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第九章後編 青い水面の笑顔

2人は東口側の館内階段前に立つ。「西口の非常口はここから真反対の位置だから、2階を突っ切って行かないといけないんだ。」悠が階段を登りながら説明する。美咲は頷きながら深く息を吐いた。「ふぅ〜…分かった。暗いから足元気を付けて行こう。」「おう。」(何も起こりませんように…)美咲は強く願った。ポスターの七不思議通りだとしたら、次は、『溺死した生首…』絶対に見たくない…"溺死"って事は、水がある場所さえ通らなければ良いのかな…。美咲は次に訪れるであろう怪異に身構えるように階段を登った。階段を登りきった美咲と悠は通路に進んで2階フロアをゆっくりと覗きこんだ。2階フロアは、1階よりさらに静かだった。壁の案内板には『2F:ペットショップ・熱帯魚/楽器店』青いライトが揺れる一角がある。早速避けたかった水がある場所を通る事が分かった美咲は、愕然とした。「……嫌な予感しかしない……」「俺も。」「多分…次の…七不思議の“溺死した首"のやつ……水がある場所だから…熱帯魚コーナーかな?」「…もう、美咲!嫌な推理しなくて良いから!!」「ごめん、つい…って、悠は見えないじゃん!」「想像するだけで怖いの!溺死とかヤバいだろ…」2人は東口側から西口に向かってドキドキしながらも確実に歩みを進めた。ペットショップの前に差し掛かった。日中では犬や猫が展示されるガラスケース前を心なしか早く歩く。視線はなるべく前を向いていた。小動物コーナーの奥は水槽が並んでいて薄く青い光が廊下の床を照らしていた。水槽エリアは冷えたように静かで、魚の姿はどこにもない。(熱帯魚コーナーだ…)美咲と悠は顔を見合わせた。2人は横目で水槽を見た。水だけが、ゆらゆら……ゆらゆら……と揺れている。「ねぇ、悠。魚…一匹もいないよ……」「…あぁ、おかしいよ。犬や猫は店内奥に寝させる場所はあると思うけど、熱帯魚はそのままのはずだ。」その時。奥の大きな水槽の向こうに──ぼんやりと人影が立っているのが見えた。「え……従業員さん……?」反射的に店内奥を見ようと店側に体を向けた美咲の腕を悠が掴んで止めた。「美咲!!近づくな。」「…え?!なんで?」「ここの従業員は、俺たち客を残してでも、帰るくらい夜のデパートを避けてるんだろ?魚がいない、物理的なもの
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第十章 七不思議その六『指先のオーケストラ』

七不思議の"溺死した生首"から逃げ出したあと、美咲と悠は非常口へ続く2階の通路を歩いていた。濡れた靴裏が、ぴちゃっ……と静かに鳴る。悠が、ふぅっと息を吐いた。「七不思議その五、"溺死した生首"……想像以上にヤバかったな…。水槽割るとか危な過ぎる。」美咲も悠と同じように息を吐いて答える。「うん……ビジュも最悪だったよ。夢に出そう…。ガッツリ目が合ったよ。」美咲はギュッと目を瞑り、手で口を押さえた。思い出しただけで吐き気がこみ上げそうだった。「美咲、大丈夫か?…次の七不思議は….」「…うん。次は…その六…"指先のオーケストラ"…」「…て事は、ここか。」悠が通路の少し先に目を向けた。薄明かりに照らされた 『楽器店』 の看板が見えた。ここの楽器店は防音、防犯、破損防止のためか、透明のガラスで出来たショーウィンドウの中にあり、店の脇の扉から出入りができるようになっていた。ショーウィンドウの前に着き、シーンと静まり返った空気の中に並ぶ様々な楽器が、薄明かりの下に照らされていた。「……ここ…?」美咲の呟きに答えるように──ギィ…………店の扉がゆっくりと……隙間を開けた。「悠、見て。ドアが…勝手に開いた……」「…あぁ。覗かない方がいいのは分かってるのに…覗きたくなる心理を突いてくるな、七不思議のやつら。」「七不思議のやつらって…。多分、そんな高度な心理戦やってないと思う…開けたのは──」ポロン……店内から、ひとつの楽器の音が漏れた。「……音を……聞かせるためじゃない?」次の瞬間。ポロン……ボン……チーン……ジャララララ……!!数種類の楽器が一斉に鳴り始めた。悠が驚いて目を見開く。「誰も居ないのに楽器が動いてる?!」「?!悠、聴こえるの?」美咲は驚いてる悠を見る。「あぁ、楽器が現実の物だからかな?でも、何で音が鳴ってるかは分からない…。美咲にはそれが視える?」「どうかな…ガラスが光ってて中が見にくい…」美咲はそう言うと、恐る恐る開いたドアの隙間から薄暗い店内を覗いた。悠も美咲に続いて後ろから覗き込む。「…見えた!楽器を、手首の先だけが浮いて、演奏してる。白い…手袋はめてる…」「…だから、指先のオーケストラか…。美咲、大丈夫か?」「…うん。何だろ…ここは生首や厚塗りオバケの時みたいな嫌な悪寒が
