料理が少し減った皿を前に、真琴はワインを揺らしながら、にやにやした視線を楓へ送ってきた。 その表情で、次に何を聞かれるのか楓はもうわかっていた。「で? 冬真くんと、あのあとどこへ行ったのよ?」 ついに核心に触れてきた。 真琴の声音は軽いのに、その目はまるで獲物を逃がさない獣のように鋭い。 楓はグラスを指でなぞりながら、ふと昨夜の感触を思い出していた。 昨夜――胸の奥に熱が灯り、呼吸もままならなくなった夜のこと。 冬真に抱きかかえられるようにしてホストクラブを出た瞬間、 外の冷たい空気に触れる間もなく、二人の唇は再び激しく求め合っていた。 ドアが閉まる音すら、もう耳に入ってこなかった。 冬真の手は楓の腰をしっかりと抱き寄せ、 楓の背中まで熱が流れ込むようだった。 唇が離れたとき、楓は自分がどこに立っているのか、一瞬わからなかった。(……私、どうなっちゃってるの?) 呆然としたまま冬真に支えられ、彼が止めたタクシーへ半ば引き込まれるように乗り込んだ。 ドアが閉まると、世界がふたりだけになった。 けれど――タクシーの中では、奇妙なほど何も話さなかった。 沈黙。 暗闇。 近すぎる距離。 触れれば再び崩れ落ちてしまいそうなほどの熱。 冬真はただ、楓の手を離さなかった。 タクシーが停車したとき、楓ははっと我に返る。「ここは……?」 窓の外には、高層の豪華マンションがそびえていた。 ライトアップされたエントランスが、ホテルのように華やかだ。「俺の家」 冬真はそう言って、ドアを開けた。 その横顔は、甘くも鋭くも見えて、楓の心臓が跳ねた。 エレベーターへと導かれ、乗り込む。 静かにドアが閉まる――その瞬間。 冬真は楓を力強く抱きしめ、唇を重ねてきた。 息を奪われるような、深くて熱いキス。 背中に回された腕の温かさに、楓の心が完全に溶けていく。 部屋のドアが開くと同時に、すべての理性が崩れた。 部屋に入った記憶は曖昧だ。ただひたすら、お互いを求めた。 キスをしながら廊下を歩き、 肌に触れる指先が熱くて、 お互いの服を急くように脱がせ合い―― ベッドに倒れ込んだ。 何度も、何度も。 まるで離れたくないと証明するかのように、激しく愛し合った。 楓は自分がこんなふうに誰かを求
Last Updated : 2026-01-08 Read more