All Chapters of コロッケスマイル ~俺様御曹司は、庶民女王と子供たちにご執心!~: Chapter 131 - Chapter 140

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スマイル26 奪われた権利書 04

 美羽に別れを告げ、断腸の思いで離れて遊戯室に向かった。中を覗くと子供たちは隅の方に固まって泣いていたり沈んでいたりして、誰も遊んだり話をしていなかった。 みんな、俺が施設に帰ってこれなくなったことを悲しんで泣いてくれいるのか――そう思うと、ますます花井が許せなくなった。  勿論、理由は俺のことだけじゃないと思う。突然見知らぬオッサンが来て、施設の自由を奪い、美羽を奪うんだ。楽しく暮らしているみんなの生活が、花井の勝手な欲望のために犠牲になるなんて!  でも今の俺には、花井を潰せる時間も、ヤツから権利書諸々奪い返す術も無い。  ごめんな。辛い思いさせてしまうけれど、絶対に、俺が花井からみんなの幸せは取り返してやるからな。 「王雅にぃっ!!」  俺の姿を見つけてくれたライタが飛んできた。「もう施設に来ちゃダメって、ホントか!? もう、王雅にぃに会えないのかよっ!?」 「ごめん」  ライタを抱きしめた。「俺だって帰って来たい。ちょっとだけ仕事で遠くに行くけど、またすぐ帰って来て、お前と一緒にウルトライダーごっこして遊ぼうと思ってたんだ。でも……ごめん」 「いやだよおっ! 王雅にぃ、いっぱい遊ぶ約束したのにっ……うわああーん!! いやだよーっっ」  他の子供たちも口々に俺を呼び、泣きながら傍に来てくれた。 迷ったが、俺と子供たちは今まで築いてきた信頼関係がある。子供たちを信じて賭けに出よう。 危険だとは思うが、俺は彼等に自分の想いを打ち明け、託すことにした。 「いいか。みんなに頼みがある。悪いヤツに聞こえちゃいけないから、小さな声で話すぞ。もっと俺の傍に来てくれ」  めいっぱい子供たちを抱きしめながら言った。 「施設に新しくやってきた
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スマイル27 本心 01

 施設を出てボロ門を開けると、やかましい音を立てて門が開いた。  この音も暫く聞けないから淋しくなるな――などという感傷に浸る暇もなくしてくれたおかげで、俺の神経は花井を潰すことに集中していた。  彼を潰す計画は、既に頭に描けつつある。但しこれを遂行するには、どうしてもある程度の時間と協力者が必要だ。 入念な用意をする時間が足りないが仕方ない。今から早急に手を打って、クリスマスまでに間に合わせるしかない。これを失敗したら終わりだ。  とにかく今から至急連絡し、協力を依頼する。  この時間なら会えるだろう。アポ取ったら向かうか。  その時、曲がり角のところでキノコが俺を待っているのが視界に入った。 どんな事情があったかは知らねえが、世話になった美羽を売り飛ばすような真似をしたあいつだけは許せない。   ただ、現時点では全て俺の推測でしかない。  盗みを働いたという確証も無いので、話は聞いておく必要がある。 「真秀、話せるか。どういうことか説明しろ」「そのつもりで待っていたんだ」「ここじゃ話せないだろ。どうする?」「俺の家、近いから来てくれ。真凛も今、出かけさせた。王雅とふたりで話がしたい」「わかった。案内してくれ」  話次第では、キノコ殺傷事件になりかねない。だが、恐らくコイツも相当追い詰められての結果だろう。盗みを働いた前提で考えているが、予想は当たっているはずだ。  彼も花井に弱みを握られてるに違いない。 あの男はそうやって人を追い詰め、動かすことにかけては天下一品だから。  商店街を抜け、密集した団地を横切って歩いていくと、二階建てのアパートが見えてきた。  アパートの塀の横に木札でアパート名が書いてあるが、雨風に長い年月晒されていたおかげでほとんど読めなかった。それにしても
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スマイル27 本心 02