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-11
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第十一章 宙吊り男―七不思議最後の怪異

すっかり静まり返った楽器屋を後にして2人は出口に向かって歩き出した。西口非常口へ向かう2階フロアの通路は、さっきまでの大騒ぎが嘘みたいに、どこか“休憩時間に入ったデパート特有の静けさ”をまとっていた。今夜ここまでに起きた騒動が、お互いの距離を少しずつ縮めたのか、歩幅が自然と揃う。悠がしみじみと呟いた。「七不思議その六は、指が落ちるオーケストラだったなぁ…。危害を加えてくる怪異じゃなくて良かったな!不気味だったけど….」「それまでが追いかけてきたり、水槽割れたりだったからね…。でも、何か、空気からして、楽器屋の七不思議は今までのと違ったと思う…。」美咲が難しい顔をしながら考えこんだ。悠は美咲の横顔を見る。「…違うって何が?」「上手く、説明出来ないけど…、少なくとも、這いずり女、内臓男、厚塗り女、生首には、嫌な気持ちというか、ゾクって寒気がしたの。」美咲は斜め上に視線をやりながら、思い出すように話す。「鏡迷路の手形と、楽器屋の落ちる指先は…恐いけど、あれは“恨みとか悪意をぶつけてくる感じ”じゃなかったと思うの。他の怪異は…私を狙ってきてたような……っごめん。何言ってるか分かんないよね。」美咲は、ハッとなり、悠に謝った。悠は美咲が何で謝ってるのかが分からないという顔をして、真剣に答えた。「いや、大丈夫!悪いものを感じ取りやすい美咲だから、分かる事があるって事だな!」悠があまりにもすんなりと納得するので、美咲は驚いて悠を見た。『そう言われたらそうだ!』という顔をして、うんうん!と悠が頷いている。(他の人だったら、私を変な目で見たり、適当な相槌で流す場合もあったけど…)美咲は、頭の片隅に苦い思い出が走りそうになるのを堪えて、通路の先に顔を向けた。その目尻にはうっすらと光るものがあった。顔を見られないように、少し下を俯かせると美咲は呟いた。「ありがと、悠。…それより、私はしばらくあの曲が頭から離れないかも…」「!俺もだよ!」そう言いながらも無意識に口ずさもうとしてる悠の肩を思わずペチンと叩く。悠が少年のように笑う。美咲もつられて少女のように笑う。先程までの暗い思い出は、この薄暗いデパートに吸収されたかのように、美咲の心は軽くなっていた。薄暗い長い通路を歩き続けていると、天井に『中央階段』と書かれた看板が見えてき
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-13
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第十二章 真相へ至る扉

中央階段での“宙吊り男”との遭遇から逃げるように、美咲と悠は西口非常口へと足を速めていた。館内の非常灯だけがぼんやりと床を照らし、さっきの恐ろしい出来事の余韻のせいか、より一層、空気が重く感じる。「……美咲、大丈夫?さっき落ちかけたし…足首とか痛めてない?」「平気。悠は?大丈夫?庇ってくれてありがとね…」「俺も大丈夫。間に合って良かった。」「ほんと助かったよ…早く非常口まで行こう」美咲の声はもう恐怖に震える事はない。宙吊り男と柳瀬が消えたあと、妙に“視界が冴えている”感じがあった。隣を歩く悠は、宙吊り男に遭遇後、ずっと何かを考え込んでいるようだった。そして、美咲の腕を掴み歩みを止めた。