないわよね?」  二人を気遣うその言葉に、周囲の使用人は皆戸惑っていた。  使用人に対し
last updateLast Updated : 2026-01-03
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5-2【アデーレの長い一日】

 どんなに恐ろしい出来事が起きようとも、夜は明けて朝が来る。  バルダート家に仕える使用人たちの朝は早い。 五時には起床し、各々が用意した午前用の作業着に袖を通し、早朝の仕事へと赴く。 同じく起床したアデーレも、母に繕ってもらった木綿のワンピースに着替え、腰にエプロンを巻く。 そして身だしなみを整えるため、共用の全身鏡の前に立つ。 良家の使用人たるもの、全身鏡に映るその姿にみすぼらしさは見当たらない。 だが鏡の中にあるアデーレの顔には、精神的な疲労がはっきりと浮かび上がっていた。 昨晩、ロベルトとの情報共有を終えた後に就寝したアデーレだったが、とてもじゃないが寝付けるような精神状態ではなかった。 自分が休んでいる間にも、魔女はエスティラに魔の手を伸ばそうとしている。 そう考えてしまうと、眠気が勝手に覚めてしまうのだ。 それでも、今のアデーレはあくまで使用人だ。 体力仕事の上、約束された魔女の襲来にも備えておかなければならない。 休むことが必要だと自分に言い聞かせ、無理やりにでも眠りにつくことはできた。 しかしそんな状態で、良い睡眠がとれるはずもない。「いい顔してるね」 自分に向けて、皮肉交じりの言葉を投げかけるアデーレ。 今のアデーレを、周囲の者たちは昨日の事件で参っているのだと考えた。 皆が同じように気遣いの言葉をかけ
last updateLast Updated : 2026-01-04
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5-3【仕掛けられた罠】

 アンロックンからの答えは、この状況がアデーレの想像以上に危険なところまで進んでいることを意味していた。   事態の深刻さを理解したアデーレは、険しい表情を浮かべながら立ち上がる。  スカートに付いた土やごみを手で払い、アンロックンを再びポケットに収める。  そして小さく息を吐いた後、改めて生垣をじっと見下ろす。 (危険って、どういうことなの?)  落ち着いたところで、改めてアンロックンに問いかける。  ポケットの中のアンロックンは小さく音を立てた後、アデーレに向け言葉を続ける。 (まずはね、ここが魔獣召喚の儀式に使われている可能性があるんだよ)  その言葉に、アデーレはわずかな立ちくらみを覚えた。  魔獣の召喚。しかもそれがバルダート家の別荘で直接行われるとなれば、いよいよ壊滅的な被害は免れない。  しかし、そのような儀式の形跡はどこにも見当たらない。人間の目に映る分には。 (儀式って……それ、どういうことなの?) (人間じゃ気づくこともできないけど、この庭のいたるところに不可視の陣が張られている気配がするんだ) (不可視の陣?)  聞き慣れぬ名前に、アデーレが首をかしげた。  とはいえ、不可視という言葉で人間の目に見えないものであることは察することができる。  当然ながら、今のアデーレがどれだけ目を凝らしてみても、地面に何か違和感のある痕跡は見当たらない。
last updateLast Updated : 2026-01-05
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5-4【襲撃】

 落ちる。落ちる。 アデーレの身体が、時速約二百キロメートルのスピードで地上へと落ちている。 混乱する頭でスカイダイビングを行う人々の姿を思い出し、アデーレはとっさに腕と脚を広げる。 キャップはどこか彼方へと飛び去り、ロングスカートが大きな音を立てながらたなびく。 こうすれば速度が落ちるらしい。「って、意味ないからぁー!!」 流れゆく景色を見つめるも、速度が緩やかになっているような変化は見られなかった。 スカイダイビングならば、まずはパラシュートだ。当然そんなものはない。 自分が無駄なあがきをしていることに気づき、涙目になりながら眼下を凝視する。 一体どれくらいの高さから落ちているのか。既に二十秒以上は過ぎているはずだ。(落ち着いて! 僕が何とかするからッ) 頭の中で、アンロックンが頼もしい言葉をアデーレに送る。 アンロックンは生身で屋根から下りても落下速度を相殺し、安全に着地できるようサポートしてくれる。 今回も、その力でどうにかなるということだろうか。(さすがにこの速度を相殺するのは難しいかな!!) 今すぐ投げ捨ててやろうかと、心の中で悪態をつくアデーレ。 しかしそれは止めておくべきだ。助かる命も助からなくなる。 アデーレは苛立ちと恐怖をこらえながら、震える手でスカートのポケットへと手を伸ばす。「じゃあここで変身ッ、変身するの!?」(そうだね、それが一番安全だよっ)「最初からそれを言えーっ!!」 こんな窮地で、何と呑気な会話をする二人か。 しかし命が掛かっている以上アデーレは必死だ。 急いでポケットからアンロックンを取り出すと、右手で構え、左手を前方にかざす。 左手に集約する炎。 炎は急速に鎮火し、代わりにアデーレの左手の中へ変身のための鍵を形成する。 そして左手に持った鍵を、アンロックンの鍵穴に差し込む。「間に合えぇぇーッ!」 アデーレの全身が炎に包まれる。 その間にも地面はどんどん近づいていき、先ほどまで小さく見えた港町が、石畳の道が確認できるほどの大きさになっている。 通りを歩く人の頭頂部もはっきりと見ることができそうだ。 瞬間、身体の炎が霧散し、右手にフラムディウスを構えたヴェスティリアの姿が現れた。「ああああぁぁーッ!!」 アデーレの視界に、整然と並んだ石畳の模様が鮮明に映っていた。
last updateLast Updated : 2026-01-06
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5-5【愚か者たちの剣となれ】

