All Chapters of コロッケスマイル ~俺様御曹司は、庶民女王と子供たちにご執心!~: Chapter 121 - Chapter 130

158 Chapters

スマイル24 ウルトライダーQ 06

 最初はキュウが押していた。しかしXは強い。だんだんキュウが劣勢になってきた。 「がんばれっ! がんばれーっ、ウルトライダーキュウっ!!」  簡易ステージの近くに駆け寄ったライタが大声でキュウを応援した。俺も引っ張られた上に、王雅にぃも大きな声で応援してっ、と怒鳴られた。 「がんばれー」  適当に小さな声で応援していると、ライタにメチャクチャ怒られた。「王雅にぃ、声が小さいっ!! もっと大きな声でっ! キュウに聞こえないっ!!」 「ごめん」  なんでお前に怒られた上に、謝らなきゃいけねえんだよ。 「がんばれー、キュウー!」少し大きな声を出した。 「まだ小さい! もっと大きな声でっ!」 「負けるな、キュウ――っ!!」  やけくそになって叫んだ。 「王雅にぃ、いい調子っ! キュウ、がんばれ――っ!! Xに負けるな――っ!!」 「キュー! キュー! がー!!」  俺の腕の中でキューマも応援している。あまり騒いだりすることがない大人しいキューマが、珍しいな。 キューマの様子を見ながら応援の声をとめると「おー!」と袖を引っ張られてキューマに怒られる。横にいるライタにもホンキで怒られるから、必死に声援を送り続けた。   暫く続けていると、キュイーン、と音楽と照明が変わった。真っ暗に照明が落とされ、キュウにピンスポットでブルーの照明が当てられた。 「ありがとう、マサキ施設のみんな! 君たちの応援は受け取った!! 見てくれ、このパワー!!」  照明が虹色に素早く変化した。赤、黄、青、緑
Read more

スマイル25 美羽の気持ち 01

 大興奮のキュウのステージが終わり、一緒にキュウとXと記念撮影を行い、その後ライタの誕生日パーティーを行った。 キュウもXも施設に残ってくれて、一緒にライタの誕生日を祝ってくれたから、最高のパーティーになった。 ライタにとって、忘れられない誕生日になっただろう。  俺はこれから、こんな風にひとりでも多くの子供を喜ばせたいと思っている。 アメリカ行きの話も、美羽にしっかりと伝えるぞ。 2か月くらい離れてしまうけど、日本に戻っても俺を受け入れて、またこの施設に帰ってこさせて欲しいと頼むんだ。  恋人昇格の案件は、プロジェクトが終わってからじゃないと進められそうにない――俺はそう判断している。現時点で進めるのは、不可能でしかない。 とりあえず世界一の男になろう。帰ってからまた頑張ればいい。 美羽が嫁になってもいいと思えるような男になるため、アメリカで頑張るんだ。  ただ、キノコが心配だ。あいつがいなかったら、もっと安心してアメリカ行けるのに。 SPに見張らせたいところだけど、それこそ美羽とキノコになにかあったと判明したら、異国の地で発狂する。気が気じゃなくなるだろう。だから神に無事を祈るしかない。  大事な話があるからと告げておいたので、子供たちを寝かしつけた後、いつものように応接室で向かい合った。  プロジェクトを成功させてアメリカから戻るまでは、もうここへ今までみたいに寄ることができないと思うから、今日が恐らく、年内最後の施設泊りになるだろう。  渡米やプロジェクトのために今まで以上に準備をしなきゃいけない。土日の休みを取るのが限界にきていた。 今回はライタの誕生日があったし、もともとウルトライダー計画をしていて早くから休日を取っていたのでどうにかなったけれど、今後は好きなように休みを取得するのは無理だ。  ほんとうは同意を取って、美羽と合体してか
Read more