  「俺たちはマサキ施設を出てから、たらいまわしにされてあちこち転々としたんだ。高校生くらいの時、一番荒んでた。生活も酷くて、悪いこともいっぱいした。食い物が無く万引きして捕まった時だ。警察に突き出されるのを俺が嫌がった時、スーパーの店長が、真凛を抱かせてくれたら警察に言わずに勘弁してやるって……万引きした俺を迎えに来た真凛に、目の前で乱暴を働こうとしたんだ……」  言葉に詰まっている。 辛い話だろうが、時間が無いから「それで?」と続きを促した。  「俺、よく覚えてないんだけど、ブチ切れてその店長ボッコボコにして、ムショ行きになりかけた。でも、あっちも訴えられたら困るから、示談になったんだ。それからも色々あったけど、今やっと自立出来て落ち着いて、仕事も決まって、これからって時に花井が現れたんだ」   ――万引きや窃盗、暴力沙汰を起こした過去が知られたら、お仕事無くなって今後の生活が困りますねぇ。    そんな風に言われたらしい。花井の言いそうな事だ。容易に想像がついた。  「昔好きだった、優しい美羽ねーちゃんを裏切ることになるのは、解ってた。でも、背に腹は代えられない。仕事が無くなったら、貧乏な俺達はたちまち生活できなくなるんだ。この家も、仕事も、やっと見つかったんだ。……真凛を守るためとはいえ、結果施設のみんなにも酷いことをした。本当にごめん」「お前の事情は分かった。でも、それならどうして俺に本当の事を話して、相談してくれなかったんだ!」「その時の防犯カメラの映像、花井が持ってるんだ。真凛が乱暴されそうになった時の映像が映ってる。断ったり誰かに喋ったりしたら、アイツ、それをネットに流すって言ってきて……だから誰にも相談できなくて……花井の言う通りに……うまく行ったら、映像返してくれるって言うから」「映像を花井が持ってるって? 
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スマイル27 本心 03

 「真秀。お前、俺に協力できるか。お前がやってしまったことを挽回したいと思うか」「えっ?」「花井なんかちっぽけなクズ、恐れるな。この俺がどんな手を使ってでも叩き潰してやる。問題の動画が出回ってしまったとしても、俺の財力を上げて阻止してやるし、お前等ふたりくらい、俺がまとめて面倒みてやる。ま、それはこれからのお前の返答次第だ」「王雅……」「じゃあ聞くぞ。真秀は美羽をどう思っているんだ」  さっき、昔好きだった、って言ったよな。 だったら今は、美羽をなんとも思っていないのか。 「……普通に、好きだけど」「美羽を今も女として好きなのかどうかを聞いているんだ。美羽が、真秀が女として好きなのは他にいるって言ってた。どうなんだ?」「……すごいな、美羽ねーちゃん。どうしてそんなに頭がキレて、わかっちゃうのかな」「だったら美羽の言うことは……」「ああ、本当だ。確かに俺は昔、美羽ねーちゃんが好きだったし、結婚の約束もしていたよ。でもそれは子供の時の話だ。それを持ち出したのは、王雅の目を俺に向けさせるための芝居だよ」「そうか」   美羽――お前は、俺が思っているような鈍感女じゃなかったんだな。 ほんとうは俺のことを好きになってくれたのに、身体を赦したらポイ捨てされると思って、わざと鈍感なフリをしていたんだな。  いつからだ、美羽。 お前、俺が好きなんだったら、どうしてもっと早く伝えてくれなかったんだよ! バカだよ、お前。 俺がこんなにお前のコト愛してんのにさ。俺のこと一切信用せず、疑ってばっかりで……。  美羽をポイ捨てするワケないのに。   でも俺はそれ以上にバカだ。 今まで散々女をいいように使い、ポイ捨
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スマイル27 本心 04