「おお、ヴェスティリア殿っ」 アデーレの背後から、一際大きな声が掛けられる。 聞き慣れた声に対し彼女が振り返ると、そこには誰よりも堂々とした共和国兵。 この部隊にして艦隊の指揮官が、いつもの軍人としては豪勢な衣装のままサーベル片手に立っていた。 彼はエスティラも認めており、そして前線でヴェスティリアの活躍を見守るファンの一人だ。 そしておどけた雰囲気に反し、真っ先に戦線へと姿を現す勇敢さを持ち合わせている。 アデーレは駆け寄ってきた指揮官の姿に安堵しつつ、フラムディウスを地面に突き立て彼を出迎える。「指揮官さん、そちらは大丈夫ですか?」「もちろんですとも! あなたのおかげで魔獣との戦い方も分かってきましたし、これくらいっ」 このような状況下でも、豪快な笑顔を絶やさぬ指揮官。 自信過剰に感じられなくもないが、今はその心意気がアデーレには頼もしく思えた。 彼の放つ存在感は、彼女が一人で戦っているのではないことを強く確信させてくれるのだ。 そんな指揮官が周囲に魔獣がいないことを確認すると、何を思ったのかサーベルを収めてアデーレの方へ歩み寄ってくる。「ところでヴェスティリア殿。あなたにも耳に入れておいてほしいことが一つありまして」 相当重要な話なのか、先程よりも声のトーンを落とす指揮官。 それほど広くない港町といえども、全ての状況をアデーレが把握することは不可能だ。 万が一どこかで大きな被害が出ていたとしても、彼女が気づかなければ駆けつけることもできない。 彼の様子から、自身の知らないところで深刻な状況が進んでいるのではないかとアデーレは身構えてしまう。 だが彼女の懸念とは裏腹に、真剣な表情を見せる指揮官は常に落ち着き払った様子だ。 緊急事態ならば、彼も血相を変えていることはアデーレにも想像できる。「見ての通り、町は多数の魔獣による襲撃で混乱を極めております」「うん。早く何とかしないと」「その通りです。これに先立ち、エスティラ様から我々に指令が出ております」 急に上がるエスティラの名前に、わずかに驚きの表情を見せるアデーレ。 有事の際に彼女が口を挟むことは、今日まで一度たりともなかった。 もちろん十五歳の少女が戦闘行為に口を挟むなど無理な話であり、そういった事態を想定して周りに優秀な人々を集めている。 緊急時にはそういった
last updateLast Updated : 2026-01-07
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5-6【サウダーテ家の娘】