スマイル25 美羽の気持ち 02

「俺はマサキ施設が好きなんだ」「……」「実はそのプロジェクトの関係で、もうすぐアメリカへ行くんだ」  流石の美羽も、アメリカという言葉に息を呑んだ。 「期間は2か月くらいだと思う。プロジェクトの案件が済んだら、すぐ日本へ帰って来る。だから一番に帰って来る先はここしかない。だから、みんなで俺の帰りを待っていて欲しい」 「アメリカ……」  美羽が小さく呟き、瞳を閉じた。心なしか睫毛が震えている。 「俺が今、進行しているプロジェクトは、櫻井グループが儲かるためのプロジェクトじゃないんだ。様々なビジネスを繋げて、横山みたいに苦しんでる会社を救って、苦しんでる子供たちがひとりでも多く、心から笑って暮らせるような……そんな世の中にするためのプロジェクトを遂行しているんだ。獲得した利益で、マサキ施設みたいな場所を作っていく」「それで、アメリカへ行くの?」「そうだ。プロジェクトを完成させるために行って来る」「そうなの。随分遠くへ行ってしまうのね。そんな遠い所で、お仕事を……王雅、あなたはすごいわ」「すごくなんかない。俺は、血も繋がらないこどもたちを、真剣に思って育てて頑張る美羽の方がすごいし偉いと思う」「私なんか、なにもできないわ。ただ、毎日必死なだけよ」「稼げば偉いってもんじゃねえだろ。美羽にしかできない救い方があるように、俺にしかできない救い方があるって思うから、頑張ってこようと思う。だから、待ってて欲しい。俺が帰って来るまでお前が待っててくれ。一番にお帰りって、美羽が言ってくれ」  真剣に訴えた。これで断られたらどうしよう。  「……わかった。待ってる。頑張ってきてね」「絶対だぞっ! あっ、キノコとイチャイチャしたらダメだからな!」「恋人でもないのにそんなことしないわ」
Read more

スマイル25 美羽の気持ち 03

 俺の涙腺はチイの時に崩壊してから随分と脆弱になった。 一度壊れると元には戻らないらしい。  例えば、主人公子供が痛めつけられ、しかし歯を食いしばって立ち上がるような定番ドラマでさえ、感動して泣きそうになったりするようになってしまった。危うく泣きかけたんだぜ、この俺が! 俺は冷徹非情な男だったんだ。そんな男が子供たちに囲まれて泣いてるなんて、うちの会社のヤツに知れてみろ。威厳が崩れるぞ。 「わっ……私は泣かないわよ」美羽が焦ったように言った。  お前のことじゃねえよ。  というより、お前に泣かれたら俺、絶対ヤバい。 人目もはばからず俺も泣いて、お前を抱きしめて離さないと思う。  見送りは俺にとったらかなりハードル高い。  でも、見送って欲しい。 でも、色々問題アリだ。どうしよう。 どうしようとは思うが、たとえボロ泣きしたとしても、みんなのあったかい言葉を聞いたら、絶対、なにがあってもへこたれずにアメリカで頑張れると思う。 離れている辛い時間も、それを思い出したら乗り越えられるハズだ。  やっぱ、見送ってもらおう。  「あ、あのっ、だから、悲しくて泣いたりしないってコトだから! 王雅が行ってしまうのは私だって淋しいけど、でも、すぐ帰って来るんでしょう?」  あれこれ考えて随分難しい顔していたから、泣いたりしないって美羽が言ったことに俺が傷ついたと勘違いしたのか、彼女は更に焦ってベラベラ喋っている。 面白いから続き聞こう。俺はわざと傷ついた顔をして見せた。  美羽も俺と離れることを淋しいって思ってくれているんだな。 ニヤけそうになるのを必死で堪えた。 &nbs
Read more

スマイル25 美羽の気持ち 04

「気持ちって……?」  美羽が首を傾げた。  くそっ……このっ、鈍感女――っ!!  キノコが他に好きな女がいるとか、あれ、美羽の妄想だろっ! この鈍さの領域は天然記念物クラスだ。 アメリカへ行く前の合体――ラストチャンスは鈍感女のせいで見事に砕け散った。 「ったく……鈍すぎて言葉も出ないぜ。いったい俺にどこまで説明させるんだよ! 俺のこと好きになってくれたかって、き・い・て・ん・の! わかった? この鈍感」「どっ……」 美羽は俺を睨んできた。「鈍感で悪かったわねっ!」「それについて討論する気はねえよ。お前が鈍いのは百も承知だ。俺は、お前が俺のこと好きになったかどうか、それだけ聞きたい。はい、答えは?」 「……わかんない」「わっ……わかんない!?」  これは変化球過ぎて驚きだ。『わかんない』と言われるとは! なかなかの返しだ。俺の想像を容易く超えてきやがる。流石鉄壁の城。やすやすとは崩れない。 だが、もう俺はそんな程度じゃ落ち込まないぞ!「わかった。今の回答の答えについては保留にしておいてやる。返事は帰ってからもう一回聞くから、よーく考えておいてくれ。好きだと言ったら楽になるぞ?」「考えさせて」  なにを考える必要があるんだ。 イケメン、ルックス良し、頭脳明晰、金持ち、施設の土地持ち(美羽にとったら一番のポイント高)、子供大好き――これだけ揃ってれば、断る要素ナシだろ。なにが不満なんだ?  今は仕方ないか。まあ見てろ。世界一の男になって帰って来てやるから。
Read more