「悠……?どうしたの?」「俺……思い出した事がある……」⸻悠は美咲の腕を掴んだまま、真剣な顔で美咲を見つめて話す。美咲も、静かに悠の言葉に耳を傾ける。「……美咲、多分だけど……さっきの宙吊りの男……“あの事件の被害者のひとり”だと思う。」「……被害者って、あの無差別殺人の……?」「うん。俺、ずっと地元だからさ…大人になってから、あの事件の噂くらいはたまに耳にしてたんだよ。居酒屋とかで、知らないおっちゃんが酔った時に話したりしてさ。….どんな殺され方してたか、とか……」「……そんな噂、あったんだ?」「うん。どこまで本当かは分からないけどな…。さっき美咲が、“顔を滅多刺しにされた男” って言うのを聞いて……思い出したんだ。被害者の一人は、"顔をメチャクチャに切られた"って噂…。」美咲の喉がひゅ、と鳴る。「…悠、もしかして、他の噂も、あるの?」悠はゆっくりと頷いて、申し訳なさそうに頭を掻く。「昔の話だろって、あんまり真面目に聞いてなくてさ。…さっきまで、本当に忘れてたんだよ。」悠は美咲を真っ直ぐに見つめて真面目な顔で続ける。「さっき美咲が階段から落ちそうになって、頭真っ白になった後に、"顔がズタズタ"って聞いて、全部思い出した。他の被害者の事…。足を切られた女性、腹を裂かれた男性、首を切り落とされた男性、頭を刺された女性、そして——顔を切り刻まれた男性。これってさ、今日全部、美咲が見てる…よな?」悠の言葉に美咲の中で今日の出来事が、ストン、ストン、と合わさっていく。足を切られた女性は、這いずり女。腹を裂
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-15
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第十三章前編 曲げない正しさ

非常灯だけがぼんやり照らす暗い通路。非常口階段に続く扉横にあるベンチに美咲は座っていた。耳鳴りによる激しい記憶流入の直後で、美咲の呼吸はまだ浅かった。美咲は深呼吸をして息を整える。悠が自動販売機で買ってきた水を渡す。「……美咲、本当に大丈夫か?」「……うん、だいぶ落ち着いたよ。お水ありがとう。もう、行けるよ…」美咲は悠を見上げた。その瞳は揺れながらも、どこにも逃げる気配がなかった。「美咲……でも、俺は……」悠はそう言うと、美咲の前を通り過ぎ、西口非常口の銀色の扉を見つめた。「俺はほんとの事言うとさ、美咲ばっかりに、こんな怖い目に遭わせたくない。」悠の声は、美咲に降り掛かる全ての現象に対する、抑えきれない怒りを含んでいた。「……悠??」「この扉……開けたら、もう外だよな? ここから出られたら——」 そう言って、 扉の取っ手へ手を伸ばした瞬間。—— バァン!! 扉全体が、まるで内側から叩かれたみたいに揺れた。「うわっ!?今の……なんだよ!!?」「……悠が触ろうとした瞬間…… ドアに“黒い手形”がついた。」 扉には確かに、 ぐしゃりとした黒い手形がべったり浮かんでいた。「……黒い手形……? つまり……帰るなって事なのか……?」悠はゆっくりと伸ばした手を下げた。美咲は小さく息を吸い、優しく、しかし迷いなく言った。「多分ね。まだ帰らないでって…… 柳瀬が言ってるんだと思う。」「なんだよそれ……っ。美咲にそこまでさせる権利、柳瀬にはないだろ?!」「……ありがとう、悠。でも大丈夫。あたしも、言いに行きたい……柳瀬に。」柳瀬の記憶を見た美咲の胸には、怒りでも憐れみでもない、強い“意志”があった。(……柳瀬が、本当に欲しかった言葉…… 逃げた自分への“叱咤”…… 私が、ちゃんと言う…… あれを見たら….言わずに帰るなんてできない。)⸻美咲がゆっくりと館内側へ顔を向けたその時だった。 暗い廊下の奥—— 中央階段の影になった場所に、 長身の黒い影が立っていた。 輪郭はぼやけ、顔は見えない。 しかし、誰なのかは一瞬でわかる。「あそこ……柳瀬が……待ってる。」「え?」悠は美咲につられて振り向いたが何も見えない。暗い廊下があるだけだ。「大丈夫。あたしが、ちゃんと言うから。…
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第十三章後編 始まりの場所へ