 曇天の下、フラムディウスを担いだアデーレが宙を舞う。 建物の屋根を飛び移り、時には大きく跳躍しながら、丘の上の屋敷をひたすらに目指す。 途中で数匹の魔獣を倒し、十数人の町民に屋敷へは向かわず内陸へ向かえと声をかけて回り、想定よりも到着が遅れていることに若干の焦りを覚える。  エスティラによる避難を促す指示は、相当早い段階で出されたものなのだろう。  道中逃げ遅れた町民と遭遇する機会はそれほど多くはなく、一方で屋敷に近づくにつれて喧騒は大きくなる。  だが、アデーレの表情には一切の余裕がない。  屋敷には全ての元凶である魔女が潜み、今もなおエスティラに対し何らかの方法で危害を加えようとしているのだ。  跳躍するアデーレの脳裏に、屋敷の人々の顔が浮かぶ。  協力を申し出てくれたロベルトと、彼の息子ミハエル。  自分に使用人の仕事を紹介してくれたメリナ。  仕事のことを教えてくれたラヴィニアやアメリア。  同僚であるミウチャたちや、食事担当の人々に、男性使用人たち。  避難してきたであろう町民にも、顔見知りはかなり多い。  そして、意地が悪くもその心に憂いを秘める主人、エスティラ。  全ての人々の命が、悪意あるものの策謀により危機に瀕しているのだ。 「もっと、急がないと……ッ」  一層強く、踏みしめた屋根を蹴り、高く高く飛び上がるアデーレ。  瓦が破片となって飛び散り、彼女の顔の横を過ぎていく。
last updateLast Updated : 2026-01-08
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5-7【仮面を被った悪意】

 両親との再会を果たした後、アデーレは階段を駆け上がり三階へと向かった。 目的地はもちろん、エスティラの私室。 今彼女がいるとしたら、その場所以外に考えられなかった。  避難民に開放しているのは一階のみで、二階以上は使用人たちが集まり、上司の指示を仰ぎながら作業を進めていた。 「アデーレさんっ!」  途中、男性使用人たちに指示を出すロベルトに声を掛けられる。  アデーレは慌ててその場で停止し、声のした方を振り返る。 「ロベルトさん、お嬢様は!?」 「自室で待機しております! それよりあなたは何をっ」 「大事な仕事です!!」  アデーレの声が廊下に響く。  その言葉だけで、ロベルトは全てを察したのだろう。  これから、彼女が大きなことを成し遂げなければならないと。 「お嬢様をよろしくお願いいたします」 「はい。あとできれば、すぐに脱出できるよう屋敷内の方たちには前庭にいるよう伝えておいてくださいっ」 「屋敷から脱出? わ、分かりました。善処しましょう」  本当に頼もしい協力者が出来たと、アデーレの顔にも自然と笑顔が浮かぶ。  だが、感動している暇はない。  すぐに踵を返し、エスティラの私室へと向かう。  エスティラの部屋へ近づくにつれて、人の姿も少なくなる。  先ほどま
last updateLast Updated : 2026-01-09
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5-8【人の心を踏みにじる者(前編)】

 場の空気が変わるのを、アデーレはその肌で感じていた。  ヴェスティリアの名を忌々しそうにつぶやくアメリア。 その様子に怖気づいたか、メリナの顔色がみるみるうちに悪くなる。 そして……。「……アメリア? どうしたの、ねぇ?」 傍らに立つアメリアを、不安げに見上げるエスティラ。 だが彼女の言葉に、異様な雰囲気を漂わせるアメリアは何も答えない。 怒り、悲しみ、絶望、落胆。 あって欲しくはなかった。信じたくはなかった。 しかしこの事実を、アデーレはただ受け入れることしかできないのだ。「お嬢様っ、こちらに!」 立ち上がったメリナがエスティラの手を取り、アデーレの方へと駆け寄る。 そのまま三人はアメリアから距離を置き、怨嗟のようなつぶやきを続けるアメリアを困惑の表情で見守る。 小さく震える体を、メリナの方へとわずか寄せるエスティラ。 ここまで不安を表に出す彼女を見るのは、アデーレも初めてのことだ。 対して気を持ち直したメリナは、到底尊敬する相手に向けるものではない警戒心を剥き出しにしている。 二人の姿を前に、胸に手を当て悲痛な表情を浮かべるアデーレ。 そんな三人の様子を、アメリアは全く意に介していなかった。「忌々しい
last updateLast Updated : 2026-01-10
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5-9 【人の心を踏みにじる者(後編)】