スマイル25 美羽の気持ち 05

 あれから月日が経った。もう、アメリカへ出発前日だ。 いってらっしゃいパーティーから、美羽や子供たちに会えていない。淋しいが仕方ない。今後もっと淋しくなるだろう。 現状は辛くなったら、スマホに収めた『いってらっしゃい』と『お帰りなさい』の動画を見て凌いでいる。 ライタの誕生日パーティーや、俺のためのパーティーの動画は、アメリカで見ようと思って取ってある。ここに手を出すと、アメリカが乗り越えられない気がして、見返したりせずに大事に置いてあるんだ。 プロジェクト自体は順調だ。アメリカでの交渉も上手く行くと思っている。  なんとしても、俺の手腕でうまく行かせる。 準備を整えている最中だった。最終チェックを行っていたら、ジャケットの胸ポケットが震えた。俺のスマホが音を立てて振動している。 ディスプレイを見ると、マサキ施設からだった。 明日の見送りに来てくれる時間の確認か、それともリョウやガックンが俺と話したいとでも思ってかけてきてくれたのかな――そう思いながら電話に出た。「はい?」『……おう……が……ごめんなさっ……明日……行けなくなっちゃった……』 美羽だった。声が酷く震えて、泣いているようだ。 「どうしたっ!? なにがあった!?」『もうっ……貴方を……待てなくな……っちゃった……』「美羽っ、とりあえず施設に行く! 待ってろっ!!」『ダメ……』「今すぐ行くからっ!!」 ただ事じゃない雰囲気と察したので、面倒な再着信等が無いようスマホの電源を落とし、自宅を飛び出して施設に向かった。 近くのパーキングに車を停め、施設へ急いだ。走るたびに耳につく砂利の音が、普段はドキドキして施設が見えるのが嬉しくなるのに、今はただ不安を掻き立てた。 施設に行くと灯りは点いていたが、門が閉まっていた。 いつもは俺が入れるように開けてくれているのに、なんで門が閉じられているんだ?  おかしい。変だ。 呼び鈴を押したが、応答は無かった。「美羽っ、いるんだろ! 開けろっ、開けろ――っ!!」 近隣住民の迷惑なんか、考えている余裕なんか無かった。夢中で門をガチャガチャと大きな音を立てて揺らし、大声で美羽を呼んだ。 暫く続けていると、ガラガラと横開きの扉が開いて、泣きはらしたリカが飛び出してきた。 こっちにやって来て、俺を見るなり再び大きな目から涙を
Read more

スマイル25 美羽の気持ち 06

 「リカ……どーした? とりあえず、中に入れてくれるか?」  リカは無言で門を開け、俺を中に入れてくれた。すぐにまた門を閉め、俺を引っ張って玄関まで入ったところで、いやだよー、と俺に抱きついて泣き崩れた。 こんな状態では何があったか聞き出すことができないので、じっとリカが落ち着くまで抱きしめて背中を撫でてやろうと思った。しかし、いくら背中を撫でても、声をかけても、リカは泣き止まなかった。   どうしようかと思っていると、リカと同じように泣きはらした美羽が玄関に現れた。「リカちゃん……王雅は入れちゃダメって言ったのに……」 「いったい、なにがあったんだ!? まさか……子供たちの誰かに……怪我や病気でもあったのか!?」  美羽やリカがこれだけ取り乱して泣いてんだ。悪い予感が当たらなきゃいいのに、と、俺は神に必死に願った。  マサキ施設の子供たちに、もしものことがあったりしたら……   ――いいやっ! そんなこと、あるハズがない!!    俺も悲痛な顔を向けて、美羽の回答を待った。嫌な予感なんか、当たらないでくれ!!  「子供たちは……大丈夫よ。でも……」そう言って、美羽は涙を零した。「ごめんなさい……王雅…………」 「ごめんって……どうしたんだよ。見送りくらい、都合が悪くなったんなら別に無くても構わねえからさ。そんなに泣くなよ……」  見送りがダメになった程度でここまで泣いているわけではないことくらい、美羽の様子を見ればわかる。リカもこんなに泣いているんだ。 ただ、子供たちが無事だということは安心した。なにもなければそれでいい。&nbs
Read more