悠と美咲は2階中央階段の前に辿り着いた。照明は消えかけ、非常灯だけが階段の縁をぼんやり照らしている。美咲はそっと階下を覗き込む。1階は、暗い。けれど――ただの暗さではなかった。“何かが待っている”そんな圧が、微かに、しかし確実にそこにあった。悠が息をゆっくり吸った。「じゃあ……行くか」「うん」二人の影が並んで階段を降りる。足音は静かだが、胸の鼓動だけがやけに大きかった。美咲は手摺りを掴みながらゆっくり下りる。「……まずは、柳瀬が最後にいた“男性トイレ”に行ってみよう。」悠が小さく頷く。「だな…。ばあちゃん達にも伝わってるくらいだし、柳瀬が死んだ場所だもんな。」二人は中央階段を降り、1階の通路へと足を踏み出した。照明は落ち、長い通路は薄暗いトンネルのように沈んでいる。トイレの案内板が見え始めたそのとき――ザァ……空気の流れが突然変わった。次の瞬間、耳の奥に過去の音が蘇る。——ガヤガヤガヤ——子どもの笑い声——買い物袋の擦れる音——店員の呼び込みそのすべてが、遠ざかる録音テープみたいに、次第に小さく歪んで消えた。悠がふいに振り返る。「……何だ……?今、人の声……聞こえたよな?」「うん。悠にも聞こえたんだ?」「あぁ…。なんか、昔子供の頃来てたデパートを思い出したよ。」「…そうだね。事件が起きる前のデパートはいつも賑やかで…毎週行ってた。」「事件が起きてからは、親もばあちゃんも行くのを渋ってた。」「うちも…。」昔のデパートの喧騒を思い出した2人は少し寂しい気持ちになった。七不思議の怪異は、悠には見えないし、感じられない。それでもさっきの「声」だけは、彼にも届いていた。それはきっと、このデパートそのものの、かすかな叫び声だったのかもしれない。2人は黙って歩みを進めると柳瀬が命を絶った男性トイレが見えてきた。閉館前に悠が入ったトイレだ。その瞬間、美咲の背骨の奥が凍るように冷たくなった。(柳瀬が死んだ場所って知る前と後じゃ、感じ方が全然違うな…)「…着いたね。」「あぁ。ここに柳瀬がいるんだな…」美咲と悠はトイレエリア前で立ち止まり、じっと中を見つめた。しばらくすると、美咲は小さく首を横に振った。「美咲…?どうした?」美咲は静かに言った。「柳瀬が待ってる場所は、ここじゃ
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-19
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第十四章 叱責

催事場広場の中心――黒い“穴”のように見える場所の前で、二人は立ち止まった。空気は水中のように重く、キンッ…と冷たく張り詰めている。静寂の中、鼓動の音だけが身体の内側で響いていた。黒い“穴”には、柳瀬の影が立ち尽くしていた。七不思議の怪異の際に姿を見せていた影。美咲はゆっくり息を吸い、小さく囁くように呼んだ。「……柳瀬 透」その瞬間、闇より深い黒い影が⸻どくん、と脈打つように震えた。黒い影がゆらりと動いた。闇から人の形が搾り出されるように浮き上がり、やがて“人の輪郭”としてそこに立った。うつむいた長身の男。黒く濁った目。力なく震える指先。柳瀬の喉の奥から、何かが擦れるような声が漏れた。「…………ぁ…………」それは悲鳴にも泣き声にも聞こえる音だった。美咲はグッと拳を握った。空気の重さに思わず悠は短く息を吐いた。「……柳瀬。」美咲はもう一歩、前へ踏み出した。柳瀬の肩がビクリと跳ねた。⸻「全部……見たよ」美咲はゆっくり語りかける。静かな声なのに、空間すべてに響く強さがあった。「最初はあんな事になるとは思ってなかったんでしょ…軽い気持ちで承諾して、気付いたら抜け出す事もできなくなって…逃げる事も許されなかった…」美咲の声だけが催事場広場に広がる。ここにいる全ての存在が、固唾を飲んで、美咲の声に耳を傾けていた。美咲は言葉の一つ一つを丁寧に紡ぐ。すべての声が柳瀬に届いて欲しかった。暗い影と同化している柳瀬は聞いているのだろうか?…分からない。でも、私は、伝える為にここまで来た。美咲は柳瀬に向かって伝え続ける。「誰にも分からないんだよ。あなたがどれだけ怖かったか、どれだけ苦しかったか、罪悪感と恐怖に押し潰されて、誰にも助けを求められなくなって――壊れていったことなんて…!」柳瀬の肩が震えている。美咲は柳瀬の真正面に立ち、真っ直ぐ見つめる。「自分のせいで、人を死に追いやってしまって…ツラかったと思う。私たちが想像出来ない位…でもね….」柳瀬の影が、身構えるように顔を上げた。美咲は言葉を叩きつけるように言い放つ。「だからって!無関係な人を殺していい訳がない!私は許さないっ!……ここにいる“誰も”、そんなこと認めない!それをあなたに言う為にここに来た!」空気がビリ、と震