 その時突然、会社を守るために土下座をしてきた男達の姿が脳裏に浮かんだ。 助けてください、お願いです――俺の足に縋りつく男の姿、幾度となくこの目で見てきた。 気に入らないヤツは虫けらのように踏みつぶし、容赦なく壊してきたこの俺が、その時の男達の気分をこんな局面で、自身が味わうなんてな。  こんな気持ちだったのか。 必死で、プライドや尊厳もかなぐり捨てて、どんなことをしてでも大切なものを守ろうとしていたんだ。   それを、なんの感情もなく蹴散らしてきた今までの俺は、本当に最低な男だったんだな。   やってきた過去は消せない。だから、これからは数多くの辛く苦しい思いをしている彼等を救うために、立ち上がろう。   この局面で大切な事に気が付けたことに感謝しよう。  「王雅、顔上げてくれ。土下座なんかしなくていい。俺のせいでこんな事になってしまって言うのもおかしいけど、美羽ねーちゃんを苦しめたりしたくないんだ! どんなことでも協力して償う。なんでもやらせてくれ。挽回させて欲しい!」  真剣な真秀の表情を見て、俺は信じることにした。 もう、キノコと呼ぶのはやめよう。彼も一人の大事な女を守ろうとした、ただの男だったんだ。 結果としてメチャクチャ切羽詰まった事態になってしまったけれど仕方ない。  あとはどう切り抜けるか、だ。 花井を潰すのに、真秀を使うのはうってつけだ。このまま花井の傍に置いておくのが得策だと考えた。 動いてくれる人数は多ければ多い程いい。 特に真秀は、花井の懐に入り込んでいるんだ。尚更使いたい。  彼が裏切ることは考えなくてもいいだろう。万が一の時のことも考えて、手は打ってお
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スマイル27 本心 05

 「俺は至急、花井を徹底的に調査する。どうしてあそこまで美羽に拘るのか……正直、五十手前のオッサンがやっきになって固執するなんて……。若い女なら誰でもいいのなら、猶更、施設経営で手一杯の美羽は向いてない」「過去になにかあったとか?」「確かに。そういえば疑問だったんだ。花井は、美羽との入籍をクリスマスに指定したらしい。なんでそんなに先延ばしにするんだろう。俺だったらなにをさておいても即入籍するけどな。……そうだ。その日は美幸おかあさんの命日とか……確か美羽がそんなことを言ってた」「美幸さんは、美羽ねーちゃんのおかあさんだ。言う通り、彼女はもう亡くなってる。恐らくクリスマスが命日なんだろうね」「美幸……」  思い当たる名前だった。そうだ。美羽が偽名で、クラブの面接の時に使った履歴書に書いていた名前が美幸だった。  木村美幸って、母親の名前だったんだな。 そうか。花井は母親の方と確執がありそうだな。年齢も近いだろう。その方がしっくりきて納得できる。調査しよう。 「真秀。施設のことを洗いざらい教えてくれ。美羽は異常に施設に拘ってる。確かに両親が遺してくれたものは大切だと思う。でも、あんなジジイと結婚までして守ろうとするなんて、どうしてだろう。移転や移築でもダメだって言うんだ。俺の提案もはねのけて、花井との結婚を選んだんだ。だから困ってる」「悪いけれど、俺が知っていることはそんなに無いよ。施設については、横山さんの方が詳しいんじゃないかな。俺や真凛が施設にいた頃は、お菓子とか持ってしょっちゅう施設に様子見に来てくれていたし」「横山か。なるほど。丁度相談もあるから、後で工場に行ってみる」  横山は、確かに美羽や施設について詳しいだろう。もともとの土地の持ち主だったワケだしな。 「よし。もういい。それより出発前に、お前のためにひと肌脱いでやるよ。真凛呼び戻せ。で、お前は俺が出てこいって言うまで、奥の部屋に隠れてろ。俺の計画に協力してくれる礼だ
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スマイル27 本心 06

