美咲と悠は、人混みの中を進んでいく。「美咲、どこに行くんだ?」「そうだねぇ〜……まずは、“這いずり女”が出た一階のトイレから行こう!」美咲が悠の腕を引っ張りながら、明るい声を出した。悠は困惑しつつも、どこか嬉しそうな顔をしながら尋ねる。「本当にやるのか、七不思議救済ツアー。……てか、何やるんだ?」「あの夜、あの場所で起きたことを、そのまま無かったことには出来ないもん。だから、“今”の場所を見ておきたい」少し悲しみを含ませた、しんみりした表情。けれど美咲は、すぐに顔を上げて表情を変える。「それにね――」ニタリと笑って、悠を見る。「もしかしたら、まだ誰か残ってるかもしれないよ?」無邪気に言う美咲の横顔は、あの夜見た“戦う顔”とは違う。どこか楽しそうで、その変化に悠の胸が、自然と温かくなった。「なるほど。それは確かに確認しないとだな!」「でしょ?」2人は献花台を後にし、一階のトイレフロアへ向かった。七不思議その1、『這いずり女』がいた場所へ。⸻人の往来が絶えない明るい廊下。母親に手を引かれる子ども、待ち合わせをするカップル、ベビーカーを押す夫婦——。一階トイレ前は、あの夜と同じ場所とは思えないほど、「当たり前の日常」の空気が流れていた。美咲は悠の手を軽く引き、人の邪魔にならない壁際へ移動する。「ここね……。あたし、ここで“這いずり女”に追いかけられたんだ」声は落としているのに、指先はしっかりとその方向を示していた。美咲には、あの瞬間が鮮明に思い出せる。あの夜の恐怖体験は、そんな簡単に忘れられるものじゃない。「あの時は、本気で怖かったよ……。血だらけで速くて……怖すぎて、息が止まるかと思った……」誰もいないはずの薄暗いトイレ。近づいてくる、体を引きずる音。目に飛び込んできた血まみれの女性——。五感すべてが震え上がった。次の瞬間にはすごい勢いで追いかけられ、全身がパニックでいっぱいだった。走っても走っても逃げ場がなくて、足がもつれた瞬間、「死ぬ」と思った。美咲があの夜を思い出して辛そうな顔をしているのを見て、悠は悔しそうに眉を寄せる。「俺、その時トイレにいたんだよな。美咲の声、全然聞こえなかった……今思うと、柳瀬が邪魔してたのかもな」「うん、たぶん……。まぁ、悠がいても“這いずり女”
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-01-29 อ่านเพิ่มเติม