 二人の知るアメリアは、王党派と接触した魔女の悪意によって殺されていた。 少なくとも魔獣が現れ始めたこの島で、二人が本人と思って接してきたそれは皮を被った魔女だったのだ。 その事実はあまりにも残酷なもので、事実を突きつけられたエスティラの脚は今にも崩れ落ちそうなほどに震えていた。 それでも歯を食いしばるのは、魔女の前で涙は見せないとこらえているせいか。 だが気丈な姿を見せるエスティラに対し、イェキュブは力なき人間を前に鼻で笑う。「まぁ、いずれアンタにゃ話すつもりだったのさ。徹底的に絶望してもらわにゃ、私が困るんでねぇ」「ぜつ、ぼう……?」 イェキュブの言葉が理解できないといった様子で、エスティラがつぶやく。「アンタには綺麗な体でいてもらわなきゃ困るからねぇ。虫を使う訳にはいかないのさ」 そんな彼女の姿がおかしいのか、けらけらとイェキュブが笑う。 非常に不快で耳障り。脳内にこびりつくような、乾いた笑い声だ。 イェキュブの全身を包む虫が魔女の歓喜を示すかのように脈動し、蠢く。 絡み合う湿った音が部屋の中で響き、垂れた粘液がカーペットに染みを作る。「というわけでだ、アンタの心を徹底的に壊してやろうと、色々面倒なことをさせてもらったよ。殺す方が楽だってのにねぇ」 エスティラたちの方へ腕を伸ばし、蠢く虫の中から覗く手を広げるイェキュブ。 すると手のひらの中心に生々しい亀裂が入り、そこから棒状のものが肉を引き裂く音を立てつつ伸びてくる。 イェキュブの血だろうか、それは赤黒く変色した肉片がこびりつく、自身の身長よりも長い杖だ。 杖の芯となる部分は、骨を継いだものでできているようだ。 末端まで出現した杖が、先端を天井に向ける形で立つ。 イェキュブはそれを、血まみれになった自身の手で握る。 杖や手のひらからは血液がしたたり落ち、粘液で汚れたカーペットの上に血だまりとなって溜まっていく。「こんな感じに、ねぇ!」 そして、末端部分で勢いよく床を突く。 カーペットの血だまりから血液が跳ね、飛び散った血液が周囲の家具やエスティラのドレスをわずかに汚す。 次の瞬間、屋敷を中心とした地震が発生し、続いて背後から耳をつんざく破壊音が響く。 エスティラたちが振り返ると、廊下の窓側……つまり中庭の方から、灰色肌の巨大な腕が二人にめがけて伸びてきた。
last updateLast Updated : 2026-01-11
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6-1【小さな反抗】

 エスティラ・エレ・バルダート。 現当主、ドゥラン・ブラマティ・バルダートの長女として生まれ、弟アルフォンソが誕生するまでは、次期当主としての教育を受けてきた貴族の娘。「年寄りだから耳も遠いわけ? 黙れって言ってんのよ、魔女のババア」 エスティラが吐き捨てるその挑発には明らかな強がりと、そして心の底から湧き上がる怒りに満ちていた。 おおよそ上流階級には似つかわしくない言葉遣いだが、本来の彼女を知る者が聞けばそれがエスティラらしいと思うだろう。 だが絶望の底を求めるイェキュブにとって、エスティラの姿はあまりにも遠いものだ。 完璧な絶望を与えたはずの少女が、今もなお胸の内に反抗の意志を宿しているのだから。「何が絶望よ。心を壊すって……」 貶すように吐き捨てるも、エスティラの頰を涙の筋が伝い、彼女を握りしめるサイクロプスの手へと落ちる。 強く閉ざされたエスティラの目尻から、大量の涙があふれていた。 しかしその声にも、魔女が求める恐怖や絶望はない。 無念、怒り、そして自らの無力さへの落胆。 それでもなお、彼女の心には支えが残されているというのか。「私が心から信じてきた人は、アメリアだけだった」 頭を足で押さえつけられながらも、エスティラは言葉を続ける。 心は折れないと魔女に突き付けるように、声を震わせながら紡ぎ続ける。「あの人はプロの家政婦よ。だけどそれ以上に、優しい人だった」「そうかいそうかい。ああしかし! アンタを思い慕う者はこの世に亡くっ!!」 苛立ちを声に込めたイェキュブが、仰々しく身振り手振りでエスティラを挑発する。 体からしみ出る粘液が脚を伝い、エスティラの頭を汚す。 エスティラの頭をかかとで踏みにじり、甲高い声で笑いながら天を仰ぐ。「でもそれ以上に、アメリアは教えてくれたわ。パパ達のことを」 だがイェキュブの煽りを、エスティラは完全に無視していた。 まるで勝ち誇る魔女に、お前の計画は失敗していると言わんばかりに。「パパは私に家督を継がせないと決めたとき、心から悔いていたって。ママは私に、どうにか別の生き方を与えられないかと悩んでいるって」 閉じられていたエスティラの目が、少しだけ開かれる。 その瞳に、イェキュブが望む絶望は片鱗も映っていない。「知ってる? アルったら事あるごとにお姉ち
last updateLast Updated : 2026-01-12
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