 「どうしたんだ、隣に来いよ」  顎でしゃくって、傍に来るように指示した。 「あ、あの……お兄は?」  真凛の声が震えている。 「そんなのどうでもいいだろ。真秀は暫く戻って来ねえよ」「あ、そうなんだ。王雅、もうアメリカ行くんじゃなかったっけ? 確か出発って明日だよね? 早く帰らなきゃ。ホラ、もう遅い時間だし」「だから来たんだよ。お前に会いたくて」「えっ……」  彼女の顔が強張った。 俺はそんな真凛を無視して間合いを詰めた。「アメリカ行く前にさ、お前と一発ヤッてこうと思って」 「あのっ、あのでもっ……王雅はミューちゃんのコトが……好きなんだよねっ? 私と関係したら困るじゃん」「それはそれ、これはこれだ。お前、俺のこと好きなんだろ? だったらさ」ぐいっと引き寄せて囁いた。「一回くらいヤらせろよ」 「やだあっ!!」  真凛が俺をはねのけた。「ご……ごめん、王雅っ……私、そんなコトできないよ……」 「なんで? 俺が好きなんだろ? だったら――」 「好きじゃないっ!! ごめんっ、嘘ついてたっ!!」  大きな目に涙を溜めて真凛が叫んだ。「私っ、他に好きな人いるのっ! だから……王雅とはできないよ!」 「ふざけんな! 今更そんなウソが通用すると思ってるのか? お前が俺につきまとうから、美羽に嫌われたんだぞ。責任取れよ」 「ごめんっ、ホントにごめんっ!! 他のことだったらなんでもするから。ミューちゃんに弁解もする! だから……それだけは勘弁して……」 「だったら好きでもないクセに、なんで俺につきまとったり
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スマイル28 決戦の時 01

 聞きなれた機械音が鳴った後、日本へ向けて飛び立つというアナウンスが機内に流れた。 アメリカでの仕事も無事に終え、花井を潰す準備を整え、俺は今、日本へ向かう機内の中だ。 この2か月近く、毎日血を吐く思いで過ごしてきた。実際に吐いた日もある。 ようやくなんだ。長かった。 真秀から逐一連絡をもらっていたが、美羽が花井に怯えて泣いていると思うだけで、また、花井が美羽に近づいて触れたり壊したりしないか、心配で仕方なかった。 入籍までは一切手を出さないで――美羽が花井に条件を出したと、真秀から聞いた。 美羽は俺との約束を守ってくれたようだ。どんな理由をつけたか知らねーけど、花井のヤツも入籍以降は美羽を好きにできる事はわかっているから、入籍までの少しの間、ゴネるくらい構わないとでも思ってるんだろう。 だから入籍日――クリスマスがタイムリミットだ。 入籍したら花井は間違いなく美羽を……嫌がる彼女が引き裂かれる姿を想像すると、マジで気が狂いそうだった。 そんな中でのプロジェクト遂行、花井を潰す計画の実施は、精神的に非常に堪えた。 でもこれを乗り切らなきゃ、美羽を取り返したりできねーんだと思って、気持ちを奮い立たせた。 どんな作業する時でも、何時でも見れるよう、またこの気持ちを忘れたりしないよう、お菓子の家で子供たちや美羽と一緒に撮影したものを、パソコンのデスクトップの壁紙に設定した。 これを見る度に現状が余計に辛く感じたが、この幸せを絶対に取り返すんだ、と、毎日呪文のように繰り返して、アメリカでの日々を送った。 それでも辛い時は、とっておきのDVDを見た。ライタの為のヒーローショーや、俺の為に美羽と子供たちが開いてくれたパーティー。 幸せな過去に浸ると、覚めた時に辛くなる。でも、見ずにはいられなかった。 はっきり言って地獄だった。 そんな地獄の日々を終わらせるために日本へ帰ってきた。 俺が今できることは、全てやり遂げたと思う。 あとは、勝利の女神が俺に微笑みかけてくれることを祈るだけだ。 機内のリクライニングシートを倒し、目を閉じた。 あの日、日本を発つ前にやり取りした横山との会話を思い出した。 それが花井を追い詰めるための、最後の切り札になるとはな。 苦痛の別離からあれからそう時間は流れていないハズなのに、何年も経ったような気がする。
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スマイル28 決戦の時 02