スマイル26 奪われた権利書 01

 俺は新しいオーナーが待っているという、応接室に足を踏み入れた。  「……どういうつもりだ、花井!」   俺が本当に警戒しなきゃいけなかったのは、キノコなんかじゃなくこの男だった。 「やあ。これはこれは、櫻井の坊ちゃん。流石察しがいい。お久しぶりです。その節はどうも」「どういうつもりかって聞いてんだよ! 土地の権利書、どうしたっ!」「土地をお譲りいただき、誠にありがとうございます」「ふざけんなっ!! 俺がいつお前に土地を――……」   権利書の新しいもののコピーを、目の前に突きつけられた。   この男は本物の権利書を盗み出し、偽造して新しいものにすり替えるなんてことは朝飯前にやってのけるんだ。勿論、法的に偽造しているから、この書類は本物だ。 書面には色々記載してある。見間違いであって欲しいと願ったが、残念ながら書面は本物のコピーに相違なかった。以前の土地の持ち主欄は、俺――櫻井王雅の名前が記載してあり、現在の正式な持ち主は、花井 康(はない やすし)となっていた。  迂闊だった。 美羽に預けっぱなしだった大切な権利書が、こんなセキュリティ皆無のマサキ施設に放置されていたんだ。  勿論書類の保管をする以上、鍵くらいは付けていただろう。仕事部屋にでも置いていたハズだ。 俺が美羽に張り付いている手前、以前のように上手く権利書を盗み出すことができなかったモンだから、キノコ兄妹が俺の気を引くように仕向け、施設に潜り込ませた。  ウルトライダーのイベントの時なんか、仕事部屋も解放していたし、盗み放題できただろう。 キノコや美羽の様子から察するに、それをキノコ――あるいは真凛か――が盗み出し、花井の手に渡したんだろう。 幼い頃から見知っていて美羽が信頼している二人
Read more

スマイル26 奪われた権利書 02

 美羽。お前はそうまでしてこの施設を守るのか。 他の場所じゃダメなのか。 どうしても、ここじゃないといけないのか。  好きでもないあんな卑劣な男に屈して、身体を投げ出してまでも、施設を守り通そうとするのか――  「んー、素直でよろしい。坊ちゃん、何もこんな貧乏施設に拘ることはありません。貴方ならもっと素敵な女性に出逢う機会が多いでしょう。坊ちゃんは然るべき場所で活躍なさればいい。美羽さんは、私が幸せにします」  最低のクズが不愉快な笑みを見せた。 俺は唇から血が出る程強く噛みしめ、この男を殺してしまいそうになる衝動を必死に抑えた。  堪えろ!!  こんなところで花井を殺したりしたら、美羽が命を懸けて守ろうとしている施設を、俺のせいで潰すことになるんだぞ!  今までにない冷たい感情が、俺の心を支配しようとしていた。  花井。俺は絶対にお前を許さねえ!!  美羽を手に入れる為に様々な卑怯な手段を取り、キノコ兄妹も利用し、子供たちを泣かせ、自由を奪い、彼女を苦しめるお前を。  身体が震えた。震える程の怒りに包まれたのは、生まれて初めてだ。 お前を容赦なく叩き潰し、死ぬよりも酷い目に遭わせ、地獄を見させてやる。  たとえ俺が破滅しようと、どうなろうと、お前という卑劣な男から美羽を守ってみせる。   アイツが心から笑って子供たちと幸せに暮らして行けるなら、俺はどうなってもいい。   誰からも愛されなかった俺に、あったかい愛情をかけてくれた彼女達の幸せは、   絶対に、な
Read more

スマイル26 奪われた権利書 03

 このままお前を連れ去ってしまいたい。 花井なんかにお前を渡したくない!! この唇に、髪に、身体に……花井が触れるのか。 もう二度と、俺の手には入らないのか。   ここまでなのか。   こんな事になるくらいなら、お前のキモチも無視して無理矢理にでも抱いて、俺のものにしておきゃ良かった。 同意も取らず、結婚しておきゃ良かった。  キスを交わしながら、美羽の胸に触れた。温かくて柔らかい感触がすぐさま手の平に広がる。 花井に渡すくらいなら、せめて今この場で――美羽を壊して俺のモノにしてしまおうか。  「――っ!」   彼女の首筋に俺の唇が触れると、美羽の吐息が震えた。    夢にまで見た。お前を抱くこと。  もっと大切にしたかった。  もっと大事に抱きたかったのに――  「お前が欲しい」   俺は一体、美羽をどうするつもりなんだ。 こんな場所で男女関係を結んだりして、彼女の尊厳をこれ以上傷つけるつもりなのか。 ただ黒い欲をぶつけ、壊すだけの交わり――そんな風に身体を重ねても虚しいだけなのに。 わかっているのに、黒く歪んだ心が俺に行動を起こさせる。抵抗を見せない美羽に口づけして、彼女の着衣していたブラウスのボタンに手をかけた。 まるで誰かに操られているようだった。 「王雅……」  彼女が再び零した涙が、俺の指に落
Read more
PREV
1
...
111213141516
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status