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-21
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第十五章 夜明け

2人は催事場広場に背を向けて、中央階段へ向けて歩き出す。唯一の出口である、西口非常口に向かっていく。その足取りはゆっくりで、確かで、重かった。夜通しデパート内を走り回り、階段を上り下りした2人の体は限界に近かった。通路を進むと、右側には――静まり返ったフードコートが見える。逃げながら倒れ込んでいった男性の姿が、ふと、そこに重なるように見えた気がした。……もちろん、誰も居ない。美咲は小さく息を吸った。「……ここで、最初の犠牲者。」悠は黙って頷く。さらに進むと、遠くに鏡迷路が見えた。小さく映る2人の顔と目が合う。鏡が外から差し込む光を拾い、淡く反射している。「……まだ、居るのかな。」悠の言葉に、美咲は小さく笑った。「大丈夫だよ。もう、いない。鏡の中のあたしの顔、ちゃんと見えるもん。」鏡の中の美咲は、同じ顔で微笑んでいる。2人はその奥に見える通路の先、男性トイレの表示に目を向けた。柳瀬が死んだ場所。這いずり女を見た場所。「……柳瀬の終わりの場所。あたしにとっては、ここが始まりだったけどね…。ホントに怖かったよ…。」「…美咲が俺を呼びに入ったトイレさ、もしかしたら違う次元だったのかもな。美咲を帰したくなくて、柳瀬がやったんじゃないか?」美咲は目を丸くしたが、妙に納得してしまう。ありえない事なのに、このデパートならありえるからだ。「そうかもしれないね…」美咲は、誰も居ない空間に向けて囁いた。反対側の廊下の奥を見ると、化粧品売り場のカウンターが薄暗い光に浮かび上がっていた。もう、何かが滴り落ちる音は聞こえない。そして、美咲と悠は中央階段で2階へと歩みを進めた。2階まで階段を上がりきり、ふと上を見上げてみた。二階踊り場――宙吊り男がぶら下がっていた場所が、静かにそこにあった。「……俺たち、全部、通ってきたんだな。」悠がぽつりと呟いた。2人は階段フロアから通路に出ると足を止めて、右側通路の方に顔を向けた。そこには、熱帯魚売り場の水槽が見えた。もう、水の音も揺らめきもない。西口非常口に向かうため、中央階段から左方向へ歩みを進めた。楽器店のショーウィンドウの前を通る。店内は闇に溶け込んでいた。手袋も、音も、もうない。(……ありがとう。見守っててくれて…)美咲は心の中で、そっとデパート内の“全員
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-23
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第十六章 日常へ戻る朝

ガタン…ガタン……車輪の一定のリズムが、ゆっくりと身体に響く。朝の通勤電車。窓の外は、淡い光が少しずつ街を照らしているところだった。人は多くも少なくもない、静かな車内。満員電車が苦手な美咲は、いつも一本早い電車に乗っていた。美咲は窓際の席に座り、イヤホンの片耳だけを入れて外を眺めていた。冬の少し寒い空気が、窓をヒンヤリとさせている。反対に、車内の暖房と座席下のヒーターが美咲の身体を温める。もうすっかり冬だな……朝がキンと冷える……。でも、あの日感じたあの冷たさとは違う。そんな事を考えていると、美咲のスマホが軽く震えた。――ピロン。画面に浮かんだ名前に、美咲の胸がきゅっと温かくなる。【悠】浮かれそうになる気持ちを抑えて、メッセージ通知を開く。「おはよう! 今日も仕事頑張ろうな!明日楽しみにしてる!」