「櫻井さん、お帰りなさい! よくお戻りになりましたね!」 俺を迎えにきてくれた横山が、空港に現れた俺の姿を見つけて駆け寄ってくれた。花井を潰す計画を話した時、帰国後の俺を秘密裏に迎えにきてくれると言ってくれた。 櫻井家の人間や車を手配すると、花井に見つかる可能性があるから、きっと力になれるだろう、と。「横山さん、こんな朝早くからすみません。でも花井は絶対、今日の午前中には役所に行って、手続きをすませようとするでしょう。その直前がチャンスです」「わかりました。チャンスを狙いましょう!」「じゃあ、早速お願いします。花井が行動を開始した直後に、施設に乗り込みますから、近くで待機しておきたいです」 横山は自分の車ではなくレンタカーで迎えに来てくれていた。万が一、花井に見られても大丈夫なように、色々考えて手配してくれている。彼を信頼し、希望を託して良かったと思う。俺一人だけじゃ、正直美羽を異国の地から守り遠し、取り戻すことはできなかっただろう。 横山は空港から施設近辺まで運転してくれて、近くのパーキングにレンタカーを止め、商店街の方へ行くように俺に言って来た。ついてきて欲しいと言う事なので彼についていくと、ヒラメオヤジの店の前に着いた。 現在早朝の六時だ。勿論店はまだ開いていない。「横山さん、魚屋になんの用事があるのですか?」「平岡さんに相談したら、是非家を使ってくれと言ってくれたのです。ここは施設からも近いし、潜伏するにんはちょうどいい。櫻井さんと早朝にお邪魔することは既に話をしています。さあ、行きましょう」 魚屋のヒラメオヤジはどうやら平岡という名前らしい。名字、平目に改名したらピッタリなのに。 横山は店のシャッターの横の勝手口に付けられた呼び鈴を押した。ピンポーンとチャイムが中で響いているのが、外からでも聞こえた。 よく見ると勝手口と思われた小さなドアの横に、平岡という表札と赤い郵便受けが取り付けられていた。「はいはーい」 ヒラメオヤジ――平岡が中から出てきてくれた。 「王雅君、待っていたよ。さあさあ、どうぞどうぞ。狭いところだけど、上がって」 平岡が笑うと、ただでさえ細い目が無くなる。魚のヒラメによく似た顔の笑顔を湛え、自宅へ案内してくれた。 彼の家は一階が魚屋、二階・三階が自宅になっていた。三階の一室が物置部屋になっているらしく
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スマイル28 決戦の時 03

 花井にたくさん株を買わせている会社――Redir Tlu Company.(レディアトゥルカンパニー)……これは、花井を叩き潰すために俺がアメリカで立ち上げたものだ。 もともとは別の人間が立ち上げた会社だが、闇取引で買い上げ、架空の会社として作った。業績も偽造、企業内容も偽造、全てが偽造だ。目には目を――花井にはもってこいの会社だろ。 お前が欲を出し、財産をつぎ込んで独占買いしているこの株価、今から大暴落させて財産根こそぎ奪い取って、その上、借金抱えさせてやるから。  これは、株を始めようとしたド素人の横山が、お前に持ち掛けた儲け話――は表向きで、実は俺がお前を潰す為の計画なんだ。  案の定、横山には儲からないからやめとけと言っておきながら、自分はしっかりこの会社を調べて、株価が急上昇してるモンだから、殆どの財産をつぎ込みやがったんだ。 花井が株を始めたのは知っていたんだ。荒稼ぎはしないけれど、上がりそうな銘柄を選んで適当な所で売る手法を繰り返す戦法は堅実だったハズなのに、大きく儲けようとして賭けに出やがった。  花井も株に関しては始めたばかりでちょっと素人的な所があったから、うまく乗せられたと思う。  施設の土地を守るために、資金力をつけようという考えなんだろう。バカか。たかがその程度の株取引で、俺の財力に勝てるワケねえだろ。ケタが違うんだよ。 保険として売値設定もしてるだろーが、坂道転がるような値下げを見せている株を、誰もお前の売値設定じゃ買わねえよ。暴落を見せたら一発アウトだ。株価、ストップ安まで追い込んでやる。  これは、横山に協力を頼んだ俺の罠だ、花井。 まさか人の好い横山がお前を陥れる手引きをしたなんて、夢にも思わねえだろ。すべてが明るみになった時のお前の顔、早く見たいぜ。  ま、そんな花井を叩き潰す為の会社は、俺が財力を上げてメディアで取り上げさせ、今一番の注目会社として海外の方では話題にさせている。&
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