思わず、唇の端がゆっくりと持ち上がった。窓ガラスに映った自分の顔を見ると、恥ずかしくなって慌ててニヤつく顔を戻す。マッチングアプリで悠を見つけた時の事を思い出す。1か月前までは、ずっと連絡を取ってない、ただの元同級生だったのに……不思議……。悠とのメッセージのやり取りを遡って読んでいると、自然と笑顔になってしまう。そっとスマホを握りしめる。(……明日、悠に会えるの楽しみだな。)胸の奥がじんわりと熱くなる。そのぬくもりに誘われるように、美咲の記憶は静かに“ファミレスで過ごした朝”へと戻っていった。⸻早朝のファミレスに入ると、暖かい店内に2人は思わず深く息を吸った。「いらっしゃいませ〜。お好きなお席へどうぞ!」女性店員さんが明るく声を掛けてくれた。昨夜から自分達以外の存在は霊だけだった事もあり、2人は異様に感動してしまった。店内奥のソファー席に座ると、2人は同時にテーブルに突っ伏した。「ソファー最高〜〜」「ほんっっと、疲れたよな〜〜」「よし! 食べよ! あたしハンバーグ食べる!今日は特別に、デザートも付けちゃう!」「俺も食べるぞ〜! ステーキいっちゃお!単品でポテト頼むから一緒に食べよう!」「フリードリンクも!!」「もちろん!」すごい勢いで2人はタブレット注文を済ませると、立ち上がった。「「じゃ、お手洗い行ってきます!」」押し合うように、じゃれ合いながらトイレに向かう。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-25
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第十七章 あの日のデパートへ

翌日の土曜日の午後。冬の柔らかい陽射しが駅前広場を照らしていた。空には雲もなく風もない。空気の冷たさは肌で感じるが、ぽかぽかと気持ちの良い天気だ。もうすぐクリスマス。地元の駅前を見渡すと、今年はサンタとトナカイのイルミネーションが増えていた。(1年、あっという間だなぁ。もう今年が終わるんだ……)駅前のイルミネーションをぼんやり見ながら、美咲は物思いにふける。クリスマスは好きなイベントだが、終わればすぐにカウントダウンが来ると思うと、なんだか複雑な気持ちになる。(あ、でも冬の連休は嬉しい……)駅前広場を一周ぐるりと回ると、空いているベンチに腰掛けた。スマホを取り出し、カレンダーアプリのスケジュール画面を開く。連休期間を確認しながら、ここ最近の週末の日にちをタップする。⚪︎日、悠とモール△日、悠と水族館◻︎日、悠と自然公園思わずニヤニヤしてしまう。(ちょっとペース早いかな……。悠もノってくれるから、予定バンバン入れちゃった)まだ悠と「正式に付き合っている」わけではない。だからこそ、いちばん浮かれてしまう時期だった。(落ち着こ! 浮かれない! 良い大人でしょ!)自分の両頬をペシペシと叩いて、心の中で言い聞かせる。頬を叩く振動で、美咲は目をぎゅっと閉じた。ひゅっと冷たい風が、美咲の髪を揺らす。叩く手を止めて、ゆっくり目を開き、はぁっと白い息を吐いた。白い息が空に向かって消えていくのを見上げる。(……浮かれないなんて無理。……悠と連休も遊べたら良いなぁ……)スマホで時計を確認する。約束の10分前に駅前へ到着していた。ちょうどいい電車がそれしかなかった。田舎の駅前には、喫茶店もコンビニもない。手袋を嵌めた手を擦り合わせながら、悠を待つ。(悠、ちゃんと暖かい格好してくるかな……)はぁっ……と、また白い息を浮かばせる。少しの緊張と、少しの嬉しさで胸が高鳴る。美咲は、この時間が好きだった。好きな人が、自分のもとへ駆け寄ってくる、その瞬間が。(あ! あたし最後にリップ塗ったのいつだっけ?)わたわたとカバンを漁り、色付きリップを取り出した、その時――。「美咲ーー!!」遠くから、手を振りながら悠が駆けてくる。息を弾ませ、頬を赤くして。美咲の心臓がドキンと跳ねる。(うぅ……イケメンって……ずるい
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-27
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